魔女とレヴィ 第3話 夜の訪問者
やがてアルナが、もう一度グラスを手に取る。
「……で、飲む?」
「俺は……酒は好まない。」
「なに? 私の酒が飲めないって言うの?」
アルナの眉がぴくりと上がる。
「……いや、そういうわけでは……」
「じゃあ、はい、飲む!」
ぐいっとグラスを差し出され、レヴィはたじろいだ。
「……人間の女は、みなこう強引なのか?」
「さぁね。でも、ここの女は強いわね。」
アルナの笑い声が、夜の部屋に小さく響く。
レヴィは小さく息を吐き、仕方なさそうにグラスを受け取った。
赤い液が喉を流れる。
――ほんのり甘く、そして、少しだけ温かかった。
ふと、空気の中にやわらかな甘い香が混じる。
クチナシの花のような、夜に残る香り。
アルナの残り香だった。
その香が、忠告の言葉とともに、静かにレヴィの胸に残る。
レヴィは、眠りについた百合夜を見つめていた。
頬にかかる髪を指先でそっと払う。
ストーブの火が、黒髪に赤い光を映してゆらめく。
グラスの中でワインが深く揺れ、夜が静かに沈んでいく。
アルナは黙ってその様子を見ていた。
やがて、空になったレヴィのグラスに静かにワインを注ぐ。
ふたりの間を、熱を帯びた沈黙が流れた。
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