日本きもの学会 塩沢・小千谷研修旅行のつづきです。
小千谷につくと雪の中迎えにきてくださった、樋口隆司先生のご案内のもと、
樋口織工藝社さんへ。

先生と奥さまとカメラ スミマセン、袴つけたままで失礼します(゚ー゚;
樋口先生は小千谷縮の伝統的技法を生かして雪国の四季を織る作家さんです。
私たちが伺った日もすごい雪が降っていましたが、その風土と共生し伝統を守るだけでなく、
その技法を生かした洗練された新しいきものを作りつづけていらっしゃいます。
きもの カンタービレ♪
奥さまがお召しになっていらした長襦袢がとってもオシャレで素敵~ドキドキ
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

樋口隆司先生の作品は、自然がモチーフとなったものが多いです。
自然を写し取るのに使われているのは、定規と電卓、すべて念密な計算のもとにつくられています。
先生は工学部のご出身だそう。見せていただいた図案の細かなこと!
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
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きもの初心者の方にもわかりやすく読んでいただくために、私なりにちょっと整理。

【小千谷縮】
重要無形文化財の指定条件は越後上布とほぼ同じですが、しぼがあるのが最大の特徴。
①すべて苧麻を手績みした糸をつかうこと②絣模様は手くびりによること③居座機で織ること
④しぼとりは湯もみ、足ふみによること⑤雪晒しをすること

麻布を縮ませしぼをだすことに成功したのは堀次郎将俊(明石の浪人だったことから明石次郎とも)。
縮の技法は緯糸に強い撚りをかけて糊(布糊といわれる海草からできるもの)で固定しておいて、
それを織りあげてからぬるま湯でもむことによって、糊が落ちて撚りが戻り布が縮んでしぼを
だすというもの。

ちなみに樋口織工藝社さんでつくられているもの

●小千谷縮(苧麻100%) 盛夏用(スーパークールビズの提唱により6月~9月上旬)
自宅で水洗いによるお洗濯が簡単にできるのが最大の利点。
ただし工芸会の出品作品などは樋口先生のところでお任せになることが多いだそう。
風を通すので着ていて涼しい。汗ばんでも肌に生地がつかない。速乾性に優れているので
汗を吸ってもすぐに乾く。など夏のきものとしてとても重宝するきものです合格
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しぼだしする前の着尺としぼをだして縮んだ着尺。随分と巾の長さが違います。
きもの カンタービレ♪
麻ですと気になるのがシワですが、霧吹きすればすぐに乾きシワも伸びます。
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●湯もみ絹縮(絹100%) 単衣用(4月下旬~6月、9月~10月上旬)
※透け感のない単衣に袷用の帯、帯あげ、帯〆をあわせてGW頃からの着用をおすすめしてます。
経糸緯糸ともに上質の生糸をつかい緯糸に撚りをかけ少し巾広に織りあげておいて、
湯もみすることによって縮む凹凸をだしてできる縮地のような生地。
柔らかくて軽いので着ていてとても楽なのだそう。
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●紬ちりめん(絹100%) 袷・単衣用
緯糸に細い紬糸をつかって、その緯糸に撚りをかけて少し広巾に織りあげておいて、
ぬるま湯で仕上げをしやはり凹凸をだす独特な織物なのだそう。
真直ぐな線も縮の技法を生かしてできるしぼによって自然によれ柔らかくなるのだそう。
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湿度が高く麻糸が切れにくい冬に小千谷縮を、伝統工芸展に出品する作品3点は真冬につくり、
雪がなくなったら絹ものをつくるのだそうです。

湯もみの実演をしてみせてくださいました。
舟と呼ばれる木でできた水槽にぬるま湯をいれます。
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長い反物を押しつけるようにしてもみこんでいきます。本塩沢の湯もみとは随分とちがいますね。
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湯葉のようになっていました\(゜□゜)/
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懇親会で樋口先生は月の満ち欠けの紋がはいったきものをお召しになっていらっしゃいましたが、
月に対して思い入れがおありになるようです。星空に月の満ち欠けとうさぎ十五夜うさぎ
こちらの作品は緯糸はどれも黒ですが、経糸が黒、茶鼠、白の違いなのだそうです。
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貴重なものも見せていただきました目
きもの カンタービレ♪
すべての緯糸が絣模様になって織りあげられた倭文幡織(しじはたおり)
1寸間に100本の緯絣糸がいるのだそう。1反織りあげるのに約3万2千回の絣あわせと
打ち込みが必要なのだそうですビックリマークひえ~ヽ((◎д◎ ))ゝ
こちらは樋口隆司先生のお父さまの作品です。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
私はこういった絵絣模様が大好きラブラブなのですが「今は受けない、売れないのでつくらない」
と、どこでも言われます。
でもこういった絣模様が否定されつづけて産地の特徴がなくなってしまうのは勿体無いです!!
でも、売れなければつくれないですものねぇ。。。

樋口隆司先生の作品は「きものは饒舌すぎてはならない」という信念のもとにつくられている
そうです。それも納得の洗練されたデザインのきものでした。
この小千谷縮はNHK連続ドラマ小説「カーネーション」で糸子が着ていたものの色違い。
もちろん糸子が着ていたものも樋口隆司先生の作品です。
黒は粋になりすぎ?と即決できず未だ考え中…。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
今の主流はこういった無地感覚の洗練されたスタイルですが、私には着こなせないかな汗
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

この後、小千谷サンプラザにて小千谷織物をみせていただき、樋口先生のご案内で雪晒し
へと向かいます。
研修旅行レポ、まだまだつづきます!!


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