シェヘラザード78 | 僕はここにいるよ。

僕はここにいるよ。

ホミンの小説を、好き勝手に書いてます。
きわどい内容もあるので、ご注意下さい。

《Y サイド》

それから、さらに半年が過ぎた。

俺は、親父の会社に就職をした。

まだまだ見習いで、毎日、仕事を覚えるのに精一杯だ。

チャンミナとは、もちろん会っていない。
今、どうしているのかさえ、分からないでいる。

それでも、まだチャンミナの事が忘れられずにいるんだ。

心の痛みは、日ごとに和らいでいくのに、チャンミナとの思い出は、いまだ鮮やかに俺の中に生きている。

そんなある日。
俺は、親父に呼び出された。

一枚の写真を見せられると、
「お前に、見合いの話がある。
取引先のお嬢さんで、なかなか良い子だぞ。」
突然、話を持って来た。
「…。」
俺は言葉もなく、写真を見ていた。

見合いなんて、自分には縁がないと思っていた。
まともに恋愛もしてこなかったくせに、いつか運命の人と出会い、その人と結婚をする…。
漠然とだが、そんな風に考えていたから。

そしてチャンミナと出会った。

俺の運命の相手だと、信じて疑わなかった。
なのに…そのチャンミナはもういない…。

もう二度と、誰かを好きになる事はないだろう。
なら、見合いでもなんでも、同じだ。

もう…どうでもいいや。

俺は、投げやりな態度で、親父に言っていた。
「あぁ、分かったよ。
その人と会えばいいんだろ…?」

こうして、見合いの日がやって来た。

ホテルのラウンジで、お袋と並んで、その人が来るのを待つ。
しばらくして、入り口からスラリと背の高い女性がやって来た。

「初めまして、ユナと申します。」
その人…ユナさんは、写真で見るよりも、ずっと綺麗な人だった。

話をすると、意外に共通点も多く、それなりに盛り上がる。
へぇ…、結構いい人じゃん…。
俺はホッとして、大きく息を吐いた。

それから、俺たちは何度もデートを重ねる。

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