シェヘラザード89 | 僕はここにいるよ。

僕はここにいるよ。

ホミンの小説を、好き勝手に書いてます。
きわどい内容もあるので、ご注意下さい。

《C サイド》

なんだか、その女の人が気の毒な気もした。
だからって、今回の事は許されないが。

でも…きっと、ヒョンの事が好きだったんだろうな…。

僕は、そのユナさんていう人の事を思って、胸を痛めた。

ガチャ…。
病室のドアが開いて、ヒョンのお母さんが入って来た。
僕の顔を見て、
「あなた…どうしてここに?」
「すみません…」
「出て行って!
あなたの顔など、見たくもない!」
そう言うと、僕の持ってきた花束を、突き返した。

それを見たヒョンが、
「おふくろ、そんな言い方はないだろ!
チャンミナは、俺の大切な人なんだよ。」
身体を起こして、言ってくれる。

お母さんが耳を塞いだ。
「やめて、聞きたくもない!
なんて…汚らわしい。
男同士なのよ、あなたたちは。」

ヒョンも負けずに、
「男同士だから、どうだって言うんだ。
まったく…男とか女とか、そんなの関係ねぇんだよ。
俺は、人としてこいつを愛してるんだから!」
そう、叫ぶように言った。

ヒョンの言葉に、涙が出そうになる。

だけど、これ以上ここにいたら、ヒョンとお母さんの仲が、険悪になってしまう。
僕は、ここを去ることにした。

病院を出ると、大学に向かった。

だけど、授業に顔を出すも、まったく集中出来ない。

ヒョンのお母さんの顔が、頭をよぎっては消えてゆく。
僕たちは、許されない間柄なんだって現実を、否応無く突きつけられた。

ヒョン…僕たちは、これからどうなってゆくんだろう…。

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