【お薦めシングルレビュー 9】 飛行少年 (寺尾聰) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 「やま」といえば「かわ」、「ナボナ」といえば「お菓子のホームラン王」、そして、「寺尾聰」といえばもちろん「ルビーの指環」ですよね(出だしから無理矢理なフリでどうもすいませんねぇ

 で、最初は、「今日のレビューは『ルビーの指環』でいこう!」って考えてたんですけどねぇ・・・。改めてオリコン売り上げ枚数を確認したら、何と134.1万枚!ひー。うすうす分かっちゃいたけど、さすがに私がいまさらお薦めするまでもないなぁ・・・って急に書く気が失せてしまったわけです
(実際は、そんな超有名曲をテーマにして一本書く自信とネタの持ち合わせが単になかっただけなんですが)。

 というわけで今回は、「ルビーの指環」と同じくらいお気に入りだけど、世間的にはそれほど知られていない作品を取り上げることにしました。これです


「飛行少年」(寺尾聰)
作詞:有川正沙子
、作曲:寺尾聰曲:井上鑑
[1983.10.21発売; オリコン最高位39位; 売り上げ枚数2.3万枚]
[歌手メジャー度★★★★★; 作品メジャー度★★★; オススメ度★★★★

飛行少年(寺尾聰)

 寺尾聰といえば、世間の認識はすっかり俳優・・・?表情はもちろん、飄々とした雰囲気なんか、ますますオヤジさん(宇野重吉)にそっくりになってきましたよね。

 実はこの曲、もともとは
オヤジさんの舞台劇「エレジー」(1983年)のオープニングとエンディングで、寺尾聰のスキャットを乗せた形で流されたもの。それにあとから詞とタイトルを付けて発売された・・・という、ちょっと変わった経緯で誕生した作品なのです

 で、その「有川正沙子センセがあとからつけた詞」というのがとにかく素晴らしい。大人の男のロマンと渋さを巧みに表現した詞がとってもしびれるんですよね。

♪ マリブ マジョルカ スリランカ セイシェル
  時の流れを忘れてる島々
  思い立ったら羽ばたくのさ 光のページこの手でめくる
  人生とは遊びと汗のパズル・・・

♪ パナマ経由 カリブ海渡れば
  失くした恋が 胸の中吹き荒れ
  思い立ったらつばさ広げ 気の向くままに裸足になるさ
  人生とはワインと恋の手段・・・

♪ キャナリー キャロリン プーケット マルジブ
  息をするたび情熱が戻るぜ
  思い立ったら飛び立つのさ 重い荷物は昨日に捨てて・・・

 どうですか、鳥になった自分が現実のしがらみから開放されて大空を飛び回る・・・そんな素敵な光景が目に浮かびませんか。

 それとやっぱり、「人生とは遊びと汗のパズル」、「人生とはワインと恋の手段」というフレーズがねぇ・・・
う~~ん、かっこ良すぎる。ま、残念ながら私は、こんなセリフが似合う男には死ぬまでなれそうにありませんけどね・・・(きっぱり)。

 曲の方は相変わらずの寺尾節炸裂で、曲だけ聴くと、「好きな人は大好き、苦手な人はパス
」といった感じの、ややクセの強いメロディーラインとコード進行・・・(私はもちろん前者。だけどこの「飛行少年」では、スケールが大きくて自由奔放な詞の世界が、軽快なシャッフルに乗ることで、実に効果的に生きています。

 ・・・そうそう、2番と3番の間に挟まれる少し長めの間奏も、この曲の「聞かせどころ」なので、ちゃんとチェックして下さいね

 それでは、YouTubeの方をどうぞ!