魔女とレヴィ第4話                                        甘い香りに誘われて 


 百合夜がそんなやりとりに笑いながら、ボウルを差し出した。

 「ほらほら、混ぜるの得意なんでしょ? 手伝って」

 「……薬じゃないんだがな」

 ぼやきつつも、レヴィはスプーンを取った。


 やがて、エルとジャンが楽しげに並び、ライが味見をしようとして叱られる。

 チョコの甘い香りがさらに濃くなり、キッチンが笑い声で満たされていく。


 「できたっ!!」ジャンが歓声を上げる。

 ひとつ摘んで口に入れると、目を輝かせた。

 「めっちゃ美味しいっ!!」

 「ほんとだ……おいしい」アルも微笑む。


 レヴィは腕を組んだまま、彼らを見つめていた。

 騒がしくて、温かい。

 けれど――悪くない。


 チョコが冷めて固まる頃、テーブルの上には色とりどりの包み紙とリボンが広げられていた。

 レヴィは指先でリボンを器用に結びながら、ふう、と息をつく。


 「……だいたい、“営業用チョコレート”ってなんだ」

 ぼそりと呟くその声に、ジャンがピクッと反応した。

「え、義理チョコのこと?」

 「そう、それだ。そもそも聖バレンタインというのはだな――」

 レヴィは真面目な顔で語り始めた。

 「古代ローマで禁止されていた兵士の結婚を密かに祝福した司祭が――」

 「はいはい、レヴィ相変わらず器用ね〜」

 百合夜が軽く笑いながら、完成した包みを手に取る。

 「ジャンくん、アルくん、もう少し綺麗にリボンお願いね?」

 「はいっ」「了解です」

 ふたりが楽しそうに並んで、真剣にリボンを結んでいく。


 ライとエルは、少し離れた場所からその光景を見ていた。

 「……なんか、いいな」

 ライが呟くと、エルは微笑んで頷いた。

 「温かいな、人の家の明かりってのは」

 視線が交わり、二人の間に柔らかな空気が流れる。


 包み終えたチョコを籠に入れ、百合夜が立ち上がる。

 「さて、行きましょうか」

 「……はぁ、わかった」

 レヴィがコートを手に取りながら、ちらとエルを見た。

 「大樹が帰ってくる。頼んだぞ」

 「おー、大樹が帰って来るのか。何して遊ぼうかね……」

 エルが嬉しそうに笑うと、ジャンとライが同時に吹き出した。


 扉が開き、外の冷たい風が流れ込む。

 けれど、部屋の中はまだ甘い香りに包まれていた。

 その香りを背に、レヴィと百合夜は並んで歩き出す。


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