さて、一ヶ月ぶりの独偏ベストテンでは、’80年代中期に、独特のメロディラインを引っ提げて男女ツイン・ヴォーカルという極めて斬新なスタイルで颯爽と登場したバービーボーイズのシングル作品を取り上げてみたいと思います
。記事の方は、「1~10位」と「資料編」の2回に分けてお送りする予定ですので、どうかお付き合いのほど宜しくお願いしますね~
。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140219/21/wishy--washy/06/08/j/t02200165_0400030012851758892.jpg?caw=800)
(後列左から、エンリケ、イマサ、前列左から、杏子、KONTA、コイソ)
バービーボーイズが、いまみち“イマサ”ともたか(G)、近藤“KONTA”敦(Vo、Sax)、杏子(Vo)、エンリケ(B)、小沼“コイソ”俊明(Dr)の5人でメジャーデビューしたのは1984年秋のことでした。男女混成グループなのに名前が「ボーイズ」なのは、杏子が男勝りな性格だったから・・・ではなく、もともと野郎ばっかりのバンドだった(杏子は後からゲスト参加した)からですね。ちなみに杏子の加入前はKONTAが一人で男女二役の歌詞を担当していた
そうなので、彼らの音楽の基本的コンセプトは最初から確立していたということなのでしょう
。
CBSソニーのSDオーディションでグランプリを受賞してデビュー、そしてデビューシングルのビデオクリップがフランスのサントロペ・ビデオ・フェスティバルでグランプリを獲得・・・などの経歴からも分かるように、バンドとしての個性と実力には最初から定評があったバンドでしたが、2年ほどセールス的に恵まれない時期を経て、7作目シングル「女ぎつね on the Run」あたりからシングルがじわじわと売れ始めてメジャーの仲間入りを果たしました
。その後もライブ活動とアルバムリリースを中心に数字を着実に残していた彼らでしたが、1992年に突然の解散宣言・・・、当時すでに人気のピークが過ぎていたとはいえ、セールスと動員力はまだ十分にあったような印象だったので、とにかく驚きましたねぇー
。解散後の雑誌インタビューなどによれば、どうやら、ステージ重視派の杏子と、スタジオワーク重視派のイマサ&KONTAとの間に、志向と思惑のずれが生じたことがバンドのバランスの崩れに繋がってしまった、というのが真相のようです
。う~む、なかなか難しいものですねぇ・・・
。
彼らの最大の武器といえば、やはり何と言っても“杏子のハスキーヴォイスとKONTAのちょっとこもり気味の独特なハイトーンが繰り広げる男女間の掛け合い”ってことになりますね。これは明らかに従来の“デュエット”とは一線を画すもので、ストーリー性のある男女の駆け引きを描いた作品群は、まるで“ドラマ”を見ているかのよう
。スリリングにそして妖しく展開する彼らのカッコいいステージは、実にドキドキ感に満ちた楽しいものでした~
そしてもう一つ忘れてならないのが、バービーの作品のほとんどの作詞・作曲を手掛けたイマサの存在でしょう。彼の紡ぎ出すマイナーコード主流のキャッチーなメロディは独特のセンスが光る“逸品”でしたし、シンセサイザーをあえて使わずその部分を自分のギターで埋めるという“こだわり”や、男女の恋愛をテーマにした作品が多いのに、ただの一度も“愛”というフレーズを歌詞に使わなかったというストイックなエピソードにも、大いに共感できるものがありました
。
それではこの辺で、独偏ベストテンの発表にいきたいと思います まずは第10位から第6位までを、さらりと参りましょう
。こんな結果になってま~す(
)。
第10位 三日月の憂鬱 【オススメ度★★】
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1989.11.1発売; オリコン最高位10位; 売り上げ枚数9.7万枚]
第9位 目を閉じておいでよ 【オススメ度★★】
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1989.1.1発売; オリコン最高位7位; 売り上げ枚数16.8万枚]
第8位 女ぎつね on the Run 【オススメ度★★】
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1987.4.1発売; オリコン最高位28位; 売り上げ枚数5.9万枚]
