【独偏ベストテン 48-1】 バニラビーンズのシングル作品 (1~10位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 春ですねぇ 春と言えば、やっぱり女性アイドルの爽やかな歌声が似つかわしい季節ですよね~(←アラフィフのオヤヂに似つかわしくない書き出しですいません)。

 そんなこんなで(どんなだ)、今回の独偏は、2007年のデビュー以来、現在も活躍中の女性アイドル2人組、バニラビーンズ(以降、“バニビ”と書きます
)を取りあげてお送りしたいと思います。…はいはい、「お前のブログは’70~’80年代の歌謡曲を取りあげて紹介するブログじゃなかったのか…というお説はごもっともです。


左がアイドル&サブカル好きのレナ(キノコ頭担当)、右がモデル志望だったリカ(外はね頭担当)


オシャレトロな服装を身にまとうレナとリカ


 そんな当ブログであえてこの“バニビ”を取りあげる理由の一つは、もちろん私がとっても気に入っているから
。でもそれ以上に、’80~’90年代の青春時代に日本の歌謡シーンを経験してきた現在40~50歳代の方たちにも、音楽的にきっと楽しんでもらえそうな存在だから、というのが大きいですね。また、「いしだあゆみの独偏に続いてバニラビーンズを取り上げるなんて、メチャクチャだろっ」という意見も想定範囲内ですが、当ブログはずっと「時代と無関係に『良い』と思うものは分け隔てなく紹介していきたい」という基本ポリシーにやってますので、そこんとこご理解戴けると嬉しく思いますです

 閑話休題。正直言って、現時点ではまだメジャーな存在とは言えない彼女たち(オリコン最高位が23位)ですが、多くのグループアイドルが乱立する2000年代にあって、繰り返して聴くに充分耐えるコクのある楽曲(←これはプロの仕事として大切な要素です)を私たちに沢山提供してくれる素晴らしいアーティストなのですよモデル体型の2人が織りなすキュートな“バニビワールド”は、同性にも好意的に受け入れられそうですし、(今どきの他のアイドルと比べて)ヴォーカルが落ち着いていてそこはかとなく品性も感じられるので、年上の貴兄でも安心して応援できる点もお薦めポイントではないかと(私などはファンと言うよりもほとんど保護者的な気分ですが…)。

 ではここで、彼女たちの略歴をご紹介しておきましょう

 バニビは2007年10月に、“北欧の風にのってやってきた清楚でイノセンスな女の子”というキャラ設定で売り出した、レナ(キノコ頭担当)とリカ(外はね頭担当)の2人組アイドルユニットでした(過去形で書かないといけない理由はこの後すぐに分かります
。 それはそうと、“○○担当”と聞くとつい、おっ○い担当とか○間担当とかがいたあやまんJAPANを思い出してしまうショーもない私を許して…)。

 デビュー後間もなく、メンバーの片割れ(リカ)が脱退してアイドリング!!!に移籍する(何てことだぁ
)というハプニングに見舞われるという前途多難なスタートでしたが、新メンバー(リサ)が加わって、半年後には無事に2作目シングル「ニコラ」をリリース。いわゆる「オシャレトロ」と呼ばれる’60~’70年代風の衣装を身にまとうレナとリサのデビューコンセプトとの親和度は非常に良好で、キャラコンセプトは早い段階からすでに確立していましたね。その一方で、楽曲の売り出しコンセプトであるスウェディッシュ・ポップ路線は商業的にイマイチな結果(オリコンチャートで200位に入るのが精一杯…)となり、音楽的にはどんどん“ぶれ”ていくことになります(その“ぶれ方”が、図らずも私のような40~50代の好事家を喜ばせる結果になるのですが)。

 3作目以降の
シングルは、フリッパーズ・ギターピチカート・ファイヴあたりの渋谷系路線をベースに(作家陣として実際にカジヒデキを起用)、時おりPuffy的コンセプトやユニコーン的サウンドが見え隠れするという、’90年代の音楽シーンを知る者にとっては親しみやすくて懐かしい作品を次々とリリース。かと思えば、2011年に限定版シングルとして、あのレッド・ツェッペリンの伝説的名作「天国への階段」をカバーしたほか、2014年には’80年代アイドル歌謡の屋台骨を支えた井上大輔センセのお蔵入り作品「有頂天ガール」をリリースしたことが少し話題になりました。要は、バニビの作品には現在40~50歳代の琴線に触れる要素がてんこもり、ということです。

 ここ数年は安定してオリコン最高位20~30位台を叩き出しているものの、残念ながら商業的に厳しい状況を打破するには至っておらず、2015年にタワーレコードからavexへ移籍しています
。移籍後第1弾シングル「女はそれを我慢しない」は、それまでの路線とはハッキリと一線を画す売れ線狙いの一作ですが、レコード会社がレコード会社だけに売れない場合の見切りが早そうなのが心配…

 



 それでは、wishy-washyの独断と偏見による「バニラビーンズのシングルA面ベストテン」の順位発表に進みましょう
。記事の方は、1~10位と資料編の2回に分けてお送りします。今回はいつものやり方と少し変えて、第10位~第1位の全楽曲に短めなコメントを添える形で発表したいと思いま~す


