2021年1月期鑑賞映画ひとことレビュー | (ほぼ)月一更新(予定)鑑賞映画ひとことレビュー

(ほぼ)月一更新(予定)鑑賞映画ひとことレビュー

月一で初鑑賞映画の感想を書いてます。
あくまで個人の感想です。立派な考察・評論は出来ませんのでご容赦下さい。

2021年1月期 鑑賞映画ひとことレビュー

 

1月の初見総鑑賞本数は33本。ハリウッド大作が全滅の中、まさかの緊急事態宣言延長で20時以降の上映が中止…ますますVODの重要度が高まりつつある昨今です…

では。そうはいいつつやっぱり劇場鑑賞したものを中心に。

 

「燃えよデブゴン TOKYO MISSION」

今年の映画始めはこれと決めてたドニーさん渾身(?)のカンフーアクションコメディ。デブゴンといえばやっぱりサモハン師匠の持ちネタなのでドニーさんだとよく出来すぎてる特殊メイクでもやっぱり違和感…でもそこも含めて楽しんじゃうのが香港えいがのおおらかさ。そういう意味でおなか一杯、胃もたれする程の古き良き”ザ・香港映画”でした。明らかにご都合主義なストーリーとどっちかっていうと滑り気味なギャグ、異国情緒漂う新宿歌舞伎町と違和感あふれる日本人(?)ヤクザとチンピラたち。そんないかがわしくも怪しげなパワー満載な世界の中で、肉襦袢をつけながらも超絶アクションを展開しまくるドニーさんのなんと痛快な事か。もうそれ以上一体なにが必要かといわんばかりのサービス精神あふれまくりなドニーさんパワー。”俺様”ドニーと”イップマン”ドニーさんのちょうど中間位の油使いが中華が苦手な方にも程よい味わい。日本人の盟友が監督しているだけあって、飾らない、カッコつけない香港映画の魅力にあふれたある意味オマージュムービーとなっております。とにかく理屈抜き、頭を使ったら負けなのがこういう映画の正しい観方。そういう意味では本当に愛すべき快作です。

【70】

 

「新感染半島 ファイナル・ステージ」

快作「新感染 ファイナル・エクスプレス」の続編。走行する列車内というアイデア勝ちの閉鎖区間を生み出したウィルス系ゾンビ映画の新機軸な前作とはうって変わって今度は戦争だ!じゃあ無いけれどスケールアップした市街戦が舞台。なので前作の驚きと興奮は薄め。売れた後の2作目に作り手の本当に好きな事、やりたい事がわかるってのは自明の理だと思うのだけれど、今作はまさにそのセオリーまんまの愛すべきヲタク映画でした。どこかで観た事なる設定やら舞台やらお話やらがてんこ盛りで、この監督を形作ってきた様々は過去の遺産たちが丸わかりなのが観ていて微笑ましくもあり楽しくもあり。実際細かいところが大雑把すぎて見てる途中色々??な気持ちがたくさん浮かぶのだけれど、それはもう流してあげるのが大人の嗜み。素直にまっさらな心で、やたらかっこいいカーアクション(とやたらカッコ可愛いドライバーの女の子)に興奮し、80年代ハリウッド風味満載なガジェットを操る少女の健気さに涙しつつ、マイアミの地下軍事基地で見かけたような司令官の横わけ髪型に苦笑しつつ、ヒャッハーな本能赴くままの軍人達のバカすぎる行動にいらだrちを覚え、少女漫画のヒーローのような主人公の流れる黒髪にポーッとし、いろんな愛の形に号泣する…それがこの映画の正しい鑑賞法。もちろんそんな稚気を「パクリだ」っていうのは簡単だけど、そんな狭い心はよそに置いて純粋に楽しむのがこういう映画の楽しみ方だと思います。

【70】

 

「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」

ハリウッドで活躍する、女性スタントマンたちの素顔に迫るドキュメンタリー。っていう割にはフェミニズム満載、女性だけどすごいでしょ的な逆蔑視のような印象を受けたのは自分だけでしょうか。なんというかスタントという尊敬すべき仕事を選んだ人たちへのリスペクトはもちろんあるのだけれど、それ以上に”女性だからすごい”という目線が強すぎて、どうにも違和感。全てのスタント職人たちへの応援歌になっていないのがこの映画の気持ち悪いところかと感じたのは、自分が女性蔑視のような気持ちがあるからなのかと真剣に悩んでしまいました。もちろん男社会のハリウッドで女性スタントとして生きるというのはすごい事だし尊敬するのだけれど、それ以上にスタントとしてのプライドが見えなかった(という描き方をしている)のが残念というかおかしいというか。実際観賞後に彼女たちのスタントとしての偉大さよりも女性という事への問題意識の方が印象に残ってしまっているのが少し悲しかったです。

【60】

 