第7位 暗闇でDANCE 【オススメ度★★★】
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1984.9.21発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
第6位 なんだったんだ? 7DAYS 【オススメ度★★★】
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1986.10.1発売; オリコン最高位50位; 売り上げ枚数0.9万枚]
いかがでしょう、皆さんご存知の曲が登場しましたか・・・ もしここまでで知っている曲が一つもないとなると、これから発表する上位曲も“さっぱり分からず”という可能性大なのですが・・・
。ま、あまり気にしても仕方ないので、先に行ってみましょうね
。それでは、上位5曲を一気にどうぞ~
第5位 泣いたままで listen to me 【オススメ度★★★】
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1987.8.26発売; オリコン最高位19位; 売り上げ枚数4.3万枚]
第5位にランクインしたのは、8作目シングル「泣いたままで listen to me」でした~。デビューから一貫して浮気性の“だめんず”が主人公である作品の多かったバービーですが、この曲では珍しく男性側から女性に別れを切り出すシチュエーションが描かれています
。
ロックというとどうしても“荒削りでアバウト”なイメージを持つ人が多いのですが、バービーはそこらのロックバンドとはひと味違う。この作品でも、男女の心の動きが実に細やかに描写されているのが聴きどころになっているんですよね~
。私的には杏子が歌う ♪ 冷めてるカップ やだゆがんでる の部分がどういうわけだか気になってしょーがない・・・(←お気に入りのフレーズってことらしい
)。そしてまた、切なさを醸し出すサックスの象徴的なリフレインもgood
別れという現実を受け入れたくない思いが強いためにとってつけたような笑顔で縋(すが)りつく彼女を、冷たく突き放す男・・・。この辺の映像をイメージしながら、YouTubeをご堪能下さいね
。
第4位 もォやだ! 【オススメ度★★★】
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1985.2.1発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
第4位は、2作目シングル「もォやだ!」でした いまにして思えば、バービーボーイズの登場は、実に新鮮で衝撃的だったよなぁ・・・(遠い目
)。何しろ、男女が罵り合いながら場面が展開する曲なんて、それまでお目に掛かったことのない代物でしたからねぇ
。デビューシングル「暗闇でDANCE」から3作目シングル「でも!?しょうがない」まで、どれも似たようなコンセプトの作品なのですが、何度聴いても色褪せることがないのはやはり音楽的な土台がしっかりしているから
だと思います。
この曲でも、ある女性と付き合いながらも別の女性と浮気を繰り返す男の放蕩ぶりが、実に上手に表現されています()。そっかぁ、コイツにとっては“真剣な交際”じゃなくて“ゲーム”なんだぁ・・・
。
♪ 切り札のカードもばれたし
これまでのルールじゃきつい
行き詰まる前に早いとこ
逃げるのが勝ちのこのゲーム
あと、これは蛇足ですが、歌詞の中で何回も ♪ I don’t want you no more~ と連呼されるのがどうも気になってしまうのは私だけでしょうか・・・ notとnoを一文中で重ねるのは英文法的には間違いで、正しくは ♪ I don’t want you any more~ ですよね。 ま、別にど~でもいいっちゃいい話ですが・・・
。
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1985.10.2発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
ベスト3の一角に食い込んだのは、4作目シングルにして初のメジャー進行の作品となった「チャンス到来」でした 一度聴いたらその独特なテイストの甘いメロディが忘れられない
、初期からのバービーファンの間でも特にファンの多い秀作ですよね
。男女の修羅場を描いたそれまでのシングルと違って、♪ 私たちこれからいいところ~