第10位 U ♡(Love) Me 【オススメ度★★】
作詞:高見優、作曲:高見優、編曲:高見優
[2007.10.3発売; オリコン最高位189位; 売り上げ枚数0.0万枚(359枚)]

 バニビの記念すべきデビューシングル売り出しコンセプトであるスウェディッシュ・ポップ路線を手堅く具現化した佳曲だと思うのですが、残念ながら売れませんでした。…まぁでも、この曲が売れていたら、メンバーチェンジによってリサが加入することもなかったでしょうから、結果オーライですかねバニビはリサとレナの親和性が抜群だからこそ長年続いてきた、という面が大きいですし。



第9位 ノンセクション 【オススメ度★★】
作詞:木の子、作曲:今井晶規、編曲:大隅知宇
[2012.7.4発売; オリコン最高位31位; 売り上げ枚数?万枚]

 自分らしさを武器にして戦­う女の子がテーマの、ハードなサウンド展開を見せる一作。“ハイヒール”に焦点を当てたプロモビデオ中の2人がスタイル抜群で思わず目を見張るほどカッコイイのもgoodです




第8位 ニコラ 【オススメ度★★】
作詞:Chang Jung、作曲:阿部靖広、編曲:阿部靖広
[2008.5.21発売; オリコン最高位198位; 売り上げ枚数0.0万枚(360枚)]

 デビュー曲「U ♡(Love) Me」と同路線の2作目シングルは、新メンバーのリサにとって記念すべきデビューシングルであり、コンセプト的にも“バニビワールド”を最も端的に表す代表曲
と言って良いかも。ネオ・アコ&ソフトロック路線の優しく爽やかな風が、貴方の心をほっこりとあたたかくしてくれること請け合いの佳曲です




第7位 きっといい場所(フチ) 【オススメ度★★】
作詞:田形美喜子/信澤宣明、作曲:信澤宣明、編曲:信澤宣明
[2014.6.18発売; オリコン最高位23位; 売り上げ枚数0.5万枚]

 デビュー8年目、11作目のシングル。コップの縁(ふち)を擬人化するなんてニッチ狙いにもほどがある…
勢いがあってキャッチーな頭サビと、およそポップスでは使いそうもない珍しいメロディラインの中盤Cメロのコントラストが印象的な作品です。曲間に時々はさってくる ♪ フチフチっ が可愛い




第6位 ワタシ…不幸グセ 【オススメ度★★★】
作詞:前田たかひろ、作曲:中島靖雄、編曲:中島靖雄
[2014.4.23発売; オリコン最高位55位; 売り上げ枚数?万枚]

 「ワタシ…不幸グセ」は、♪ アンタ ウソはちゃんとついてよ~ とか、♪ 何でこんな男に 身も心も金も貢ぎ~ という昭和歌謡を地で行くような“粘度高め”の歌詞と、軽快なノリのメロディとのギャップが不思議な世界を生み出している一作。ちなみに私、しばらくの間、歌いだしのフレーズが”アンタ”じゃなくて”ハンター”だと思ってました…


 本来、この手のドロドロな世界はバニビのオシャレで爽やかなコンセプトとは相性が悪いかなぁ
と思ったら、作品全体をコミカル路線で処理することで技ありな仕上がりになってます転調をふんだんに使ったメロディ展開もいいですね


 背広姿のゴンゾー(芸人、ビミョーに二枚目半
)が無表情でキレのあるタンバリンを披露するプロモビデオはさすがにちょっと反則か。だって、こんなん絶対笑っちゃうやん…




第5位 マスカット・スロープ・ラブ 【オススメ度★★★】
作詞:カジヒデキ、作曲:カジヒデキ、編曲:関根卓史
[2013.5.8発売; オリコン最高位32位; 売り上げ枚数?万枚]

 上位5曲の一角に食い込んだのは、9作目のシングル「マスカット・スロープ・ラブ」でした
 …いやぁ、これはまさにカジヒデキの世界そのまんまオシャレで品のある彼女たちのイメージも相変わらずexcellentに仕上がっていて、彼女たちと渋谷系との相性の良さが分かろうというものです


 イマドキのアイドルにしてはフリの動きが少ない部類に入るバニビですが、この曲のプロモビデオでも、よく観察すると、身体のフリはあれこれやってても立ち位置だけはほとんど変わってないのが笑えます




第4位 サカサカサーカス 【オススメ度★★★】
作詞:田形美喜子、作曲:中島靖雄、編曲:中島靖雄
[2009.1.28発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]

 第4位の「サカサカサーカス」は、これはもう私が敢えて書くまでもなく120%フリッパーズ・ギターなわけです。この曲を聴くにつけ、“良質なモノは年を経ても色褪せない(古さを感じさせない)”という命題は間違いなく“真”だと思います(しみじみ)。それにしても、製作に手間・金・労力がかかっていることがよく伝わってくるだけに、もっと正当に評価されてもいいと思うなぁ


 ところで、曲間にはさまってくる ワン・ツー・スリーフォーファイヴ
のウィスパー・ヴォイスからすぐに広末涼子の「MajiでKoiする5秒前」を思い出した人は、めでたく私とお仲間(=変態 好事家)です(←そんなに嫌がるなよ)。




