『AさんとNのお祝い~ホテル西洋銀座にて~』 | From With

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子供達に、幸せの見つけ方、教えてあげたい・・大丈夫。隣りにいるから。あなたの周りは、ほら、幸せがいっぱい!!(自宅を色んなお子さんに開放して14年。問題のある子 無い子皆一緒に 同じ時代の同じ時間を生きていきたいな~!一歩一歩、 丁寧に・・)



12月15日

クリスマスイルミネーションに彩られる街で


Aさんの53歳の誕生日とNのちょっと早目の二十歳のお祝いをした。


以前よりNの二十歳はここで、と決めていた~Hotel西洋銀座~のレストランにアニバーサリーディナーをお願いした。





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銀座にありながら、構えも小さく宝石のような老舗ホテルだが、丁寧をモットーに世の流れに逆らう在り方は来年5月の閉館を余儀なくされ、


私達はそれなら是非とも、と こちらでお祝いをすることにしたのだ。



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照明を柔らかく落としたレストランには、きっと、あちらも また あちらもアニバーサリー・・・と思われる方々が和やかな時を過ごされ、私達のテーブルにも心尽くしのお料理を予感させるアンダープレートが並べられていた。





「N君、どんな大人になりたいと思ってるの?」


前菜を楽しんだあとで私はNに聞いてみた。


Nは怯まず、

「自律出来る自立した人」
と答えた。


「自分を律して、自分で決断出来る人になりたい・・・・・な。」


そう言うNは今までの遠慮がちなNとは違う静かな強さを感じさせた。


続けて私は家族に聞いてみた。


「N君にどんな大人になって欲しい?」


Aさんは

「いつまでも“自然と共にいる人”自然を愛する気持ち、大切にする気持ちを持ち続けられる大人になって欲しいな。」


Fは

「今のままでいいよ。Nはよく頑張ってるし、人はなかなか変われないから、今のままのN君が少しずつ自分を育てていけばいいよ。」


私は

「優しい人。ただ、ただ 優しい大人になって欲しい。母さんはそれだけ。」


と言いながら、
「あっ、それから、自立しても 助けて欲しいときには人に(助けて下さい)と素直に言える人でいて欲しい、って思ってる。」
と付け加え、



三人三様 我が家最後の「成人を迎える人」に想いを伝えた。


それから、次に
「来年叶えよう、と思ってることはある?」と聞いてみた。


Nは

「まずはやりたい研究、勉強を思い切りやって、海外も含めて見分を広めたいなぁ。」


Fは

「私はやっと仕事に慣れて軌道にも乗ったから、来年はその仕事でどれだけ評価されるかチャレンジしてみようと思ってる!」


私は

「母さん この間久しぶりに庭を掃除して思ったのよ。原点に戻って暮らしの時計を緩めよう、みんな益々忙しくなるから、母さんは(家)を守ろう、ってね。そして、どれだけの人に(贈り物)が出来るかな、って楽しみにしてるの。」


最後にAさんの番がきてみんなが耳を澄ましたら


「父さんはエスキモーロールが出来るようになりたいねぇ!!!」といつものAさんスマイルで答えた。


(・・・・・)
(・・・・・)


「えっ?エスキ、エスキ、何だっけ?」


「だからさ、エスキモーロールだよ!」


(・・・・・)
(・・・・・)


「あれ、知らないの!?カヌーで沈没したとき クルッと浮き上がることをエスキモーロールって言うんだよ。」


(Aさん、普通 知らないから・・・)
(父さん、普通 ロールときたらケーキだから・・・)


ということで(場所柄)小さな声で大爆笑!!!










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気が付けば時計の針は九時を少し回り三時間以上もディナーを楽しんだようで 最後のスィーツワゴンとなった。





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と、その前に私達のテーブルにこんな素敵なスィーツスタンドが届けられた。








「お父様のお誕生日と坊っちゃまの二十歳と ご家族様のアニバーサリーをお祝い致しまして。誠におめでとうございます。」とホテルの方が身のこなしも格好良く記念写真を撮って下さった。





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食事が終わってレストランの出口でコートを掛けて頂き、丁寧なお見送りを受ける。


(本当にこれが最後・・)と思うと 穏やかなもてなしが続く向こう側に残した想い出に封をするような気持ちになった。








エントランスで車を待つ間 『HOTEL SEIYO GINZA』の名を大きく囲むリースの前で記念写真を撮った。




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車が到着して、ふと もう一度振り返ると リースからこぼれ落ちた小さな飾りが見えた。


思わず拾ってコートのポケットに入れた私は初めてクリスマスウィークを都心で過ごした日を想い出した。


Fが小学一年生、Nがまだ3歳の時でロイヤルパークホテルで一泊した。その朝、レストランの前でFがクリスマスツリーのオーナメントが落ちているのを見つけて、傍にいたホテルマンにお渡ししたら、


「これは、これは、どうもありがとうございます。では、これはお嬢ちゃまに差し上げましょう。」とおっしゃってFの手に握らせて下さったのだ。


あれから16年、今日、愛するホテルの最後に また オーナメントを拾った。始まりと終わりのクリスマスプレゼントみたいに。











窓の外に都心のイルミネーションを見送る高速で、Nが改まって「いい時間になりました。ありがとう。」と言ったので、私はこんな返事をした。


「N君、いつかN君がお父さんになって子供達に今日のことを話すとき、こんな風に話してみて・・・


昔、昔、お爺ちゃん、お婆ちゃんが若かった頃、東京に(西洋銀座)っていうホテルがありました。それは、それは素敵なホテルで沢山の人に愛されていました。


けれど、ついに締める時がきて、最後の想い出にとお爺ちゃんの誕生日とお父さんの二十歳をそこでお祝いしたのです。


(ホテル西洋銀座)は もうお父さん達の想い出の中にしかありませんが、たった一つだけ手元に残った物があります。


それが、我が家のツリーに飾ってあるあの小さな金色のサンキライなのでした。


ってね・・・・・・・」





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Aさん、
迎える53歳が健康に恵まれた一年でありますように・・・・・




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N君、
迎える二十歳が越えるに価値ある試練と分に見合った幸せに恵まれた一年でありますように・・・・・







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From 母さん