オヒョウの樹皮で根付紐をつくる♪ / 2015年初冬 アイヌの聖地 二風谷の旅 その8 のつづき(^-^)/

二風谷工芸館にて「日本の自然布展」が開催されました。(11月14日~15日)
布の原点である自然布。オヒョウの樹皮からつくられるアットゥシは北の大地北海道ならではのものですが、日本本土でも麻を栽培し繊維を取る以前は、野山に自生する靭皮繊維から布を織っていました。そして今でも脈々とつづけているところがあります。自然布展をアイヌの聖地である二風谷で開催することによって、日本の他の地域にも今に残る自然布の継承があることを広く知っていただく趣旨があったように思われます。

二風谷工芸館はアイヌ文化振興の拠点としてつくられたのだそう。二風谷の工芸品やアイヌ関連書籍の閲覧コーナーがあり広く一般に公開されています。現代に生きるアイヌ工芸の伝承者の作品の展示や販売もあり。二風谷アイヌ文化館の向かいにあります。


アットゥシ織、羽越しな布関川、羽越しな布さんぽく、大麻布、大井川葛布、掛川葛布、手紡ぎ木綿、藤布、太布、芭蕉布、宮古上布。日本全国の11ヶ所の産地から9種類の自然布が集結。量産化と効率化がすすんだ現在まで、多種類の古代布が残っているのは世界でも珍しいことといわれています。産業化された日本で残っているのは奇跡。

二風谷もそうなのですが、自然布の産地はとにかく交通の便が悪いところが多く…、だから今の時代から取り残されて、今に残っているのかしら?と安易に考えたていたこともありました。
しかし実際に自然布の産地へ足を運んでみると、自然布が今に継承されているのは、本来の豊かさゆえだと犇犇と感じます。
しな布の國井先生が「朝香さん、私たちはけっして伝統を残そう残そうとしてつくっているわけではないのよ」とおっしゃったのが心に残っています。豊かな自然がなければ人工的なものに移行していくのも早いわけで…、今も豊かな自然が残っているからこそ、その自然を敬う精神性の豊かさと、その自然と共生しているから、今も伝承されているのが自然布であり古代織なのだと…。
常日頃、灰色の都会で時間に追われるように生活する私からすると、羨むほどの恵まれた豊かさであり、贅沢であり、だから惹き付けられるのだと思います。

●アットゥシ織

アットゥシの角帯がこんなに沢山、色柄豊富なのがスゴイ!!!
男性のきものは女性のきものと違って意匠で楽しむというより素材感で楽しむものなので、知られれば自然布の流行は間違いないように思っているのですが、何せ種類が少ないのが難点。しかしこのアットゥシの角帯は何と美しかったことか\(゜□゜)/


●しな布
アットゥシと同じく樹皮からとるしな布。糸はアットゥシと似ていますがしな布のほうが素朴でしょうか。それぞれに魅力がありそれぞれの楽しみ方をしたいな…とあらためて思った今回の自然布展。


●太布
楮の繊維からとられる太布。広く自然布を太布ということもあるようですが、こちらはクワ科の楮からつくられています。昔の太布も展示されていました。
太布の無地の帯、とても締心地が良さそう。これに型絵染めしてもらったら良いかも…と妄想が膨らみます。


自然布展では、古代織連絡会各産地連絡会によるシンポジウムが開催されました。

今回のパネリスト
北海道平取町二風谷地区のアットゥシ織、藤谷るみ子先生 
山形県鶴岡市関川のしな布、五十嵐正先生
新潟県村上市のさんぽく生業の里のしな布、國井千寿子先生
栃木県にある大麻博物館館長の高安淳一先生
大井川葛布の村井良子先生
沖縄県大宜味村喜如嘉の芭蕉布の平良美恵子先生

司会と進行は、古代織産地連絡会事務局長である、大井川葛布の村井龍彦先生

各産地と自然布についてそれぞれ自己紹介。各産地の話を一堂にしてお聞きすると一口に自然布といってもそれぞれの特徴がわかりやすい。原材料となる植物が自然のものなので、産地の気候や土壌によっても違ってくるのが当然でありそれによって工程も変わってきます。
いつか糸となるものをあらゆる視点でまとめてみたいですね…。


じつは二風谷生活館でのワークショップから自然布展への移動でバスから降りるときに転んで足を挫きました。みるみるうちに足首が腫れてしまい…、自然布展のシンポジウムのときは痛さがピーク状態…汗

つづきます(^-^)/

「きものカンタービレ♪」のFacebookページ矢印