【独偏ベストテン 19-1】 坂田晃一 作曲シングル (6~10位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 コンポーザー別シングル作品を対象とした独断と偏見によるベストテンとしては第6回目となる今回は、日本テレビ系のグランド劇場をはじめ、’70から’80にかけてテレビドラマの主題歌を数多く手掛けた坂田晃一センセにご登場戴きましょう

 坂田晃一センセの紡ぎ出すメロディは、5/5の記事で取りあげた川口真センセと同じく、“ドラマティックで心の琴線に深く触れてくる
点に最大の特徴があります。お二人とも芸大出身ではありますが、坂田センセの方が川口センセよりもヨーロッパ的なクラシカル志向が強いという印象ですね。’70~’80と言えば私がちょうど学生だった時期に当たるのですが、その頃テレビから流れてくる主題歌で、「うわ・・・この作品はじーんとくるなぁ」と心を揺さぶられた作品はたいてい坂田センセのクレジットだったように思います。つまり私にとっての坂田センセは、もう幼い頃からずっと、「動向が気になって仕方がないコンポーザー」という位置付けなのです

 坂田センセによる’70年代の作品群は、どうしても当時の重厚なドラマのイメージに左右された「金太郎飴」的がモノが多めなせいか、ともすると「この人はこの手のワンパターンな作品しか書けないのではないか
」という疑問を持たれがちですが、それは“大いなる誤解”というものです(もっとも、この“定番”とも言える「坂田節」にハマったディープなファンがかなり多く存在することも確かですが)。坂田センセの作品を時系列的に俯瞰してみれば、同じテレビドラマ主題歌でも’80年代には、センセの最大の持ち味である「叙情詩的な味わい」を保ちつつ、新たな試みを取り入れる場面が随所に見られますし、ドラマと無関係の作品には、「おお、これは坂田作品とは思わなかった・・・!」と、思わず唸ってしまうものもあったりするのです

 ・・・さて、また長くならないうちにさっそく独偏ベストテンに移りましょうか
。今回のランキングは、図らずも坂田センセの「バラエティに富んだ作風」が少し理解して戴けそうな結果になったように思います。今回もベストテンの発表は2回に分けて、残り1回を資料編として計3回でお送りする予定です。そうそう、今回のベストテンでは、とある事情から、次点ではなく番外編が1曲ありますからね~。それでは、番外編からスタートして、第10位から第6位まで降順でどうぞ~

番外編 風のマドリガル (朝倉理恵) 【オススメ度★★★★】
作詞:朝倉理恵、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1974.6.21発売アルバム『誰のために愛するか』収録]


 この曲は、もともとカルピスのCMソングだったメロディを元に、朝倉理恵のアルバム用に完成品に仕上げた作品です。つまりシングルA面ではないのですが、もしシングルA面であれば間違いなく今回ベスト3に入ったはずの「“超”お気に入り作品」ということで、番外編として取りあげることにしました。以前の記事でも書いたかも知れませんが、私、こういうメジャーコードとマイナーコードが複雑怪奇に絡みあう作品が大好物でねぇ


 朝倉理恵といえば、40歳代の歌謡曲ファンなら、柏原芳恵の『あの場所から』のオリジナルを歌った人だという認識(実はこれは誤り
で、正しくは「Kとブルンネン」です念のため)の人が多いかも知れません。私も最初の頃はそうでした。ところがどうも、私が子供の頃に放送されていたテレビアニメ「アンデルセン物語」のオープニングテーマ「Mr.アンデルセン」(←これは私もリアルタイムで大好きな歌でした)を歌っていた桜井妙子がのちの朝倉理恵なんだそうですねぇ・・・。両方を聞き比べても、私は未だにピンときませんが




