二人で映画を見て、それからレストランで食事をする。
食事がひと段落したところで、唐突にユナさんが、
「ユンホさんには、好きな人がいらっしゃるんでしょう?」
と言って来た。
その瞬間、チャンミナの顔が頭をよぎり、俺は言葉を失った。
そう…俺はまだ、あいつの事が忘れられずにいる。
ユナさんを目の前にしながら、遠くのチャンミナを思っていた。
いたたまれずに、うつむく。
レストランからの帰り道、再びユナさんが口を開いた。
「私…、あなたが他に好きな人がいても、いいんです。
そんなあなたを、好きになったんですもん。
一緒にいられるだけで、幸せです。」
なんて健気な事を言ってくれるんだ。
思わず、胸がキュンとした。
無意識のうちに、俺は、ユナさんを抱き寄せていた。
そして、その唇にキスをする。
不思議な事に、心が穏やかになっていく。
この人となら、うまくやっていけそうな、そんな気がした。
こうして、俺たちは少しずつ、関係を深めていく。
チャンミナとの事が、少しずつ思い出に出来ればいい…。
それからしばらくして、俺はユナさんと婚約をした。
ユナさんの薬指に、指輪をはめてあげる時、ちょっぴりくすぐったいような、不思議な感覚が芽生えた。
これでもう、後戻りは出来ない。
さようなら…チャンミナ。
そんなある日。
久しぶりに、テミンから連絡が来た。
バイトを辞めて以来、なかなか会う事はなかったけど、SNSなどで近況は知っていた。
そんなテミンに連れて行かれたのは、雰囲気の落ち着いたレストランだ。
席に案内され、椅子に座る。
なぜかこのレストランは、部屋の真ん中に大きなグランドピアノが置いてあった。
ピアノか…。
忘れかけていた、心の傷がうずきだす。
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