魔女とレヴィ 第4話                             甘い香りに誘われて 


 -4-


帰り道、レヴィは何も話さなかった。

 並んで歩いているのに、どこか遠くを見ているようだった。

 百合夜は黙って、その背中を見つめていた。

 触れてはいけない静けさが、ふたりの間に流れていた。


 家に近づくと、扉の向こうから甘いチョコレートの香りがふわりと漂ってきた。

 レヴィが扉を開けた瞬間――


 「レヴィ、おかえり〜!」


 大樹が勢いよく飛びついてきた。

 その笑顔は、曇りひとつない、まっすぐな光だった。


 レヴィは一瞬、目を見開き、それから小さく微笑んだ。

 「……大樹。お前こそ、おかえり」

 その声は、いつもより少しやわらかく響いた。


 百合夜はその様子に、そっと胸をなで下ろす。

 「ふふ、ただいま」

 その笑顔に、家の空気がまた温かくなる。


 キッチンでは、エルがガトーショコラを焼いていた。

 湯気の向こうで、淡い金髪が光を受けて揺れている。

 「いい香り〜。美味しそうに焼けてる」

 百合夜は嬉しそうにエルに微笑んだ。


 レヴィはその光景を静かに見つめる。

 その瞳の奥には、もう痛みではなく、穏やかな光が宿っていた。


 ライは、そんなレヴィをそっと見守っていた。

 何も言わず、ただ小さく息をつき、微笑む。




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