シェヘラザード79 | 僕はここにいるよ。

僕はここにいるよ。

ホミンの小説を、好き勝手に書いてます。
きわどい内容もあるので、ご注意下さい。

今日も、ユナさんと会う約束をした。

二人で映画を見て、それからレストランで食事をする。

食事がひと段落したところで、唐突にユナさんが、
「ユンホさんには、好きな人がいらっしゃるんでしょう?」
と言って来た。

その瞬間、チャンミナの顔が頭をよぎり、俺は言葉を失った。
そう…俺はまだ、あいつの事が忘れられずにいる。
ユナさんを目の前にしながら、遠くのチャンミナを思っていた。

いたたまれずに、うつむく。

レストランからの帰り道、再びユナさんが口を開いた。
「私…、あなたが他に好きな人がいても、いいんです。
そんなあなたを、好きになったんですもん。
一緒にいられるだけで、幸せです。」

なんて健気な事を言ってくれるんだ。
思わず、胸がキュンとした。

無意識のうちに、俺は、ユナさんを抱き寄せていた。
そして、その唇にキスをする。

不思議な事に、心が穏やかになっていく。
この人となら、うまくやっていけそうな、そんな気がした。

こうして、俺たちは少しずつ、関係を深めていく。

チャンミナとの事が、少しずつ思い出に出来ればいい…。

それからしばらくして、俺はユナさんと婚約をした。
ユナさんの薬指に、指輪をはめてあげる時、ちょっぴりくすぐったいような、不思議な感覚が芽生えた。

これでもう、後戻りは出来ない。

さようなら…チャンミナ。

そんなある日。
久しぶりに、テミンから連絡が来た。

バイトを辞めて以来、なかなか会う事はなかったけど、SNSなどで近況は知っていた。

そんなテミンに連れて行かれたのは、雰囲気の落ち着いたレストランだ。
席に案内され、椅子に座る。

なぜかこのレストランは、部屋の真ん中に大きなグランドピアノが置いてあった。

ピアノか…。
忘れかけていた、心の傷がうずきだす。

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