第3位 有頂天ガール 【オススメ度★★★★】
作詞:関谷謙太郎、作曲:井上大輔、編曲:大隅知宇
[2014.11.11発売; オリコン最高位40位; 売り上げ枚数?万枚]

 独偏の上位3曲に食い込んだのは、今は亡き井上大輔センセがかのWinkに書き下ろしたけどボツになった曲の存在を知ったレナが楽曲管理会社に頼み込んで、晴れてシングル化されたという13作目シングル「有頂天ガール」でした。いやぁ、でかしたバニビっ 私のような歌謡マニアにとっては涙が出てくるほど有り難いエピソードですよー。 あと、「有頂天ガール」のイメージは明らかにWinkよりもバニビ向きなので、作品の方でもバニビに歌ってもらって喜んでいるのではないかなぁ


 Puffyの大ヒット曲「アジアの純真」を思わせる言葉遊びの楽しいAメロ~Bメロ、’80年代の大ポップス大会が懐かしくも嬉しいサビメロ、バニビの健康的で元気をくれるヴォーカル…と、ちょっとテンション低めの時に良く効くおクスリのような作品
だと思います




第2位 プリーズミー・ダーリン 【オススメ度★★★★】
作詞:ENA☆、作曲:大隅知宇、編曲:大隅知宇
[2013.10.16発売; オリコン最高位37位; 売り上げ枚数?万枚]

 第2位にランクインしたのは10作目シングルにして、バニビのシングルの中で一番テンポが良くって、身体が自然と縦ノリ気味になってくるゴキゲンな佳曲「プリーズミー・ダーリン」でした~2人のキュートなヴォーカルはもちろん最高だし、サビメロとアレンジの見事な調和による作品としての高い完成度も特筆すべき点でしょう。この手の軽快なポップスもしっかり歌いこなせるし、おっとりほっこり系の楽曲もちゃんと聴かせてくれるアイドルなんて、そうそういるもんじゃないです。たぶん、'80年代の人気女性アイドル歌手の中にバニビを混ぜて、歌唱力で偏差値をとってみたら、ぶっちゃけ68くらいはいくんじゃないかな


 それはそうと、ヘッドフォンでこの曲を聴きながら尻ふってノリノリで口ずさんでる自分の姿は、息子達にぜったい見られないようにしないと…




第1位 チョコミントフレーバータイム 【オススメ度★★★★】
作詞:木の子、作曲:中島靖雄、編曲:中島靖雄
[2012.4.11発売; オリコン最高位26位; 売り上げ枚数?万枚]

 独偏ベストテンの第1位に見事輝いたのは、7作目シングル「チョコミントフレーバータイム」でした モータウン調でノリが良いだけでなく、次々とメロディアスに展開する流れがとても心地よくて楽しい作品です。どこか懐かしいのに爽やかで新しい感じがするのは、’90年代サウンドの単なる猿まねではなく、上手に“換骨奪胎”して高い完成度に仕上げられている証左でしょう。何度聴いても「素晴らしい」の一言に尽きますね


 perfumeのシングル作詞などで知られる木の子さんによる歌詞もgoodです(一箇所だけ「ら」抜きことばが気になりますが、その辺は
もう見なかったことにしよう…)。“愛の想い出のうち、甘い涙をチョコレートにして苦い想いをクールなミントに包んで、チョコミントフレーバーのできあがり~”なんていう可愛らしい発想は、オヤヂの私からはまず出てきませんからネ。あと、“苦い涙”という悲しい歌詞がセンチメンタルなメロディに乗っかって現れるという、作詞家と作曲家のさりげない技あり連携プレーもお見逃しなく…





 …さて、駆け足でベストテンの上位10曲をご紹介しました。結果的に、サビメロが凝った作りで繰り返し聴いても飽きることのない作品が上位3曲を独占するという、いかにも私の独偏らしい結果になりましたが、いかがでしたか… 今回は間違いなくほとんどすべての方が初めて耳にする作品ばかりだったのではないでしょうか


 最後に、バニビのavex移籍に関する個人的な思いを少しだけ。avex移籍によって、引き続きバニビがメジャーシーンで活動できることは何より喜ばしいことではありますが、他の凡百のアイドルとの差別化が曖昧になってきている点と、このままでは彼女たちの築いてきた“バニビワールド”の否定につながりやしないかという点が、かなり心配…というのが正直あります
。それでも、彼女たちもすでにデビューから8年が経過してますから、商業的な視点から見ればすでにそんな悠長なことを言っていられない段階なのでしょう(それもよく理解できます)。何とか彼女たちの魅力が損なわれることなく、かつ、製作サイドのプロとしての矜持が報われるような妙案がどこかに転がってないもんでしょうかねぇ…。

 いずれにせよ、本ブログを通じてバニビの素晴らしさが少しでも皆さんに伝わって、その結果としてバニビファンの裾野が広がってくれるといいんだけどなぁ…とでかい声でつぶやきつつ、今回はおしまいとします
。それではまたお逢いしましょう~