【独偏ベストテン 20-2】 ジャッキー吉川とブルー・コメッツのシングル作品 (1~5位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 前回の記事に引き続いて、ジャッキー吉川とブルー・コメッツのシングル(A面)を対象とした、「wishy-washyの独断と偏見によるベスト10」と題してお送りします今回も数名の方から予想コメントを頂戴しました。いつも本当にどうもありがとうございます今回は、残りの上位5曲の発表です

 それと、これも毎度のことですが、
予想コメントを戴いてから私の方で順位を操作することは一切なく、純粋に私の好きな順位で並んでいますので、念のため。それでは5位から一気にどうぞ~


第5位 雨の賛美歌 【オススメ度★★★】
作詞:なかにし礼、作曲:井上忠夫、編曲:森岡賢一郎
[1971.1.10発売; オリコン最高位65位; 売り上げ枚数2.8万枚]

 ブルコメ21作目のシングルは、「草原の輝き」以来2年半ぶりのGSサウンドとなりました。筒美京平による「さよならのあとで」に代表される歌謡曲路線は“セールス”の観点からは一定の成功を収めたとされていますが、個人的な好みを言わせてもらえば、「ブルコメはやっぱりGSサウンドの方がイイッ!」ってな感じですねぇ。

 この「雨の賛美歌」もご多分に漏れず、井上忠夫の焼き印がついた、美味しいアンコがたっぷりの極上の“饅頭”に仕上がっています




第4位 希望にみちた二人のために 【オススメ度★★★】
作詞:橋本淳、作曲:三原綱木、編曲:高田弘
[1972.2.10発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]

 ブルコメとしては26作目、三原綱木作曲による作品としては「雨の赤坂」と「津軽の海」に続く3作目のシングル。♪ Don’t be afraid, baby… のフレーズが掛け値なく優しい、希望に満ち満ちた“人生讃歌”ということで、私は結構気に入っている作品です
。井上忠夫の作品群も素晴らしいんですが、個人的にはこのライン上にある三原綱木の作品も、もっといろいろ聴きたかったですねぇ。もっとも、これまでのブルコメ・サウンドとはかなり趣の異なるフォーク色の強い作品ということもあって、往年のブルコメファンの間では“賛否両論”あったであろうことは想像に難くありませんが・・・

 しかし、もうこの辺の時期になると、ブルコメがオリコン100位以内にランクインしていた時代もすっかり「いつのことだろう」といった感じになり、それが却って作品の自由度を上げる結果となったという見方もできるのではないかと思います




第3位 ブルー・シャトウ 【オススメ度★★★★】

作詞:橋本淳、作曲:井上忠夫、編曲:森岡賢一郎
[1967.3.15発売; (オリコン調査期間外) オリコン最高位14位; 売り上げ枚数4.5万枚]

 第3位はブルコメ8作目のシングルであり、「第9回日本レコード大賞」を受賞した「ブルー・シャトウ」でした
。この作品、「青い瞳」と「青い渚」の大ヒットで当時既に売れっ子だった井上忠夫が3分ほどで書き上げたというエピソードは有名ですが、この話からも、井上センセの素晴らしい才能の片鱗を伺い知ることができますね

 それと、この話題はもう“お約束”ってやつで、いまさら書くのがかなり恥ずかしいのですが、♪ 森とんかつ 泉にんにく~ (あーあ書いちゃった
。しかも太文字で) ・・・当時、日本に住んでいた小学生の95%(知らないけど)が一度は歌ったことのある替え歌の“元歌”で有名な作品でもあります

 この曲で彼の非凡さが出ているのは、やはりラストの ♪ ブル~ブル~ブル~ブル~ブル~ シャ~トウ~ の部分に、ありそうでなさそうな印象深いメロディーラインを当てた点だと思います。これで、元々からして見事な構成の曲に”ダメ押し”とも言えるインパクトを与えたわけです。国民的大ヒットを記録したのも、なるほど頷けますよね


 ・・・ところで、オリコン最高位と売り上げ枚数をご覧になって、皆さん「あれっ」と感じませんでしたか
 ・・・オリコンによるシングルレコード数の売り上げ調査が始まったのは、1968年1月のこと。つまり、この「ブルー・シャトウ」は、オリコンの記録では発売から10ヶ月間の売り上げ枚数がカウントされていないのです。先にも触れたように、歌謡曲なんか聴かない小学生の間で浸透するくらいの大ヒット曲ですから、もしオリコンが調査を行っていれば、間違いなく「最高位1位、売り上げ枚数は100万枚超」の記録となっていたことでしょう(ちなみに公称売り上げ枚数としては、150万枚という数字が残っています)。



第2位 草原の輝き 【オススメ度★★★★】
作詞:橋本淳、作曲:井上忠夫、編曲:筒美京平
[1968.6.30発売; オリコン最高位15位; 売り上げ枚数12.6万枚]


 「草原の輝き」は、アグネス=チャンとは同名異曲、ブルコメ13作目のシングル。まるでアフリカの広大な草原を駆け抜けるライオンを思わせるようなイントロが非常に魅力的な名曲です
サビの後半のブレイク部分に挿入されるティンパニーの響きも印象的ですし、何と言ってもドラムがタッタカタッタカと刻むリズムが軽快で気持ちイイんですよねぇ

 
そしてこの作品でも、”センチメンタルで美しいマイナーコード”と”希望に充ち満ちたメジャーコード”とをバランス良く組み合わせて、曲全体に変化と豊饒さを与えるという、井上忠夫センセお得意の技が冴えまくってます う~ん、お見事っ



第1位 何処へ 【オススメ度★★★★】
作詞:万里村ゆき子、作曲:万里村ゆき子、編曲:万里村ゆき子
[1966.12.5発売; オリコン調査期間外につき最高位・売り上げ枚数なし]


 栄えある第1位は、ブルコメとしては初めてのステレオ録音シングルとなった、7作目のシングル「何処へ」でした
。この曲で特筆すべきは、やはり何といっても、♪ こんな小さな街にも きっとあるだろう~ の部分のハーモニーが格別に美しいという点ですね
。・・・で、本ブログの読者がYouTubeをお聴きになれば、「はは~ん」と気づいて戴けると思うのですが、これは限りなく「ロシア民謡」に近いメロディーラインなのです(苦笑)。そんなわけで、私の選ぶ独偏ベストテンでこの曲が1位になってしまうのは、もう仕方がないことなのですね・・・(ぽりぽり)。この曲が発売された1966年といえば、日本全国の歌声喫茶でロシア民謡が歌われまくったピークの時期に当たっていて、この「何処へ」が、ロシア民謡の人気に当て込んでリリースされたことはほぼ間違いないと私は思っています

 
ところで、この曲のサビ部分のバックで、さりげなくフルートが活躍している(これ、かなり難易度高いですよ
)のはお気づきでしたか
 それはまるで、小鳥がさえずりながら枝から枝へとちょこちょこ飛び回るかのよう。このもの悲しいメロディを奏でているのがいまは亡き井上忠夫氏だと思うと、思わず涙がこぼれそうになるのです・・・



 ・・・さて、wishy-washyの選んだ「ジャッキー吉川とブルー・コメッツのシングル 独偏ベストテン」の発表は以上で終わりです
。皆さんのセレクトと比較していかがでしたか 次回は“資料編”として、シングル一覧と売り上げデータ等をお送りしたいと思います

 ここまでお付き合い下さった皆さん、どうもありがとうございました
。それではまた~