昨夜のお旅所祭は天幕の下でおこなわれ、雨の中、還幸の儀にて若宮様は本殿へとお還りになられました。

 

 

さて、2018年の春日若宮おん祭りレポ

お旅所祭 「神楽」「東遊び」「田楽」「細男」「神楽式」/ 春日若宮おん祭りその6 のつづきです。

 

「舞楽」

 

舞楽には、左舞と右舞があります。

 

左舞は唐楽。

伝来は、中国、印度から。

装束は、赤系統。

 

右舞は高麗楽。

伝来は、朝鮮、渤海から。

装束は、緑系統。

 

「振舞」

舞楽のはじめに舞われる曲。

 

「萬歳楽」(左舞)

隨の揚帝が楽匠白明達につくらせた慶賀の際に舞われる曲。鳳凰が萬歳と唱える舞。

 

「延喜楽」(右舞)

藤原忠房作曲、敦実親王作舞による高麗楽。装束は萬歳楽と対となる緑の常装束。

 

賀殿(左舞)

藤原貞敏の琵琶の譜によって伝えた曲に楽人林真倉が舞を振り付けたといわれる。

(写真無し)

 

地久(右舞)

朝鮮半島伝楽の四人舞。

朱色の面に鳳凰をあしらった鳥兜。緑色の常装束。

 

「和舞」

大和の風俗舞。

巻纓冠に青摺の小忌衣、虎の皮の尻鞘の太刀を佩く。榊の枝、檜扇。

 

勝負舞である「蘭陵王」と「納曽利」の演奏順は、競馬の結果で決まりました。左方が勝てば蘭陵王が先、右方が勝てば納曽利が先に演奏されます。

 

 
883回は左方が勝利しました。

 

「蘭陵王」(左舞)

 

古代中国の北斉の王であった蘭陵王・高長恭の逸話にちなんだ曲。

 

蘭陵王は「音容兼美」と言われるほど美しい声と優れた美貌だったために、敵に侮られるのを恐れて獰猛な仮面をかぶって出陣したというもの。優しげな美貌を仮面で隠して戦い大勝したその勇姿を歌に謳ったのが由来。

 

龍頭を模した舞楽面を着け、金色の桴。緋色の紗地に窠紋の刺繍をした闕腋袍に大口袴、指貫、毛縁の裲襠(武官の礼服)に金帯。

 

「納曽利」(右舞)

蘭陵王の舞の答舞。

 

「散手」(左舞)

神功皇后の御世、率川明神が先頭に立って指揮した様を表す軍舞。

 

「貴徳」(右舞)

匈奴の日逐王が漢に降伏し貴徳侯になったという故事が由来。

別様の鳥兜に白い面、毛縁の裲襠装束。太刀を佩き、鉾をもって舞う勇壮な曲。

 

「抜頭」(左舞)

天平時代にチャンパ王国からの渡来僧、仏哲が伝えた曲。猛獣退治をした孝子の物語。

 

「落噂」

納曽利の二人舞

黄色系統の色の紗地に窠紋の刺繍をした袍に毛縁の裲襠装束。銀の帯。

この舞をもって、お旅所祭は終わります。

 

終わったのは22時半くらいでしょうか…。

最後のほうは、桟敷席もガラーンとして、立ち見の方も少なく、ひっそりと鑑賞しました。

 

9時間ぶっ通しでの、神様への芸能の奉納。

神事としてみる芸能は神聖で荘厳なものでした。

 

この後、警蹕(けいひつ)の声と道楽の調べと共に若宮様は本殿へお還りになります。

 

真っ暗闇の中、松明の灯りのみですすむ儀式。

他には類をみない、神秘的なものです。

 

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