こちらも楽しみにしていただいている方が多いレポのつづきです。ブロガー冥利につきます♡

 

お待たせいたしました!

 

江戸時代の小袖の意匠を復刻した訪問着のお誂え「前田宗辰室の唐団扇花熨斗模様の小袖の復刻訪問着のお誂え ①打ち合わせ at 京都 に志田」のつづきです。

 

下絵が完成したご連絡をいただき、真夏の京都へ。

に志田の絞りの文箱に秋草の刺繍の夏帯を里帰り〜♪

京都 に志田の夏。簾戸に網代敷きの床が涼感たっぷり。

石竹の主菓子をいただきました♪

 

復刻のもとになるのは「白麻地唐団扇花熨斗模様染刺繍帷子」

前田家7代宗辰の正室、常子(会津藩保科正容の息女)が着用した麻地の夏の小袖です。



 

前田宗辰と常子は1744年(延享元年)に結婚、翌年の1745年(延享2年)に前田宗辰は家督を継ぎ、その年に常子は逝去しています。

 

成巽閣の吉竹泰雄館長のお話によると、この小袖は18世紀中頃の享保年間に江戸でつくられたとのこと。前田家の女性の装束のほとんどは駒場の前田育徳会ではなく金沢の成巽閣で所蔵し管理されています。

 

唐団扇(軍配)に桜、藤、牡丹を刺繍で熨斗花に配し、絞り疋田を駒取りと繍切りで仕上げたもの。花弁も葉も刺繍で表しています。これをそのまま着用すると、帷子は麻地の夏の着物ですが、こんなに刺繍を入れてしまったら暑いので実用性としては向きません。あくまでも「小袖の意匠を復元する」ことをコンセプトとしているので、生地や技法をそのまま踏襲せず、意匠を生かす技法をつかって、自分好みに。こちらは軍配の紐を活かしたかったので、実用性も考えて刺繍が映えるように袷にします。

 

下絵は予想以上に良い出来映え♡

に志田さんにお願いして良かった〜ヾ(@°▽°@)ノ

こちらの意図を汲み取って描いてくださっています。軍配の配置も紐もバッチリ。紐にこだわりがあるというに志田の郁子さんのおかげでしょうか。

 

帯は候補としているものの色違いがあったので、お借りしてのせてみました。

 

右外袖は牡丹に、左内袖は橘

上前の胸元は桜

上前見頃は菊と葵

後見頃には藤

唐団扇と紐で動きをだし繋げるように。

 

に志田さんに白生地を用意していただきました。

 

自然光の入るところで、色と意匠との兼ね合いを考える。

 

選んだのは五枚朱子の三君子の生地。

松、笹、菊が織りだされたに志田の留柄です。に志田さんからのアドバイスにより、地紋があったほうが陰影が生まれ深みがでる、なにより五枚朱子の三君子はに志田の職人さんも習熟されているので、リスクが少なく安心ということもありこちらにしました。染めあがったときに白っぽくならない深み、そして刺繍と描き疋田を支える重厚感が欲しかったのです。

 

染織の技、それが生まれた成り立ちと背景、素人さんがそんなこと学んでどうするの?といわれることがありますが、学んだ知識を総動員して、自分好みのものを誂える。これ以上に学ぶ理由が必要でしょうか。


自ら実行にうつすことで、これは向かない、リスクが高い、あう、あわないなど、知ることも多くなります。


ここまでは、下絵と生地が決まった状態。
各工程はこれからはじまります。楽しみです♪

 

誂えに至った経緯はこちら
江戸時代の小袖の意匠を復元した訪問着の誂え計画 〜 序章 〜
 

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