ボードゲーム紹介記《オーズトラリア》 | ウィンテルフィギュア怪奇譚

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今回はこちらの『オーズトラリア』をご紹介します。

重ゲー(プレイ時間やプレイ感が重厚なゲーム)です。
マーティン・ウォレスさんというイングランドの有名なゲームデザイナーの作品で、舞台は並行世界のオーストラリア。
オー「ズ」トラリアと名付けられた大陸を開拓するゲームなのですが、『クトゥルフや神話生物が旧世界を支配していた並行時間軸の地球』という設定なので、それら旧支配者が眠る大地があるハードな世界観なのがひとつの特徴。
プレイ時間は30分×プレイヤー人数と設定され、かなり重たいゲームとなっています。


まずはコンポーネント。
巨大な六つ折りのメインボードや個人ボード、そして開拓ゲームらしい土臭さのある鉄鋼や木炭のコマ。
素晴らしいイラストが添えられた各種カード。
クトゥルフ要素を表した紫色のコマたちも目を惹きます。


金鉱石にはメッキが使われていて、とにかくリアルなコンポーネントには驚くばかり。
さすが7000円越えのゲーム…気合いの入れ方が違います。


セットアップ完了。
我が家の小さいテーブルにギリギリ収まりました。

基本的な流れは個人ボードからアクションを選び、鉄道を敷いて採掘しながら農場を配置して金と勝利点を得る…みたいな開拓ゲームです。


プレイヤーはメインボード周囲の『時間トラック』を進みます。
各種アクションには『行動時間』がコストとして表示され、そのコストに従ってトラックを進め、いちばん数字の若いプレイヤーが手番を行う…という進め方。

と、ここまでは普通の開拓ゲームなのですが、ある時間を境に旧支配者たちのコマが時間トラックに乱入して様相が一変するのが、この作品の最大の特徴であり魅力です。


序盤はオーソドックスな開拓ゲーム。
しかし盤面には裏返された不穏な旧支配者タイルが…


旧支配者が乱入し始めると、そこから決まったルールに則って怪物たちが動き出します。
ランダム要素が強くて読めないのが恐ろしい部分で、せっかく開拓した農場が荒らされていきます。


プレイヤーは、この旧支配者の進行を止める必要があるため、軍備にも資金と時間を割くことになります。
本ゲーム最大の特徴として、この旧支配者も時間トラックを進み、勝利点も得てしまうことが挙げられます。
放っておくと港を破壊されゲーム終了になったり、倒しきれなかった敵が得点になってしまうため『旧支配者の勝利』、なんてゲーム結果になることも。ていうか初プレイがこれで泣きそうになった。

従ってプレイヤーは、各々が開拓して得点しつつも、ある程度協力して旧支配者を倒す動きもしなければ勝てないという事です。
なんて刺激的なルール…!


ゲーム終盤。
初プレイで慣れない中、旧支配者の侵攻に防戦一方の展開…
敵との戦闘は適度な運要素が働く仕組みになっていて、ランダムに攻防の判定が記載されたカードを一枚一枚めくる動作がスリリングでたまりません。
きちんと準備すれば勝ち目もある丁度良いバランスなので、挑戦心をかき立てます。


ゲーム終了!
ルール理解も含めて二人で3時間弱かかってしまいましたが、重ゲーやったぞっていう達成感と疲労感が心地よく残ります。


結果は前述した通り旧支配者の勝利となってしまいました。
たった四枚の裏面の敵タイルが大量得点して敗北です。
あまり相手をしたくない高レベルの敵ですが、挑戦せずに正体不明(裏面)のままゲームが終わると二倍の勝利点となり、プレイヤー側がほぼ勝てない点を取られてしまいます。
そのため、これを倒す勇気と開拓心がプレイヤーを勝利に導くわけです。
人類vs怪物のドラマを自分から作り出す展開になるよう計算されていて、デザイナーの秀逸なセンスを感じ取れますね。



様々な視点からプレイヤーを悩ませ、楽しませる要素が出現します。
全てにおいてハイレベルな素晴らしいゲームでした。


以上で撮影を終わります。

要素が多すぎるので箇条書きで良い部分をまとめます。
・開拓ゲームらしいアートワークや各種コンポーネントの美しさが光る
・堅実な開拓要素と、予測不可能な旧支配者との戦いを楽しめる運要素とのメリハリがあり、常に緊張感のある環境を演出
・時間トラックという概念に、旧支配者という第三の敵を乱入させるエンタメ性が否応なく場を盛り上げる
・初期配置のランダム性や追加要素、難易度調節など深くやり込めるリプレイ性が十分に確保されている

などなど。
一回二回で飽きさせないどころか、やるごとに新しいことに挑戦したくなるハマらせギミックを盛り込んだデザインは、流石という他ないですね。
問題点があるとすれば、二人プレイだと旧支配者を倒す効率が悪く、戦闘に必死でやや自由度が落ちる点くらいかなぁ。
重ゲーらしく、重厚な世界観とバリエーション豊かな展開を楽しめるゲーム…重たいのが好きな人にならしっかりオススメできる超娯楽大作って感じです。
いや〜面白かった!次は必ずヤツらを殲滅してやるのだ…!

以上です。

紹介記おわり