シェヘラザード80 | 僕はここにいるよ。

僕はここにいるよ。

ホミンの小説を、好き勝手に書いてます。
きわどい内容もあるので、ご注意下さい。

俺とチャンミナが別れたあと、どういう経緯かは知らないが、テミンとチャンミナが、連絡を取り合うようになったらしい。
元気のないチャンミナを、テミンが随分と励ましたそうだ。

人生とは、不思議なものだ…。

「チャンミンさん、強がってはいるけど、本当はとても辛いんだと思います。」
「…。」
「もう一度、よりを戻してはどうですか?」
「でも、振られたのは、俺のほうだし…」

それに、ユナさんだっている。

もう、どうにもならない所まで来てしまった。

「悪いが、もう無理なんだよ。」

「…そうですか。」
テミンが、辛そうにうつむく。

チャンミナを思わない日は、1日だってない。
相変わらず、大好きだ。

だけど、俺たちは別々の道を歩き出している。

…もう、忘れないといけないんだ。

その時、ピアノのメロディーが流れ始める。
ハッとした俺の身体に、戦慄が走った。

演奏していたのは、なんと、チャンミナだった。

「…!」

寂しげにうつむき、長いまつ毛を揺らして、演奏に没頭している。

チャンミナ…少し痩せたか…。

だけど、少し痩せた横顔さえ、チャンミナの美しさを損ねてはいなかった。
神々しいまでに、オーラを放つ姿に、目が離せない。

あぁ…なんて、綺麗なんだ。

切なさが込み上げて、涙が溢れてきそう…。

俺たちの過ごした思い出が、走馬灯のように蘇ってきた。
それは、何にも代えがたい、幸せな時間だった。

ダメだ。
俺は、やっぱり…。

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