第10位 アゲイン (山本達彦) 【オススメ度★★】
作詞:伊達歩、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1980.1.25発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 読売テレビ系ドラマ『渚の女』主題歌。'80年代半ばにシティポップスシンガーとして活躍した山本達彦がまだ売れていなかった頃の作品です。坂田センセの書いたドラマの主題歌の中では、ドラマティックというよりも清々しさをより強く感じるという意味で、やや異色の曲かも知れません。この作品は曲もいいのですが、伊達歩こと伊集院静の書いた詞がまた決まってるんですよねぇ。

   ♪ もうすぐ春鮮やかに街は包まれる
     何度も言葉を探しここまで歩いた
     あの時言いたかった
     誰よりもあなたが欲しいと


 う~む、綺麗どころの女優さんを2人も奥さんにできるってのは、こういうフレーズがさらっと出てきちゃうあたりに”秘訣”がありそうな気がしますねぇ・・・




第9位 冬物語 (フォー・クローバーズ) 【オススメ度★★★】

作詞:阿久悠、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1972.10.10発売; オリコン最高位16位; 売り上げ枚数17.7万枚]


 日本テレビ系月曜スター劇場『冬物語』主題歌。深い愁いをたたえた詩の世界と見事に調和したマイナーコードの上品なメロディ・・・坂田センセの書くテレビドラマ主題歌の典型のような作品と言っていいでしょう
。あとは、歌謡曲にしては珍しくパイプオルガンが使われている点が特筆すべき点ですかね

 ちなみに、フォー・クローバーズでベースを担当していた志賀正弘(志賀ちゃん)は、のちにタレントに転身して「おんどピコピコ」などのヒットを飛ばすことになるんですが(私は年代的にこっちの方が馴染みがあるなぁ
)、果たして世間的にはどれくらい認知度があるのでしょうか・・・



第8位 白い季節 (西玲子) 【オススメ度★★★】

作詞:有馬三恵子、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1974.9.??発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 ポーラ化粧品CMソング。歌っている西玲子は、’70年代前半に、NHKで人気のあった音楽バラエティ番組「ステージ101」で一時司会者を務めていた人です。彼女、決して歌は上手とは言えないのですが、ほのぼのとした安らぎを感じるとっても愛おしい
作品です。また、「坂田センセって、ドラマ以外だとこういう曲を書くんだぁ・・・!」と思わず目からウロコが落ちた作品でもありますね



第7位 帰らざる日々 (ソニア・ローザ) 【オススメ度★★★】

作詞:岩間芳樹、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1975.5.30発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 NHK銀河テレビ小説『帰らざる日々』主題歌。歌っているソニア・ローザは、1969年にブラジルから来日して(これには何と小野リサの親父さんが一枚噛んでいたらしいです
)、本場のボサノヴァの魅力を日本に伝えてくれたルーツのような方です。

 この作品は、「限りなく歌謡曲に近い和製ボッサ」とでも言うべき名曲で、彼女が醸し出すアンニュイでスイートな囁きが私の心の琴線に触れまくり状態
これは困った・・・(なんでだ)。ところで、

   ♪ 閉ざされた部屋の 小さな日だまり
     ガラスの雨が 落ちて砕けてひざで散った~


のあたりでバックに響く“意図的に座りの悪い”余韻を残す楽器はやはり(フェンダー)ローズ・ピアノですかねぇ?正体がとっても気になるので、もしご存知の方がおられたらぜひ教えて下さいね




第6位 さよならをするために (ビリー・バンバン) 【オススメ度★★★】

作詞:石坂浩二、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1972.2.10発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数69.5万枚]


 日本テレビ系グランド劇場『3丁目4番地』の主題歌にして、坂田センセの唯一のオリコン首位獲得曲です。それにしても、この作品世界の尋常でない「落ち着きぶり」と「静謐さ」はいったい・・・私に言わせると、「歌う人を厳しく選ぶ」印象がとても強い作品です。少なくとも精神年齢に大いに疑問のある私
は、この曲を上手に歌いこなす自信はないですねぇ



 ・・・それでは、今回はここまでにしておきましょうか(←お前は家庭教師か)。次回は今回以上に“名曲そろい踏み”でお送りしますので、上位の発表まで少々お待ち下さいね~