ピンク・レディーは、テレビのオーディション番組「君こそスターだ!」での落選を経て、「スター誕生」の東京大会に参加してサロペット姿でフォーク・ソングを披露
。決戦大会でレコード会社と芸能事務所1社ずつからかろうじて札が上がり、何とか歌手デビューにこぎ着けます
。・・・そう、実に意外なことに、彼女たちは同じく’70年代デビューの桜田淳子や‘80年代デビューの中森明菜のように、最初から大スターになることを期待されて世に送り出された歌手ではなかった
んですね・・・。
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そんなケースでは、普通であればデビュー曲として手堅いフォーク・ソングが当てがわれ、おそらくはあまり売れることなくいつしか芸能界から消えていく運命となったはず
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かくして、阿久悠センセをはじめとする“仕掛人たち”は賭けに勝利し、ピンク・レディーは瞬く間に国民的人気者となりました
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そんなこんなで、我が国におけるこれまでの歌謡シーンを俯瞰するに、ピンク・レディー(とその仕掛人たち)ほどチャレンジングな試みを企て、かつ大きな実績を残したアーティストは他にいないといっても過言ではありません
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ピンク・レディーは、1976年8月25日にリリースされたデビュー曲「ペッパー警部」から1981年の解散までに、全部で22枚のシングルをリリースしています。このうち、連続ミリオンセラーを達成した1977年夏から1978年夏までの“最盛期”は、5作目の「渚のシンドバッド」から9作目の「モンスター」までの5作品。その後、アメリカ進出に打って出たわずか1年の間に、ピンク・レディーブームは潮を引くように去ってしまい、1981年3月に後楽園球場で開かれた解散コンサートの淋しい動員ぶりは、かつて一世を風靡した2人には酷なものだった
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ところが実際に、彼女たちの残した22作のシングルを聴いてみると、ヒットした作品のみが素晴らしかったというワケではなく、全盛期の作品はもちろん、1978~79年にかけて売り上げが急降下した作品群、そして1980~81年にかけて売り上げがジリ貧を極めた作品群、いずれも様々な魅力にあふれた秀作揃いだった
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それでは、長らくお待たせしましたが、順位の発表をば。今回は次点(11位)から6位までの結果を一気にどうぞ~
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次点 Last Pretender 【オススメ度★★】
作詞:糸井重里、作曲:高橋ユキヒロ、編曲:高橋ユキヒロ
[1981.1.21発売; オリコン最高位85位; 売り上げ枚数0.8万枚]
惜しくも独偏ベストテンの次点に泣いたのは、21作目のシングル「Last Pretender」でした~
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この作品に関するレビューで必ず語られるのが、「テレビ・ラジオ・コンサートで、ピンク・レディーが一度も歌うことがなかった」というエピソードです。そりゃそうでしょう
。元はと言えばこの作品は、Y.M.O.がピンク・レディーのヒットシングル群を分析して「テクノポリス」などのヒット作を飛ばしたお礼として提供されたみたいなもの。それに、Y.M.O.サウンドはそもそも“ステージで作り込んでナンボ”の性格であるため、“生歌を聴かせる”には極めて不向きな代物なんですよね・・・
。
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曲の構成は、A-B-A-B-C(サビ)-A’-B-C-Bと、かなり変則的と言えますが、高橋ユキヒロが作曲したと思えば違和感はありません
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第10位 DO YOUR BEST 【オススメ度★★★】
作詞:伊達歩、作曲:都倉俊一、編曲:井上鑑
[1979.12.5発売; オリコン最高位36位; 売り上げ枚数5.1万枚]
第10位に滑り込んだのは、ピンク・レディーのオリジナルシングル作品としては初めて阿久悠センセが作詞を外れた第一作である16作目シングル「DO YOUR BEST」でした
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曲の構成は、A-A-B-C(サビ)-B-C-A。初っ端から、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの超名曲「宇宙のファンタジー」を想起せずにはおられないイントロが哀愁を誘います
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第9位 サウスポー 【オススメ度★★★】
作詞:阿久悠、作曲:都倉俊一、編曲:都倉俊一
[1978.3.25発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数146.0万枚]
