《Y サイド》
それから、さらに半年が過ぎた。
俺は、親父の会社に就職をした。
まだまだ見習いで、毎日、仕事を覚えるのに精一杯だ。
チャンミナとは、もちろん会っていない。
今、どうしているのかさえ、分からないでいる。
それでも、まだチャンミナの事が忘れられずにいるんだ。
心の痛みは、日ごとに和らいでいくのに、チャンミナとの思い出は、いまだ鮮やかに俺の中に生きている。
そんなある日。
俺は、親父に呼び出された。
一枚の写真を見せられると、
「お前に、見合いの話がある。
取引先のお嬢さんで、なかなか良い子だぞ。」
突然、話を持って来た。
「…。」
俺は言葉もなく、写真を見ていた。
見合いなんて、自分には縁がないと思っていた。
まともに恋愛もしてこなかったくせに、いつか運命の人と出会い、その人と結婚をする…。
漠然とだが、そんな風に考えていたから。
そしてチャンミナと出会った。
俺の運命の相手だと、信じて疑わなかった。
なのに…そのチャンミナはもういない…。
もう二度と、誰かを好きになる事はないだろう。
なら、見合いでもなんでも、同じだ。
もう…どうでもいいや。
俺は、投げやりな態度で、親父に言っていた。
「あぁ、分かったよ。
その人と会えばいいんだろ…?」
こうして、見合いの日がやって来た。
ホテルのラウンジで、お袋と並んで、その人が来るのを待つ。
しばらくして、入り口からスラリと背の高い女性がやって来た。
「初めまして、ユナと申します。」
その人…ユナさんは、写真で見るよりも、ずっと綺麗な人だった。
話をすると、意外に共通点も多く、それなりに盛り上がる。
へぇ…、結構いい人じゃん…。
俺はホッとして、大きく息を吐いた。
それから、俺たちは何度もデートを重ねる。
↓ポチッとお願いいたします。
にほんブログ村