2020年春の事です。

 

コロナの給付金が1人10万円配られるということになりました。

手続きは旦那がやって家族4人分は、一括して旦那の口座に入金してもらい、各自に配るということにしました。

 

「10万円もらったら、リクは何に使うかな?」

旦那は、期待を込めて引き籠っている次男のリクは、パソコンを買うんじゃないかと予想していました。

普段、あまり話さない旦那とリクですが、パソコンは数少ない共通の話題の一つでした。

リクがパソコンを買うと言ったら、旦那も嬉しいんだろうなと思いました。

 

ちょうど夕飯時にテレビで国民全員に10万円配るというニュースをやっていたので、旦那が、

「10万円何に使う?」といきなり、リクに聞いていました。

 

「いらない」

 

残念ながらリクの答えは私の予想通りの答えでした。

私は数年前、リクにお年玉の受け取りを拒否されたことを思い出してしまいました。

 

(お年玉の受け取りを拒否された話はこちら)

 

ちょっと不意を突かれたのか、諦めきれないのか旦那は、

「10万円は各自に配るから」

と、付け加えました。

 

リクは

「食費にいれといて」

と言って、食べ終わって部屋へ戻っていきました。

 

以前、何かしら動いてほしくて、最低バイトして食費を少しでよいから入れて欲しいと話したからだろうかと、私はとても悲しい気持ちになりました。

 

一晩考えて、翌日、リクと2人になったときに、給付金について話しました。

「食費に入れるって言ってくれてありがとうね」

 

食費に入れると言う発言は、私にとっては歓迎できる発言ではありませんでしたが、リクからすると、少しでも私の希望に応えたいと思って言ったのではないかと思い至り、そこは受け入れなければと考えたのでした。

 

「だって、いらないもん」

「でも食費の事、気にしてくれたんでしょう?

あと、1つお願いがあるんだけど、一回は10万円、受け取ってくれないかな?

その後、食費としてすぐに渡してくれていいから」と話しました。

リクは、これについては了承してくれました。

 

そして、2ヵ月くらい経って、給付金が旦那の口座に振り込まれました。

旦那は、もちろんリクの答えを覚えていて、私に「リクに渡して」と10万円が入った封筒を渡そうとしてきたのですが、私は断って旦那から渡してもらいました。

 

旦那は、リクの部屋へ行って「パソコン買い換える資金にでもしろ」と言って、渡したそうです。

 

私は、すぐにリクが部屋から出てきて「はい、食費」と言って、そのまま封筒を渡してくるのではないかと、心配していました。

 

でも、2ヵ月の間に気持ちが変わったのか、旦那が言った「パソコン買い換えの資金」で思い直したのか、10万円は食費には入れられませんでした笑