【独偏ベストテン 19-2】 坂田晃一 作曲シングル (1~5位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 坂田晃一作曲のシングル(A面)を対象とした、「wishy-washyの独断と偏見によるベスト10」と題してお送りしています。今回は、残りの上位5曲を発表したいと思います。今回も何名かの皆さんから予想コメントを戴きましたが、果たしてどのように順位になったんでしょうか・・・

 そうそう、これもいつもと同じですが、予想コメントを戴いてから私の方で順位を操作するなんてことは一切せず、純粋に私の好きな順位で並んでいますからね~(念のため)。それでは5位から一気にどうぞ


第5位 ビビビのビ (高橋基子(モコ)) 【オススメ度★★★】
作詞:末松康生、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1972.5.25発売; オリコン最高位86位; 売り上げ枚数0.3万枚]

 松田聖子の26年も前に「ビビビ」を流行らせた(流行ってないか)という問題作(
)。一般の方がご存知の「坂田節」とはやや一線を画す、何ともいえない不思議なテイストを持った作品です。曲のスピードが途中でコロコロ変わるのは、クラシックの世界だと、チャルダッシュ(ハンガリーのジプシー音楽)のラッサンとフリスカの関係が有名ですが、歌謡曲の世界で、この曲ほど途中でスピードに変化を見せる作品というのはかなり珍しいのではないでしょうか

 この曲は、四人囃子の末松康生の手による歌詞もなかなかクセ者でしてね。「おまけに“チビ”で怠け者」、「歌だけ上手な“役立たず”」、「お勤め行かない“ごくつぶし”」なーんていう率直きわまりないフレーズはある意味無邪気でブラボーですが(だって、悪意ってモノが全く感じられないものね・・・)、昨今のご時世では頓珍漢極まりない「自主規制」とやらでアウトーッ
なのでしょうね・・・(ああつまんない時代になった)。



第4位 もしもピアノが弾けたなら (西田敏行) 【オススメ度★★★★】
作詞:阿久悠、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1981.4.1発売; オリコン最高位4位; 売り上げ枚数51.7万枚]


 日本テレビ系グランド劇場『池中玄太80キロ(2)』主題歌です。実はこの曲、最初は挿入歌として作られたもので、発売当初は元々の主題歌「いい夢みろよ」のB面として発売されました。ところが視聴者の反響があまりにも大きかったため主題歌に格上げされ、結果としてA面とB面もひっくり返ることになったという曰く付きの作品なのです


 坂田センセとしては珍しい「詞先」の作品だそうです。阿久悠センセが優しさ溢れる眼差しで「ちょっと不器用な男」をフィーチャーした詩(素材)の良さを存分に生かすあたたかいメロディ「んもう素晴らしいの一言に尽きます
坂田センセが'70年代に発表した作品群で見せた
「叙情詩的な味わい」は多分に残しつつも、「詞先」となるとガラッとイメージの異なる作風の作品を作ってしまうところなどは、さすがに職業作曲家の手腕だよなぁ・・・と思わず唸ってしまいますねぇ



第3位 旅路 (風車) 【オススメ度★★★★】
作詞:杉山政美、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1974.10.25発売; オリコン最高位77位; 売り上げ枚数2.5万枚]


 読売テレビ系ドラマ『氷紋』主題歌。イントロからして、ギターのアルペッジョ、リコーダーの奏でる中世ヨーロッパ風のメロディ、大地の奥深くから鳴り響いてくるようなストリングスが三位一体となって響いてきて思わずウットリしてしまう名作です


 前回記事でも書いたように、この作品も「メジャーコードとマイナーコードが複雑怪奇に絡みあう作品」であり、私が気に入ってしまう
のも無理のない話なのでした・・・。こうした「陰陽複雑混在パターン」というのは、私の守備範囲である「ロシア民謡」では割とありがちな構成なんですが、歌謡曲ではあまりないように思いますね



第2位 鳥の詩 (杉田かおる) 【オススメ度★★★★】
作詞:阿久悠、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1981.6.21発売; オリコン最高位10位; 売り上げ枚数28.0万枚]