「キング・オブ・シーヴズ」

平均年齢70オーバーの爺さん窃盗団による最高齢で最高額の金庫破りの実話をもとに描いた痛快エンタテインメント…と思ったら妙に後味の悪い真面目なサスペンス映画でした。マイケル・ケインをはじめとする英国の名優達勢揃いの粋なキャスティングや、若い時にぶいぶいいわしたジジイたちの人生逆転をかけた一世一代のラストの大勝負的なストーリーから、コメディタッチのスカッとほろ苦い映画になるかと思いきや(実際予告編もそんなニュアンスだったし)、どうにもこうにもじめっとした嫌な空気が流れる映画になってしまってました。全員悪人でこの手のお話ならガイ・リッチーあたりのポップでおしゃれなテイストか、スコセッシあたりの悪人へのシンパシーを押し出した感じか、タランティーノあたりの仁義なきテイストか、そんな色々なパターンがあるかと思うのだけれど、この映画は全てにおいて中途半端。登場人物全員があまりに小悪党で感情移入も出来ないし、かと言ってかっこいい訳でもないただのムカつくジジイたち。いやこれがリアルと言われればそれはそうなんだろうけれど、映画でそんな現実は見たくない訳で。しかも各々朗々たる歴史のある名優たちの過去の名作を引っ張り出してきてまでのこの生真面目さはどう考えてもコンセプトのミス。なんでこうも真面目に作ってしまったんだろうと見ている間フラストレーションがたまりまくりでした。いや役者陣は素晴らしくて、特にジム・ブロードベントの武闘派ぶりはかなり迫真。好々爺しか見た事なかったのでかなり新鮮でした。他の役者陣もどこかで見た事のある名優ばかり。それをこんな生かし方しかできないなんて…って思ってから監督が駄作「博士と彼女のセオリー」のジェームズ・マーシュ。ああしょうがないかなって感じです。

【60】

 

「聖なる犯罪者」

超力作にて超問題作。宗教と人間の本質に真っ向から向き合って、極限まで戦った製作陣の魂の叫びをそのまま映画にしたような切れば血のでるような三位一体の傑作でした。少年院で神父と出会った20歳のダニエルは熱心なキリスト教徒となる。前科者で聖職者になれないと分かっていながら神父になることを夢見ていたダニエルは少年院から遠く離れた街で新任の神父と勘違いされ、そのまま司祭の代わりを任されてしまう…というのが大まかなストーリー。この主人公ダニエルのキャラクターが秀逸。熱心なキリスト教徒でありながら、暴力やドラック、セックスを普通にしてしまう二律背反。それが弱さという感じではなく完全に二つの世界に別れてしまっているという印象。彼にとっての聖職者という立場での行動と犯罪者としての立場が真っ二つに分かれているように見えて、その実コミュニケーションに飢えた青年の魂の飢えを満たす道具として必要なものとして同レベルなものであるというその考え方が非常に面白い。過去このコミュニティで起こった悲惨な事故の謎を狂信的に暴こうとするダニエルの行動も自身の他者へのつながりの渇望と欲求の産物であり、ひいては他人への感情移入を全く考えていない利己的な思考からの産物なのだろう。それでもそんな行動が他人へ影響を与えていく様にダニエルが感じた満足というか福音をこの映画は冷徹に幻想として切り捨てているのが凄まじい。暴力と悪意、愛と福音の両極を均等に配置しながら、両方のバランスを崩す事無く思想を声高に出すことなく淡々としかし熱く描いたこの映画、複雑怪奇な人間という生き物の本質を考察する非常に知的かつ情念にあふれた名作です。

【75】

 

「アース・フォール JIUJITSU」

久々のザ・バカ映画として期待してたのですが…如何せんただのバカでした笑。フランク・グリロ、トニー・ジャー、ジュージュー・チャン、そしてニコラス・ケイジ笑…ここまでのメンツを揃えながらなぜここまでつまらない映画が作れるのか、いっそご教授してほしいくらいひどい出来。武術リスペクトのプレデターっていう設定は最高なんだけれど、いや待て待てこいつ飛び道具使いまくりじゃないとか、武術っていう割にただの力技じゃないかっていうよくわからない展開がてんこ盛り、かてて加えてと今ひとつ必要性のない親子設定やら、まさかの突然死やらもうハテナハテナのオンパレード。実際102分の映画がやたら長く感じたのはそんなストーリーというかシナリオのはちゃめちゃ感があまりに酷いから。それでもアクションがよければまだ救いはあるのだけれど、それすらも何やっているのかわからない凡庸すぎる手持ちカメラのオンパレード。極め付けはアクションスター達が全員ゲスト扱いで見せ場がほとんどなく、主役はB級以下のアクション下手というまさに落とし穴・地雷という言葉がふさわしいい、久々な感じのザ・ダメ映画でした。

【50】

 

「ズーム/見えない参加者」

このご時世だからこその映画。未見だけど「真・鮫島事件」がまんまこの映画らしいので今度見ます。まあそれは置いておいて、この手の映画、やっぱりそれなりに楽しめちゃうんですよね。ズームで交霊会を開いたおバカ学生達が霊によって一人一人殺されていくというお話自体は本当によくあるお話。実際ズーム画面のみっていう設定がなければそれほど面白いお話じゃあないんだけど、”後ろに何かいる”的なシーンを演出するにはこの1画面ってやっぱり最高。「サーチ」や「アンフレンデッド」の時のような衝撃はもはやないけれど、これはこれで安定したジャンルになるかも(とはいいながら結局POVのようになるんだろうけれど)。まあPOVとおんなじでこの手の映画は見せ方とアイデアが全て。今回に関しては不自然な映像がやたら多かったのはご愛敬だけど、それはそれでほんわかしてしまいます。まあここまでおおらかな気分で見られたのは上映時間60ふんで1000円ていうのもあったかもですが笑

