シェヘラザード77 | 僕はここにいるよ。

僕はここにいるよ。

ホミンの小説を、好き勝手に書いてます。
きわどい内容もあるので、ご注意下さい。

《C サイド》

ヒョンと別れて以来、僕の毎日から、色が消えた。

何を見て、何を聞いても、感動を覚えない。
無気力な毎日が続く。

今日も、ヒョンの写真に語りかけた。
ヒョン…。
元気にしてますか?

僕は、かろうじて生きています。

1分1秒たりとも、あなたの事を忘れていません。
あなたが、幸せである事を祈っています。

…さようなら。

そして、学園祭の初日が来た。

演奏会でピアノを披露する日である。
ピアノがあるから、どうにかここまでやって来れた。

学園祭でピアノを弾く事、それを目的に練習してきたんだ。

とりあえず、練習室で何度も弾いては、感覚を確かめる。
よし、大丈夫だな。

舞台袖には、部長とチョウさんがいて、僕を励ましてくれた。
そんな二人にお礼を言って、観客の待つ舞台へと、歩みを進める。

大きな拍手が、出迎えてくれる。

ふと観客席を見た時、前列にヒョンがいるのを見つけた。
あぁ…。来てくれたんだ…。
ありがとう…ヒョン。
頑張るから見ていてね。

大きく息を吐くと、鍵盤に指を這わせた。
美しいメロディーが生まれ、客席からため息が漏れる。

それに勇気づけられ、力いっぱい弾ききった。
終わると、割れんばかりの拍手が、沸き起こる。

ヒョンを見ると、嬉しそうに微笑んでいた。

切なさが胸にこみ上げてくる。
やっぱり、ヒョンが好き...。
どうしようもなく、悲しくて、やりきれない。

だけど、その手を離したのは、僕なんだ…。
僕は、未練を断ち切るように、舞台袖へと歩いて行った。

うっすらと目に浮かぶ涙を、そっと腕で拭った。

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