魔女とレヴィ 第3話 夜の訪問者
登場人物
レヴィ
百合夜の家に何故か居候している、風の妖精。
暗い過去を抱えている。
百合夜
東の国では珍しい魔女。
と言っても、薬草を扱う魔女。
大樹
人なっこい、百合夜の息子。
アルナ
気まぐれな吸血鬼。
―1―
年の瀬の冷たい風が、家々の軒を鳴らしていた。
窓の外には薄く雲がかかり、午後の陽が白く滲んでいる。
百合夜は、せっせと大掃除に励んでいた。
台所からリビング、そして廊下へ。
あちこち動き回る彼女のあとを、箒を手にしたレヴィが静かに追う。
高い場所の埃を払い、窓を磨き、
手慣れた仕草で家事をこなすその姿は、もはや家族の一員のようだった。
その間、大樹は庭先で遊んでいる。
あの夜“浄化”した大気の妖精と、すっかり仲良くなったらしい。
小さな光の粒が彼の周りをくるくると舞い、
レヴィが片手間に吹かせた風が、それを高く押し上げた。
冬の日差しのなかで、妖精の羽が七色に瞬く。
「レヴィー、大樹お願いね。買い物行ってくるから。」
マフラーを巻きながら、百合夜が声をかける。
「……了解だ。」
レヴィは軽く頷き、窓の外に目をやった。
「それと、玄関ドアのスワッグ、外しておいて。」
ブーツを履きながら、百合夜が言う。
「スワッグ? あれは魔除けだ。外すのは良くないと思うが。」
レヴィの眉がわずかに動く。
「いいから。今日来るお客様のときは、外す決まりなの。」
そう言って彼女は軽く手を振り、冷たい風の中へ出ていった。
残されたレヴィは、わずかに首を傾げる。
それでも従順に、指先を伸ばして玄関のスワッグを外した。
束ねられたハーブの香りがふっとほどけ、
その香に誘われるように、風が家の中を一巡する。
「……風の流れが、乱れたか? まぁいい。結界も張ってあるしな。」
レヴィは小さく呟いた。
そのとき――
ふと鼻先をかすめたのは、
とても甘美で、どこか妖しく――濃厚な香りだった。
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https://ameblo.jp/witch-levi/entry-12947915967.html
続きです。