【65】

 

「プラットフォーム」

スペイン産シチュエーションSFスリラーの快作。中央に四角い穴の空いた謎の部屋で目を覚ましたゴレン。そこは塔の「48階層」であり、上下には無数の階層が続いていた。ゴレンは、同じ階層に暮らす老人トリマカシからここでのルールを聞かされる。それは、階層は1か月ごとに入れ変わること、食事が取れるのはプラットフォームと呼ばれる台座で上の階層から順番に降りてくる残飯が自分の階層にある間だけというものだった。1か月後、ゴレンは「171」階層のベッドに縛り付けられた状態で目を覚ます…(Yahoo映画より)。設定自体が「CUBE」に似ているからそういう謎解き知的系かと思いきや、そういう部分はほとんど皆無。格差社会をグロテスクに戯画化したかなりストレートで強烈な社会派映画です。階層により生活が天国と地獄の両極端に分かれるという設定自体が秀逸で、その描写自体がかなりグロテスクかつ遠慮が無いので衝撃もひとしお。オープニングから丁寧な作りが際立ち、特に人肉食にまで発展する最下層のシーンは相当ショッキング。そのシーンだけでも製作者達の心意気が感じられます。普通の青年が異常な状況でどんどん変容していく様も丁寧に描かれ(極論をあえて排除しない姿勢も好感)、凡百なこの手の映画とは一線を画しています。とはいえ問題がない訳じゃあなく、結構重要な所で細かな設定で辻褄が合わなかったり、一番大事であろう主人公がどうしてこの建物にきたのかという点が曖昧だったりするのがどうにも引っかかったりするのですが(裏設定が色々ありそうだけれどそれも濁しているから微妙に理解できなかったりするのがイライラしたりします)、そういうところを差し置いてもこの風刺劇の持つ圧倒的など毒と熱量は強烈。こういうご時世でなければ公開されていなかったであろうこうの手の映画が映画館でしかも結構ヒットしている事がある意味この映画の制作意義を表しているのかも知れません。

【75】

 

その他の鑑賞映画

「ジェクシー!スマホを変えただけなのに」

 まあ良くあるハリウッドコメディ。【60】

「リトル・ジョー」

 いい感じではあるけれどツッコミ不足かなと。【70】

「デッドライジング ウォッチタワー」

 ザ・C級。【55】

「バーチャル・レボリューション」

 CGの負の遺産。【50】

「ジャッジメント・フライ」

 設定は面白いけれど…【50】

「トゥモロー 僕たちの国が侵略されたら…」

 オーストラリア製「若き勇者たち」。それ以上でもそれ以下でもなし。【60】

「ヒューマン・レース」

 この手の映画の中ではそれなりに見応えあり。やってやろう感は出てました。【65】

「外事警察 その男に騙されるな」

 渡部篤郎の滑舌の悪さがクセになる。【65】

「ちょっとかわいいアイアンメイデン」

 AVでした笑【50】

「ゾンビワールド」

 オムニバスゾンビ映画。やりたい事はわかります。【60】

「ルーム235」

 キューブリック映画の非公式ドキュメント。こじつけがひどい笑【50】

「処刑軍団ザップ」

 伝説の映画だったので…化けの皮が剥がされた感が切ない…【50】

「アルテミスと妖精の身代金」

 超一流スタッフ・キャストなのに配信スルーなのも納得の切ない映画。【55】

「ダイナソー・プロジェクト」

 どうしろと。【45】

「カウントダウン」

 この手の映画では悪くないけれどもう一捻りが欲しかった。【65】

「クリムゾン・プラネット」

 ザ・C級その2。【50】

「魔女の宅急便(2014)」

 アニメに引っ張られすぎない感が思いの外悪くなかった。【60】

「トロメオ&ジュリエット」

 古き良きエログロ感が楽しい。さすがのジェームズ・ガン。【65】

「パブリック 図書館の奇跡」

 反面教師がいっぱいいるからか、本当に真面目なエミリオ。手堅い佳作。【70】

「ゾンビーバー」

 リスペクトて言うよりはバカにしてる感がうざい。【50】

「デイ・オブ・ザ・コメット」

 捻りのきいたなかなかなザ・B級映画。【60】

「リジェネレーション」

 主人公の熱演が空回りなのが切ない。【60】

「ザ・ランペイジ」

 新機軸の狼男を目指したのはいいけれど、方向が違う。【50】

「ジョーカー・ゲーム(2015)」

 キャスティングが全て的外れ。【60】

「RE:BORN リボーン」

 TAKのアイドル映画。アクションはさすがの一言。【65】

 

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よろしくお願いします!