20年ぶりに刷新される新紙幣5000円札のイメージ。

 

津田梅子の肖像写真が、津田塾大学が公的につかっている写真を反転したものと話題になっています。

 

こちらが津田塾大学HPに掲載されている「女子英学塾開校当時の津田梅子」

 

比べてみると、首から上の部分を反転させ着物の衿合せはそのまま(右前)になるように加工されているようにみえます。

 

ただ写真を反転させると左前となり死装束の着付けとなってしまうからです。着物はファッションであり自由とされている中でも、左前の着つけは忌まれ縁起が悪いとされているのです。

 

そして、さらにややこしくなっているのは、この件を立証するために新紙幣のイメージを反転させた写真が拡散し、新紙幣は左前だといわれていること。

 

左前になっていますが、文字と数字をみるとわかるように反転されているからです。

 

写真を加工したり反転させたりが悪い…というわけではないのですが、これは混乱を招きやすい。

 

鏡越しの自撮り撮影を反転させたりさせなかったりが誤解を招くこともあります。


 

そして、着物の衿合せはわかっていても「右前」と「左前」いう言葉の意味を知らず、「その着方間違ってます、それは右前です!」のような、指摘の言葉が違うことによって、間違いがさらに横行しているのが現状です。

 

「右前」という言葉は、自分からみて右手側に持っていたの身頃が自分の身体に近くなる、手前にくるから「右前」なのです。そして日本古来の左上位の考え方によるものです。

 

 

こちらに詳しく書いております。

 

「右前」と「左前」/ 「左上位」と「右上位」


 

左右対称の構造が着物の特徴ですが、それゆえに起こる誤解と混乱。
 
ややこしいことに、ややこしいことをするから、さらにややこしいことになっている。
 
着物が日常だった頃には起こらなかったことでしょうが…、ああ、着物は遠くになりけり。。。