前回のナイフ記事がサイト外から読まれてるみたいなので、専用テーマを作って色々紹介する記事をいくつか書いてみたいと思います。
今回はフォールディングナイフのオープン方法について。
恐らく大抵の人が、フォールディングナイフと言われて想像するのは「畳まれたナイフに爪を引っ掛けて引っ張り出す展開方法」だと思います。
これは「スリップジョイント」などと呼ばれる、非常にクラシックなオープン方法です。ビクトリノックス/スイスアーミーナイフなどはその一種です。
スリップジョイントは構造上、頑丈な面はあるのですが、両手でしっかり握りながらでないと安全に開けない、という欠点があります。
現代ではこの欠点を補うべく、片手で簡単に展開できる方法がいくつか開発されています。
本記事はそれらの中で最もポピュラーな展開方法のいくつかについて、動画も交えて紹介していきます。
まずはこれ、フリッパー(リアフリッパー)タブ。
写真の矢印の箇所を下側にストンと下ろす方法で、反対側のブレードが跳ね上がるようになっています。
音も聞いてもらえると嬉しい。
カチャッと気持ちのいい音がするので、これが病みつきになってしまうと、ナイフマニアの入り口となります。
利点はとにかく簡単で確実という点ですが、悪く言えば面白みがないと言われることもあります。
またタブの部分は展開すると前側に移動するので突出してしまうため、デザイン上の制約がかかる点も場合によってはマイナスです。
ナイフ評論には「fidgety(フィジェティー)」という言葉があって、翻訳ソフトを使っても「そわそわする」「落ち着きのない〜」みたいな訳し方になってしまうんですが、ナイフ文化圏では「手指を遊ばせることができる」みたいな意味で使われています。
フィジェット・トイなんて呼ばれて、日本だと無限プチプチみたいなオモチャや、ボールペンのカチカチクルクル遊びがメジャーですね。
カチャカチャと音を立てたり指を遊ばせるのが楽しいナイフに対して「very fidgety」などと褒めている英語のレビュー動画がたくさんあります。
この観点から言うと、フリッパーは単調すぎてあまりフィジェティーとは言えません。
というわけで次は
サムスタッドと呼ばれる、ブレードを挟むように取り付けられた突起によるオープン方法。
これを親指や中指で押し上げてやると、それに伴ってブレードも持ち上がる方式です。
利点は単調にならない展開方式と、フリッパーのようにタブがないのでデザインの制限が少し緩和される点。
代わりにスタッドが研ぐ際に少し邪魔になってしまうことがあります。
動画ではゆっくり展開していますが、勢いよく開くことも可能です。
あまり実践している人はいませんが、ゆっくり開くことで衝撃を弱め、パーツの摩耗を低減させる時に役立ちます。
或いは、上のように裏側から中指で押し出すやり方。
こちらは「リバースフリック」とか「スパイディフリック」と呼ばれていて、非常に気持ち良い音と共に素早く展開されます。
人差し指で開くこともできるので、色んな指を使ってカチャカチャと開け閉めするのはとてもフィジェティーで楽しいです。
フォールディングナイフは切断する道具として以外に、フィジェット・トイとしての機能も果たすのです。
続いてはサムホール。
ブレード穴が空いており、サムスタッド同様にここに指を引っ掛けて展開するタイプ。
画像左のSpyderco(スパイダルコ)というメーカーが取り入れてメーカーの代名詞となり、一躍有名になりました。
利点はスタッドほど邪魔にならない点ですが、形状によっては親指が引っ掛けづらく、リバースフリック推奨になってしまう場合がある点はマイナス。
ブレードに穴が空いたデザインが好きでない人もいます。
サムスタッドほど力加減に迷わないので開けやすく、動画のように素早くカチャカチャいじれる点が秀でていて、個人的には一番好きな展開方法です。
販売されているナイフの傾向やレビュアーの意見を統合すると、どうやらサムスタッドが最も人気のある展開方法のようです。
まぁ、どっちも手に入れて両方の違いを楽しみながら遊ぶのがベストでしょう。
この他に「サムディスク」と呼ばれる似たような方式もあるのですが、所持していないので参考動画をお借りします。
ディスク状の突起をナイフと垂直に付けちゃうという、大胆な発想。
個性的ですがあまりメジャーではなく、ナイフマニアしか欲しがりません。
それと少し珍しいオープン方法のナイフも持っているので紹介します。
ちょっと左右対称で分かりにくいですが、こちらは前側にフリッパーがあるタイプの「フロントフリッパーオープン」です。
普通の(リア)フリッパーと比べて開けづらい方法ではあるんですが、親指や人差し指など複数の開け方があるので、フィジェティーを求めるマニアには評価されていて、最近はこのタイプもよく見かけます。
日本だと肥後守やフェデカがこれの一種ですが、あちらは勝手にブレードがスライドせず、最後まで自分で開ききるタイプです。
またこのナイフには(リア)フリッパーも存在します。
ただしタブは無く、ジンピング(ギザギザ加工)の入ったライターの着火ホイールのような箇所を押し下げることで展開します。
実際にライターから着想を得た形状で、「ホイーラーオープン」と名付けられています。
タブが無いのでデザインの制限から解放されて、一見するとナイフに見えない外観のデザイン化に成功していて面白いです。
こんな感じでね、ロック方法も面白くて飽きないナイフです。
メジャーなものは紹介しましたが、未だに多くのマニアを惹きつけるクラシックなオープン方法も紹介します。
「スリップジョイント(左)」と「ロックバック(右)」です。
左は厳密にはスリップジョイントではないのですが、要するにどちらも「爪を引っ掛ける窪み(ネイルニック)に爪を立て、ブレードを引っ張り出す方式」の古くからある展開方法です。
利点は展開した時に頑丈なことなんですが、現代では素材が進化しているのでフリッパーなどとそれほど大差がないという実感があります。
展開に両手を使う必要があったり、構造上どうしても重量が増してしまうこともあり、あまり実践的な方法でもないです。
大事なのはそれが100年以上前から使われている「古き良き」構造である点で、これにしかない良さを味わうことのできる人、「趣」重視のマニアには今でも高く評価されている点でしょう。
実際私もわざわざ右のロックバックナイフを購入しましたが、非常に味わい深く、お気に入りのナイフです。
上はネイルニックが付いているスリップジョイントと見せかけたフリッパーナイフ。
ネイルニックに爪を引っ掛けてリバースフリックも出来ちゃう面白いデザイン。
なかなかレアなデザインです。
紹介は以上です。
このように片手で素早く展開することができ、なおかつ手元で遊べるフィジェティーなナイフが現代の主流で、毎月おびただしい量の新作ナイフが発表されています。
個人的に読者の方々も、50ドルくらいのサムスタッドのナイフを一本買ってみて欲しいな〜という願望があります。
50ドルは興味がない人にとって非常に高価だと思います。それでも、台所に一本置くだけで生活の質が「楽しい」方向に1ランク上がった実感があるので、是非ともお迎えしていただきたいなと思っています。
できれば、包丁研ぎの環境が既にあるといいですね。なければビクトリノックスなどから発売されているポケットシャープナーを手に入れて、自身で研ぎながら使い込むと愛着が湧いて、ポケットナイフ文化を楽しむことが出来るようになると思います。
次回はオープン方法と同等に重要な「ロック方式」について触れたいと思っています。
今回は以上です。
雑記おわり