の状態にある男女の様子を上手に切り取った歌詞も要チェック
なのです
。
(KONTA) ♪ ステレオ途切れたら 言葉につまづいた
どこかで聞こえてる 子供の笑い声
うかつに動けない 手も出せない
見つめ合うだけの Face to Face
(杏子) ♪ 誰かに来て欲しい この部屋二人きり
不思議と夜遊びの 誘いが今日はまだ
灯りも消せずに 決めかねてる
見つめ合うだけの Face to Face
(KONTA) ♪ チャンス到来 あらわになった 背中にMoonlight
チャンス到来 恥ずかしがった うなじがStand-by
チャンス到来 転がり込んで 秘密のジェスチャー
第2位 でも!?しょうがない 【オススメ度★★★★】
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1985.6.21発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
第2位に入ったのは、3作目シングル「でも!?しょうがない」でした~。バービーお得意の“男女間の掛け合い”をテーマとした作品の中でもとびっきりキャッチー&メロディアスな曲ってことで、私の大のお気に入り作品の一つ
。冒頭からいきなり“修羅場”で始まるのはもはや”お約束”で、KONTAが“ロクデナシ”の男をなんとも上手に演じているのがステキ
なんですよね~
。
(杏子)♪ バカバカバカ! my lover lover lover boy oh no
嫌々じゃやだ ますます悲しくなるの
ムードのない 無造作なキス
アパートのキー どれも突き返したいわ たまらない
(KONTA)♪ ばれたのなら いよいよ終りのサイン
飽き飽きしたぜ よそ行き仕立てのフェイス
(杏子) リードしない 怠惰なタッチ
スムーズじゃない よして冷たいその手でさわるの
そうそう、この曲に関しては、中指と人差し指で2本足を模した男女2人(マニュキアしてる方が女性)のやりとりが実に卑猥だったPVが印象深いのですが、YouTubeにありましたありました 懐かしいなァ・・・
。で、いったいどんな風に卑猥なのかは、皆さんの目でお確かめ下さいね(ヒント:YouTubeの3:35~3:45あたり・・・)
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第1位 負けるもんか 【オススメ度★★★★】
作詞:いまみちともたか、作曲:いまみちともたか、編曲:バービーボーイズ
[1986.4.1発売; オリコン最高位47位; 売り上げ枚数1.3万枚]
栄えある()第1位は、5作目シングルにしてバービーの唯一の12インチシングル「負けるもんか」でした
。わ~、パチパチパチ~
私に言わせれば、バービーの数あるシングルの中で最もスリリングでカッコいい曲っ
そして、小気味よく繰り広げられる“男女の心理合戦”と、まるでそれを煽るかのような性急なメロディが実によくマッチしている
のがポイントなのではないかと
。
以前ふった男にいきなり電話を掛けて強引に押しかける女。男とヨリを戻すつもりかと思ったら、単に男を試してからかってる風にも見える・・・
。この辺の女性心理は、いまだに“恋愛初心者マーク”を額に貼りっぱなしの私なんぞはさっぱり理解不能
なのですが、確かにこんな女が実際にもいそうです
。この辺り、しっかりとリアリティのツボが押さえられているよなぁと、作詞担当のイマサの手腕に思わず感心してしまうんですよね
。
こんなところで、独偏順位の発表はおしまいで~す 今回も長い記事を最後まで読んで下さった皆さん、本当にありがとうございましたm(_ _ )m 皆さんがお気に入りの作品はランクインしてましたか・・・ん
バービーボーイズ自体、聴いたことがなかったって
そりゃあまりにもったいない~
。確かに彼らは良くも悪くもアクの強い存在でしたから、いわゆる「食わず嫌い」が沢山発生したであろうことは想像に難くないのですが、彼らほど卓越したオリジナリティと実力、そして多数の名曲・・・これらをちゃんと兼ね備えていたバンドって、実はあまりいなかったのではないかなぁ
と思うんですケドねぇ・・・
。
それでは次回は、「【独偏ベストテン 40-2】 バービーボーイズのシングル作品 (資料編)」をお送りしたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いしますね。 またお逢いしましょう~