【独偏ベストテン 20-1】 ジャッキー吉川とブルー・コメッツのシングル作品 (6~10位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 通常営業に戻って一発目の独偏ベストテンは、私が幼少だった頃まで時代を遡って、ジャッキー吉川とブルー・コメッツを取り上げます。なお、記事全体の分量の都合上、今回は6~10位のみの発表になりますので、その辺どうかご理解のほどを

ブルーコメッツ
左上:井上忠夫(大輔)、左下:ジャッキー吉川、右上:三原綱木、右中:高橋健二、右下:小田啓義

 ブルー・コメッツ(以下、ブルコメ)は、米軍キャンプ回りのバンドマンによって1957年に結成されたロカビリー~ロックンロール・コンボを前身とする、GSブームの草分け的な存在でした。これまでに多数のメンバーチェンジを繰り返して、(何と)いまだに活動を続けてはいますが、セールス的に勢いがあったのは、GS史上最大のヒット曲と言われる「ブルー・シャトウ」をリリースした1967年をピークとした前後1年(つまり1966~68年)と言っていいでしょう。

 GS人気は、早くも1967年暮れにはアイドル的要素の強い後続GSグループ(タイガースなど)へと移行してしまったため、1968年以降のブルコメは、ターゲットをより髙年齢層に求めることを余儀なくされます1968年から1970年頃までにブルコメがリリースしたシングルを俯瞰してみると、GSサウンドを離れて、“歌謡曲”(ここで言う“歌謡曲”は、“ムード歌謡”の意味合いに限りなく近い)の枠組みの中であれこれ試行錯誤する様子がハッキリと分かります。ところが、GSブームの終焉という厳しい荒波の中、残念ながら彼らの奮闘が花開くことはありませんでした。1971年リリースの「雨の賛美歌」を最後にオリコン100位以内にランクインしなくなると、1972年8月発売のシングル「雨の朝の少女」を置き土産に、最盛期メンバーは解散してしまいます(注:その後大幅にメンバーチェンジを施して1973年に復活を遂げますが、グループの目指すところもサウンドの面でも1972年以前のそれとは別物なので、今回の記事では取りあげません)。

 ちなみに、最盛期のメンバーとしては、80年代に”井上大輔”名で作曲家として多数の名作ポップスを産んだ井上忠夫
(惜しくも2000年5月に逝去)岩崎宏美の「すみれ色の涙」の作曲などで知られる小田啓義(個人的には、コスミック・インベンションの「YA・KI・MO・KI」志賀真理子の「ひこうき雲」という超名曲のコンポーザーであることを強調しておきたいところです、郷ひろみのバックバンドリーダーを経てバンド「ニュー・ブリード」を引き継いだ三原綱木(それともつなき&みどりの片割れと言った方が馴染み深い・・・かななどがいます。改めて、錚錚たるメンバーが所属していたんだなぁ・・・と思いますね

 それでは、独偏ベストテンの発表に移りましょう
。今回は、10位から降順でいってみます


第10位 虹と雪のバラード 【オススメ度★★】
作詞:河邨文一郎、作曲:村井邦彦、編曲:川口真
[1971.9.10発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 札幌オリンピックのテーマソングとして、トワ・エ・モア盤が大ヒットしたことで有名な作品。このオリンピックが開催された当時、私はまだ6歳でしたが、スキージャンプ競技で笠谷、金野、青地の日の丸飛行隊が表彰台を独占したのを、テレビ画面を通じて一緒に喜んだのをはっきりと記憶しています
ところがこの曲、ブルコメ、ピンキラ(ピンキーとキラーズ)スクールメイツなどとの競作だったんですねぇ・・・。私がそれを知ったのは、実は大人になってからのことでした。まぁ、売り上げ枚数はトワ・エ・モアの“一人勝ち”だったようですが、ブルー・コメッツ盤もなかなか味があっていいですよ




第9位 海辺の石段 【オススメ度★★】
作詞:なかにし礼、作曲:井上忠夫、編曲:森岡賢一郎
[1969.10.1発売; オリコン最高位18位; 売り上げ枚数15.5万枚] 


 ブルコメ17作目のシングル。おそらく日本初と思われる“電気琴”の音と、女性スキャットをオブリガードとして採用して、日本情緒を巧みに醸し出すことに成功した、非常にアレンジの面白い作品です。作品のイメージに合わせて、歌唱法そのものもあえて変えているようです



第8位 生きるよろこびを 【オススメ度★★】
作詞:橋本淳、作曲:筒美京平、編曲:筒美京平
[1971.8.25発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 試行錯誤期にリリースされたブルコメ24作目のシングル。今聴くと、
にしきのあきらヒデとロザンナの歌う世界を思わせる典型的な“歌謡曲”に聴こえますが、当時としては
実験的要素の色濃いなかなかの意欲作だったのではないでしょうか。終始マイナーコードの作品ですが、テンポがいいせいか暗いイメージはなく、これはこれで私は好きですね



第7位 涙の糸 【オススメ度★★★】
作詞:橋本淳、作曲:筒美京平、編曲:筒美京平
[1969.4.25発売; オリコン最高位16位; 売り上げ枚数9.7万枚]

 ブルコメ16作目のシングル。前後の作品「雨の赤坂」と「海辺の石段」がいずれもムード歌謡だったのに対して、これは
典型的なR&Bです。同年初頭に大ヒットしたザ・キングトーンズの「グッド・ナイト・ベイビー」を意識した作品であることは一聴して明らかで、この時期はとにかく試行錯誤しまくってます・・・
。結果的にはあまり売れませんでしたが、“試行錯誤”期の作品としては、少し“余裕”と“救い”が感じられるという意味で、この位置にランクイン




第6位 マリアの泉 【オススメ度★★★】
作詞:万里村ゆき子、作曲:井上忠夫、編曲:森岡賢一郎
[1967.6.25発売; オリコン調査期間外につき最高位・売り上げ枚数なし]

 大ヒット曲「ブルー・シャトウ」の直後ということもあって、「ブルー・シャトウ」の延長線上を狙った作品。ヨーロッパの泉を念頭に書いたと思しき万里村ゆき子による詞が、センチメンタルで異国情緒あふれる井上忠夫の甘いメロディにピッタリはまった佳曲です
(肝心のレコードジャケットは、国内のどっかその辺の河川敷あたりで撮ったようにしか見えませんが・・・。また、フルオーケストラによる豪華で分厚いサウンドも聞きどころですねぇ



 ・・・今日のところはここまで。ベスト5の発表まで、少しだけお待ち下さいね~。それでは、ごきげんよう