 日本テレビ系グランド劇場『池中玄太80キロ(2)』挿入歌。私はこのドラマをリアルタイムで夢中になって見ましたけど、この曲が流れる場面になると、私の“涙腺発動スイッチ”が必ず作動し始めるという・・・
詞・曲・アレンジ・歌唱の4要素がお互いを見事なまでに支え合って多くの人の心の琴線に触れまくるこの曲の素晴らしさは、30年経った今でも まったく色褪せないなぁ・・・と改めて思います

 杉田かおるは、最近こそ「愛のエプロン」や「格付けしあう女たち」での暴走をきっかけに「魔王」と呼ばれるなど
、すっかりタレントとして“意味の書き換え”をしてしまいましたが、「チー坊」「浅井雪乃(金八先生)」「池中絵里(池中玄太80キロ)」・・・と、ある時期まで私くらいの世代にとっては圧倒的に「子役上がりの成功者」の代表格のような存在だったんですよねぇ(遠い目)。・・・まぁ私たちの思惑はともかく、本人的には「素の自分」が出せる今の方が幸せそうに見えるので、これで良かったのかも知れませんが・・・



第1位 さよならの夏 (森山良子) 【オススメ度★★★★】
作詞:万里村ゆき子、作曲:坂田晃一、編曲:坂田晃一
[1976.4.5発売; オリコン最高位76位; 売り上げ枚数3.3万枚]


 読売テレビ系ドラマ『さよならの夏』の主題歌。「天空の城ラピュタ」の主題歌「君をのせて」(作曲は久石譲センセ)を想起させるような懐の深いメロディーラインと森山良子の伸びやかなヴォーカルがたまらない逸品です
。・・・そう、私はこの「さよならの夏」が、「君をのせて」と非常に似たようなテイストの曲であることから、「この曲はいつかジブリ作品でカバーされるんじゃないかなー」と、結構以前から密かに思っていたんですね・・・。そのくせ昨年になって、「コクリコ坂から」の主題歌として本当にカバーされることが発表された時には、ちょっとにわかには信じられませんでした・・・(←なぜお前がうろたえる)。これはつい最近知ったことなのですが、実は宮崎駿氏はずっと前から自分の映画に使おうと考えていたんだそうです(そうなんだぁ・・・ちょっと拍子抜け。でもプロの行動パターンを当てたってことで喜んでいいのかな)。

 手嶌葵によるカバー(オリコン最高位22位)も決して悪くないと思うのですが、私としては、奇を衒うことなくストレートに謳い上げたオリジナルの方に軍配を上げたい
ですね~



 ・・・さて、毎度のことながら、長い記事をここまでお読み下さった皆さん、どうもありがとうございました
。例によって今回の独偏ベストテンを上位から順に並べて書き下しておきますね。次回の記事は 【独偏ベストテン Vol.19-3】 坂田晃一 作曲シングル (補足&資料編) と銘打ってお送りしたいと思いますので、引き続きお付き合い下さいね~。それではごきげんよう~

【wishy-washyの独偏ベストテン 坂田晃一作曲シングル】
第1位 さよならの夏 (森山良子) 【オススメ度★★★★】
第2位 鳥の詩 (杉田かおる) 【オススメ度★★★★】
第3位 旅路 (風車) 【オススメ度★★★★】
第4位 もしもピアノが弾けたなら (西田敏行) 【オススメ度★★★★】
第5位 ビビビのビ (高橋基子(モコ)) 【オススメ度★★★】
第6位 さよならをするために (ビリー・バンバン) 【オススメ度★★★】
第7位 帰らざる日々 (ソニア・ローザ) 【オススメ度★★★】
第8位 白い季節 (西玲子) 【オススメ度★★★】

第9位 冬物語 (フォー・クローバーズ) 【オススメ度★★★】
第10位 アゲイン (山本達彦) 【オススメ度★★】
番外編 風のマドリガル (朝倉理恵) 【オススメ度★★★★】