This Loveで動き出す

この恋


ちょっと髪を切った君の、

結構似合ってる黒縁フレームの、

それとない挨拶の、クールな表情の、

クールでない視線


帰宅ラッシュで、車両2つ分隔てられる

眠り込む君の耳からは、

私と同じ白いコードが垂れていて


「ねえ、何聞いてるの」


聞けばよかった

後ろから声をかけて、笑って


寂しいなんて、汎用な台詞は聞かない

次会ったら、みんなをじゃなく私を見て


だって、ベクトルは色んな方向に向くけど

そのためにがんばってるんですから


だめかな?

秋の虫は、どうしてこうも秋の虫なんでしょうか。


初めから、答えがないとわかっているような質問を

今は、誰より君に投げかけたい


と、ひとりわがままを言ってみる。

結局、君へのメールは送らずじまい

今夜、改めて最後のやりとりを読み返したら

なんだかもう、とっくに完結していて、

この上言い足すことは何もないような気がしたから


朝食のあとの、

蓋が閉まった苺ジャムみたいだった


数日間感じ続けたことが、全部夢だったかのように

思っていたよりもずっと、社交辞令な文面

何を期待していたんだろう?


別の誰かが今、君と連絡を取ろうとしているけど


…ちがうちがう、ここで

イマジネーションが止んでしまってはだめ


自分さえこれを絶やさなければ

まだ、恋ができるかもしれないのに

高校時代の友達と、メッセで旅の話をする

自分と入れ違いにその街へ行く彼女に、色々なことを託して

話すことがなくなっても、ウィンク機能でじゃれている


地下鉄の路線図で見ると

君の街とこの街は、大分離れているみたい

来週にはまた、会えるけど


でも、10年ちょっとの恋愛経験は

無為に会っているだけでは、先へ進めないし

何も残せないことを告げてくる

君との、”約束”を取り付けないと


君と、”約束”をね


やさしい夜風にまぎれて、ちょっと近づいてみようか

君も、こうしてキーを叩いているかもしれないから

事務所に一人


皆帰ったり、建物の別の場所で忙しく動いていて

何となくそうなってしまった

絶え間ない空調の音が、時間の進行を告げている


人のいいドイツ人の接待で飲んだお酒のために、

ちょっとぼんやりしている21時


君からのメールは

まだ未開封のアイコンを掲げたままだ

たくさんの差出人名の中で、浮き上がるように黒い


ここで真剣に返事を書いても

あとで恥ずかしいを思いしないかな

ここはシンプルに、さらりといくべきか


回りくどい考えが、頭をめぐる


君の考えが、ちょっとだけ行間から漏れているようで

でも、ただポジティヴに受けては子供のようで


どうする?

どうして


誰かに見られているわけでもないのに、

まともに写真を見られないのか


君の写真


実物でない君に

こんな風に反応してしまう自分は

せいぜい中学生くらいの女の子としか思えない


どうせなら、もっと色々な部分が中学生以下ならいい

向けた視線をずるくはぐらかしてしまう技術なんて、

知らないままの方がいい


長く伸びた、襟足がすてきだよ

やさしい眼がすてきだよ

もっと話し続けていれば、ずっと見つめていられたかな

突っ張った視線は、何も感じていないのではなく

本当は、そう見せることに精一杯だったってこと

君は、気づいてないのかな


手をつないでみたい 頬にキスしたい

普通のことが、君となら夢みたい


中学生の時よりもいいのは

こういう具体的な出来事を、急ごうとしなくなったこと


今はしばらくこうして、少しだけ息苦しい感覚を

ひとり、楽しんでいたい

好ましい選択 進みたい道

すがるような努力は、多分経験がないし

生きていて、あまり迷ったことはない


それでもやっぱり、否定されては弱い

弱いんだということを

今更確かめた


子供のように泣いて、不貞腐れてみて

しかし目覚めたら

感情任せに後戻りできるほど時間がなかった


「ユミヨシさん、朝だ」


現実と、自分を抱き合わせる

今この時に、一番のセリフは何かな

うまく現実に響くことのできる


「・・・サン、アサダ」


たくさんの声がささやく


突風が何もかも吹き飛ばして、

曇天の下、視界は澄んでいる

人影は少ない中、誰かがバスと追いかけっこ


ディズニーランドは、どんな様子だろう

こんな日もお客が押し寄せて、

思い思いに遊ぶのだろうか


海辺に立つ自分を思い描く

世界中の、あらゆる海辺

ある海辺では夕焼けを、別の海辺では朝焼けを、

それぞれ全く別の感慨で望んでいる


考える 心地よい暮らしのことを

ほどよく豊かで、継続可能性のある生活

ごく現実的な範囲で、

日々思い付きを実行できる生活


「アサダ」


さあ、やらなくちゃ

LIONのフレーバード・コーヒーが

すごく気に入って、毎日朝が楽しい

そのままでもおいしいんだけど、

ミルクを入れるとまたコクが増す

ココナッツの香ばしい香りはもちろん、

自然な甘みで、すごく満足感がある


マカダミアやチョコ、ヴァニラなど

フレーバーは色々

ひとつずつ試していきたい


遠くへ行く君にも渡そう

毎朝、ちょっとした幸せのプレゼント


コーヒーをあげたくなる人は

単なる思い人とはちょっとちがう

今考えてみて、そう思った

ひとつの思い出に音楽はひとつだった


なのに、何を聞いても思い出すことはひとつ


どうして?

君には、もう何度も電話した


もっとも、頭の中だけでそうしたんだけどね

あれは現実だったと思い込んでしまうくらい、何度も何度も


しかし、なぜ電話なのか 

頭の中だけでなら、一緒のベッドにいたっていいわけじゃない


つまり、求めているのはそういうことじゃないんだな

もしくは、考えてるだけでいっちゃってるのかもしれない


ベッドですることよりも、ずっと問題行為だってこと


君も、何度も電話してくれてるといいんだけど