
先日、Nがあの作曲家 小林亜星氏とお話をさせて頂く機会に恵まれた。
小林亜星氏と言えば一斉を風靡した『寺内貫太郎一家』の(お父さん)役が真っ先に浮かび、大きな身体に優しい目が印象的な方である。
その亜星さん(私にはこの名前でお馴染み)のお話を伺うのだ、と言うので、ミーハーな私は思わず「サイン貰ってきて!」と言いそうになって慌て止めた。
でも、世の中旨く回っているもので、Nはしっかり最近出された二枚組CDをプレゼントされて帰ってきた。
亜星さん作曲の作品と言えばCMソングなら
・サントリー「オールド」
・明治製菓「チェルシー」
主題歌なら
・魔法使いサリー
・ひみつのアッコちゃん
・ガッチャマン etc
数々の名作を生み出しているが、何と言っても私の一番はCMソング
・日立「この木なんの木」である。
「もうとにかく穏やかで 大らかで 心は少年っていう感じの方だったよ。」というNの言葉に相も変わらず(貫太郎お父さん)を重ねながら 早速 CDを聴いてみた。
1 地平を翔る風
2 ねむの木の子守唄
3 HOTARU
・
・
(あれ、何か違う・・・
ん~、何だろう・・・)
そこから流れてくる曲は かつての粋な亜星ワールドを全く想像させない 緩やかでたゆたうような世界だった。
むしろ、懐かしい童謡に似たシンプルな旋律が挽きたての珈琲のように五感に染みた。
ジャケットを見てみた。タイトルも確かめないで聴いたのが間違っていた。
『Asei meets Atsuko
ロマンティックをもう一度』
亜星さんが奇跡の人と称賛するバイオリニストの天満敦子さんのために書き下ろした作品で、そこにこんな言葉を寄せていらした。
「・・・無為に晩年の日々を過ごして居りました。それには理由があります。
私が好むロマンティックな音楽が、今の時代にはそれ程受け入れられないと思うからです。
(中略)
これが現代音楽?どれもこれも「これでどうだ」と挑む音楽ばかり。
(中略)
私が子供だった頃聴いたハイフェッツやクライスラーは良かった。私が世に問う曲を作曲するとすれば、こうしたアンコール・ピースと呼ばれるバイオリン曲だろうな・・・とぼんやりと願望の中にありました。
ロマンティックとは、魂と魂の無言の語り合いなんです。・・・・・・・」
・・ロマンティック・・か・・・
だからジャケットタイトルが『ロマンティックをもう一度』なんだ。
そう思って目を瞑ってまた聴いてみた。
中に一つ とても心惹かれる曲があった。
『星降る夜に』という曲だ。
バイオリンの低い音色が子供の頃みた、ディズニーの優しい夕暮れの色に辺りを包んでいくような、そんな気持ちになった。
そして亜星さんご本人の解説文にはこんなことが書いてあった。
「満天の星空。もはや都会では見られなくなった幻想です。
モンゴルの大平原で、プラネタリウムの様に見事な星空を見たことがありますが、この曲はあくまで都会の星空の幻想です。
マンハッタンの夜空一面の星を想像して下さい。でもそれは実際には、高層ビルのアパートの窓際に眠っているお嬢さんの、夢の中に現れている星空なんです。
ですから何故か不自然に、3拍子と4拍子が交代するんでしょう。」
解説を読んで
ロマンティックって
そっと誰かを想いやる気持ちなのかな、と思った。
あれから私は毎日
車に乗ったらまずこの曲
プチプチッと沢山スイッチを押して11番の『星降る夜に』を聴きながら亜星さんのロマンティックに包まれている。
でも、時代はあっという間に過ぎるもので、話を聞いたとき「え~!ホントに~!? え~、いっいな~~~~~!」とびっくりする私にNはきょとんとして「母さん、この方誰?そんなに凄い方なの?」と・・・
一瞬言葉に詰まって、取り敢えず『寺内貫太郎一家』くらいまでは話をしたが、
とても その時流行った「ジュリ~~~!」の真似は出来なかった。

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」






