引き籠り次男のリクが歯医者に通い出し、歯の被せ物を選んでおいてと言われました。
「どれでもお金を出すから、好きなのを選んで」と言ったのに、
一番安い、「保険適用のにしようかな」と言ってきました。
そして、その理由は痛んできている椅子を買って欲しいからでした。
(前回の話はこちら)
椅子はずいぶん前から痛んでいて、長男のカイが椅子を買い替える時に、古い椅子をリクが使うか聞いたこともあったのですが、リクは要らないと言っていました。
カイの古い椅子は、リクが今使っている椅子よりはずいぶんマシな状態で、元々の値段だってそんなに安い椅子ではなかったのですが、リクは要らなかったようです。
でもついに、椅子が欲しいと言い出しました。
今まで、欲しいものがなかったのか、欲しいものがあっても手持ちのお金でなんとかなっていたからなのか、引き籠って以来、リクがおねだりしてくることは一度もありませんでした。
ハッキリ「買って」とは言いませんでしたが、どうやら椅子を買って欲しい様子でした。
実は、もうずいぶん前の事から椅子をねだられることを予想して、カウンセラーさんに相談していました。
「リクの椅子が痛んでいて、たぶん買って欲しいって言ってくるんじゃないかと思うんですよね。生活必需品というわけではないですけど、リクにとってはゲームやるにしても必需品だと思うんですが、買ってあげた方がよいでしょうか?」
「買って欲しい」と言われて、何でも買ってあげるのは、どうかと思うし、
かといって、買ってやらないのもどうなんだろうと迷っていました。
リクは、ほとんどお願いやおねだりをしないので、おねだりをすると言うのは、よっぽどの事なのです。
それを簡単に拒否するのは、ちょっと良くないのではとも思いました。
カウンセラーさんも、同じように考えたようで、
「折半にすると提案してはどうでしょうか?」とアドバイスをくれました。
もうカウンセラーさんとはお別れして、一年近くたちますが、このアドバイスを有効に使わせてもらう事にしました。
「歯を高いのを選んでも安いのも選んでも、椅子を買うのとは別の話だよ」
「じゃぁ、(歯も椅子も)どっちもお金出してくれるの?」
「歯はどれでもお金を出してあげる。
椅子は、折半にしよう!」
そう言うと、リクは部屋へ戻り、少ししてから出てきて
「ジルコニアにする」
と、保険適用外の歯にすることに決めたようでした![]()
