「夢を」(東京パフォーマンスドール)
作詞:松本一起、作曲:前田克樹、編曲:岩崎文紀
[1992.4.8発売; オリコン最高位73位; 売り上げ枚数0.5万枚]
[歌手メジャー度★★★; 作品メジャー度★★; オススメ度★★]
東京パフォーマンスドール(以下、パードル)再始動を伝えるニュース(動画)では、初代リーダーだった木原さとみ(さとP)が登場して当時の苦労話を語るわ、後輩達にエールを送るわと、すっかり世話焼きオバサンと化していたのが笑えました。もっとも彼女は若い頃からちょっとオバサンっぽいイメージの娘でしたが(でも実は私の“イチ押し”がさとPだったってことは、ここだけの話ってことで・・・)。 と、ついこんな風に懐かしく語ってしまうのは、何を隠そう(いや、別に隠すつもりはありませんケド)、当時27歳くらいだった私がパードルのファンクラブに入っていて、ライブにもけっこう足を運んだことと無関係ではありません(原真祐美嬢の歌に ♪ 27はオトナの男ね という一節がありますが、私は単なるガキそのものでしたがそれが何か・・・ あっ、話に付いて来られない方はスルーして下さいね~)。
パードルのライブでは毎回、その名に違(たが)わず、歌とダンスを核とした様々な“パフォーマンス”を披露してくれるのですが、それはそれは“金を払って見に行く価値がある”と実感できるステージでしたねぇ(何よりも、演出担当の中村龍史氏の手腕が光っていたのです)。パードルが何より画期的だったのは、“フロントメンバー(一軍)、ライブメンバー(二軍)、研修生(それ以下)に分けて、実力があれば昇格できる仕組みにした”ことで、“厳しいレッスンに裏打ちされた質の高いステージを見せてくれる”という点において、従来の女性アイドルとはハッキリと一線を画す存在だったように思います。
ちなみに上のCDジャケットの左から順に、市井由理、八木田麻衣、米光美保、篠原涼子、川村知砂、穴井夕子、木原さとみ・・・フロントメンバーの7人勢揃いの図です。リーダーが一番端っこで、当時から華のあるイメージだった篠原が真ん中に鎮座というのは、さとPファンとしてはちと複雑な気分ですが、構図としては断じて正しい・・・むむむ。まぁ、それにしても、それぞれ異なるキャラの立ったバラエティ豊かな7人をうまくフロントメンバーに選んだもんだよなぁ、これってちょっとした奇跡だったんじゃないか・・・(←さすがにこれは大袈裟)と、思わず感心しちゃったりなんかして。
ところで、パードルに対する世間一般の認識と言えば、いまや演技派女優としてその名を馳せる篠原涼子、あるいは、’90年代に“EAST END×YURI”として2曲のミリオンセラーを出した市井由理を輩出したグループ、といったところになるんでしょうか そうそう、つい昨日結婚記者会見を開いたばかりの女優 仲間由紀恵も、第1期(1990~96年)の末期に研修生として一時在籍していたことがあるのですが、篠原や市井と違ってフロントメンバーとして脚光を浴びることがなかったせいか、1996年に歌手デビューした際も、その後女優に転身してからも、私の記憶する限りにおいて、彼女が公式プロフィールなどで”パードル“の件に触れたことは一切ありません。まぁ、人生いろいろってことで・・・(←何だよ、このまとめ方)。
おっと、曲のことにも少し触れておかないと、レビューになりませんね。この「夢を」は、パードルがグループとしてリリースしたシングル作品としては、デビュー曲「WAKE ME UP!!」(1991.7.1発売)に続く2作目にして、オリコンに初めてチャートインした記念すべき曲です。・・・と書くと、デビュー2作目ですぐ売れたような誤解を招いてしまうので、急いで補足をば。彼女たちはそれ以前の約2年間の間に、ゴルビーズ(木原、篠原、川村)(←いま考えてもスゲぇユニット名だ)、原宿ジェンヌ(篠原、川村)、UL-SAYS(ウルセイズ)(米光、篠原、穴井)などのユニット、もしくは個人名義でシングル作品を合わせて20枚ほど出したものの、すべてオリコン圏外・・・。この「夢を」は、何かCMなどのタイアップを付けたわけでもなく、パードルの地道なライブ活動が少しずつ評価されてじわじわと人気が浸透してきた結果のチャートインだったからこそ、私としても非常に感慨深いものがありました。
さて、歌詞の方はこんな感じになっています。
(Aメロ) ♪ 空を見上げれば 傷ついた涙も
未来へかかる 虹に光ってる
(A‘メロ) 胸のときめきは 羅針盤みたいに
私の地図を広げ 追い立ててる
(Bメロ) きっと 明日も晴れる熱い風
きっと 私らしさ失わない
(Cメロ) 夢を 夢を抱きしめて 越えられない壁は
七つの海にもないわ Maybe Dream
(Cメロ) 愛を 愛を抱きしめて 優しさと勇気を
いつだって忘れないわ 情熱
(Aメロ) ♪ 遙か彼方まで 見通せる瞳は
真実さがす 予感光ってる
(A‘メロ) 髪が光っても Tシャツが濡れても
心の中は いつも輝いてる
(Bメロ) ずっと 自分のことを信じてる
ずっと 他人の手に触れさせない
(Cメロ) 夢を 夢を抱きしめて 新しい扉を一つずつ
開けてゆけば Maybe Dream
(Cメロ) 愛を 愛を抱きしめて 優しさと勇気を
いつだって忘れないわ 情熱
“将来の夢に向かって想いを馳せる”というストレートな内容の歌詞が、いつか努力が花開くことを夢見ながらパフォーマンスの腕を磨く当時の彼女たちをうまく象徴しているのが、かなりポイント高いです。これを“ポッと出”のそこいらのアイドル歌手が歌っても、多くの人はきっとピンと来ないでしょうから・・・。
曲の構成は、A-A‘-B-C(サビ)-C-A-A‘-B-C-C-C-C 。“アイドル色”が薄くてダンサブルな打ち込みサウンドが、いかにも初期のパードルらしさに溢れたカッコ良さが感じられていいんですよねぇ。この後パードルが、CMソングを歌ったり小室哲哉にプロデュースされたりと、歌手として新たなステージに進む(いわゆる“メジャー展開”ってヤツですね)ことを考えると、この「夢を」は、2作目にして早くも彼女たちにとって“ターニング・ポイント”となる位置付けの作品だったと言って良いでしょう。
と、何だか今回は曲と無関係な話が多くなってしまいましたが・・・、ま いっか(by 市井由理)。それでは最後にYouTubeをアップしておしまいとします。またお逢いしましょう~