引き籠り次男のリクのキーボードの調子が悪くなって、新しいキーボードを買おうと考えているようでした。
(前回の話はこちら)
これまでは、祖父母からもらったお小遣いなどの手元のお金で、パソコンや周辺機器を買って来たリクですが、さすが今までパソコン、ディスプレイ、ヘッドセットと色々買っているので、そのお金も底をついていました。
そこで、つい「アルバイトしてみては?」と言ってみました。
ここ何年かは、リクに勉強やら、アルバイトやら、趣味でも何かしら動いてみてはどうかという話はしていませんでした。
リクが不登校になって、引き籠って少し落ち着いた頃は、通信制の高校はどうかとか、高卒認定試験を受けてはどうかとか、アルバイトをしてみてはどうかとか、色々な提案をしたものですが、返事はなくいつも無言でした。
つい「アルバイト」と言ってしまって、ちょっとまずかったかなと思ったのですが、大丈夫でした。
「アルバイトは始めればできると思うけど、始めるのにはハードルがあるでしょう?」
と、リクは言い訳をしてきました。
うん、そうだよね。リクは経験のないことを始めるのが、苦手なのです。
特に他人が絡んだことは、拒否反応を起こしてしまう事も多いのです。
「そうなんだけど、始めるきっかけと思ってやってみるのもいいんじゃない?
全額稼がなくても、ほんの少しでも稼いでみるきっかけだと思ってやってみても」
「うーん」
アルバイトという言葉で、またリクは無言になるか、少なくとも言葉を詰まらすかと思ったのですが、思ったより拒否反応はありませんでした。
「じゃぁ、通帳のお金を使う?そこはリクの選択だから好きにすればよいと思う」
と本命の案を出して見ました。
この通帳のお金を使うというのも、リクには初めての経験なのです。
すると、リクは「うん」と言いました。
たぶん、最初から通帳のお金を使おうと思っていたけど、私からハードルの高い提案をされて、少し戸惑ったけど、冷静に?受け流せたというところだったのでしょう![]()
私としては、アルバイトと言う少し背伸びをした案を話すことができて、それに対して無言ではなくリクが言い訳して来たと言うだけでも収穫だったかなと思いました![]()