第9位は、ピンク・レディーとしては第2位のオリコン売り上げ枚数を誇る7作目シングル「サウスポー」でした~
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この「サウスポー」では、歌詞の全面的な書き直しのエピソードが有名ですよね
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第8位 世界英雄史 【オススメ度★★★】
作詞:伊藤アキラ、作曲:川口真、編曲:川口真
[1980.5.21発売; オリコン最高位45位; 売り上げ枚数1.7万枚]
第8位にランクインしたのは、18作目のシングル「世界英雄史」でした~
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まず詞の方ですが、ナポレオンから始まって総勢16人の歴史的英雄を登場させるといういかにもピンク・レディーらしい“風呂敷の拡げっぷり”です(歌詞を手掛けたのが阿久悠センセではないのがちょっと意外ですが)。実際には、この作品の主人公は16人の英雄たちではなく、「歴史には残らないけれど、私の歴史を作ったあの人(=私にとっての英雄)」という形で落とし前をつけているのが実に巧み
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曲の方は、さすがに私の敬愛する川口真センセだけあって、A-B-A-C-D(サビ)-A-B-A-C-D-C-Cと、定石をやや外した“凝った構成”になっています。後期ピンク・レディーを象徴するアメリカン・テイスト路線のイントロ(Cメロと同じ)からAメロまでが、アダルト&ハードな世界を表現しているのはまぁ“お約束”だとしても、その後に4小節のみのドラマティックなBメロ(♪ その名は英雄 たたかう男~)を挟むところなんかはいかにも川口センセらしいマニアックな仕事ぶりですし、サビのDメロ(♪ 忘れないひとりの人~)に至ってはちょっと悶絶モノの甘いメロディで、思わず聴き惚れちゃう
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第7位 S・O・S 【オススメ度★★★★】
作詞:阿久悠、作曲:都倉俊一、編曲:都倉俊一
[1976.11.25発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数65.4万枚]
第7位にランクインされたのは、彼女たちの2作目シングルにして、初のオリコン1位獲得曲である「S・O・S」でした~。イントロのモールス信号が電波法の規定によって流せないため、放送局が自主規制した・・・というエピソードは、あまりにも有名ですよね
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この「S・O・S」は、女の子に向かって「男の子には気をつけなさいよ」と優しく諭すような歌詞といい、8ビートに乗せた可愛らしい感じのメロディといい、ピンク・レディーの全シングルのうち、最もアイドルっぽい楽曲
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曲の構成は、A-A'-B-C(サビ)-A-A'-B-Cと、歌謡曲としては非常にオーソドックス。特筆すべきはやはり、サビ(♪ S・O・S S・O・S~)よりもBメロ(♪ この人だけは 大丈夫だなんて~)の方が美しい点(ミーとケイのハモリもgood
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第6位 モンスター 【オススメ度★★★★】
作詞:阿久悠、作曲:都倉俊一、編曲:都倉俊一
[1978.6.25発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数110.2万枚]
ピンク・レディーにとって最後のミリオンセラーとなった8作目シングルの「モンスター」が、第6位に入りました~
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曲の構成は、A(サビ)-B-B'-C-A'-B'-C-A'。彼女たちのシングルでは少数派の”頭サビから始まる作品”です。この曲では、どうしてもイントロで都倉センセがカマしたモンスターの笑い声「ワハハハハ・・・」のインパクトが大きい
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’70年代の歌謡曲では、シンセサイザーがまだ登場しておらず、その分、生楽器を使った重厚なサウンドが味わえるのが嬉しいポイントの一つだと思うんですが、中でも都倉センセが曲とアレンジを手掛けたピンク・レディーのシングル作品群は、様々な楽器が細かく配置されていて奥行きのあるオーケストラ・サウンドが楽しめるのが素晴らしい
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この「モンスター」に関しても、スネアドラムを効果的に使った分厚いサウンド、思わず身体がリズムをとってしまう小気味よいビート、覚えやすく味わいもある頭サビなど、“お子様”以外にも自信を持っておススメできる要素がてんこ盛りの秀作
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・・・それでは、今回の発表はこんなところでおしまい
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