5-4-1vs3-2-5 マンツーマンをベースに奪う守備! イングランドプレミアリーグ第16節  | 相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

技術があるのに上達しない?相手の守備を見れていないことが原因です。年間300試合は観るサッカー観戦大好き指導者が、M・シティの試合を中心に、各チームがどのように挑むのか、そしてどのようにプレスを剥がすのかを分析します。サッカーが上達するヒント満載です。

5-4-1ルートンタウン マンツーマンベースディフェンス!! イングランドプレミアリーグ
第16節 




降格圏に沈むルートンタウン、勝てばジャイアントキリング間違いなしの一戦は、接戦の末に惜しくも1-2で敗れました。引いて守るのではなくアグレッシブに前線からボールを奪いにいく守備は、前半を1-0で折り返すほどの勢いを見せてくれました。欲を言うならば攻撃の形がもう少しあれば…降格圏脱出もあるのではないかと勝手ながら思っておりますが、アグレッシブに挑むその勇敢な戦いを、見ていきましょう!

目次
・シティ布陣
・ルートンタウン布陣
・ルートンタウン5-4-1マンマーク
・シティプレス回避 ポジションの流動性
・総括


・シティ布陣

いつも通り攻撃時3-2-5、守備時4-4-2です。ハーランドが怪我で不在のためアルバレスがFWを務めます。




・ルートンタウン布陣

ルートンタウンは3-4-2-1です。



守備時は押し込まれた際には5-4-1になりますが、引いて守るのではなく積極的にボールを奪いに出ていきます。
攻撃は1トップのアデバヨを基点にして前進していくスタイルと言えます。



・ルートンタウン3-4-2-1マンマーク

ルートンタウンのシステムはシティのシステムに対してがっちりハマる仕組みになっています。

シティ後方の3-2に対して前線の5枚でハメることがてきます。またシティの前方5枚に対しては5バックで対応することができます。





後方が数的同数となりますが、人対人のマンマーク守備という視点で見た際に、カチッとハマると仕様になっているわけです。この利を活かし、ルートンタウンは、マンマーク気味に積極的にプレッシングをかけていきます。
例えば、ディフェンスラインまで落ちていったB.シウバやフォーデンに対して、自分の守るべきスペースを空けてでもある程度は、ついていきます。



インサイドに入ってくるグリーリッシュに対しても人がついていくことによって解決しますし、高い位置をとったウォーカーに対しても受け渡しをせずに人がついていきます。


グリーリッシュがインサイドへ入ってくる



ウォーカーが高い位置をとる


人がついていくことによってマークがハッキリしますし、何より人と人との間のスペース(ギャップ)を使われないですみます。


ゾーンディフェンスで守る際に生じるギャップ


全てに対してマンツーマンで守りに行くとバランスを崩してしまいますので、素早いサイトチェンジをされるなど、行っても剥がされてしまいそうな局面や、ディフェンスラインまでロドリ、コバチッチ、B.シウバなどが何枚も落ちていく状況ではしっかりと5-4-1のバランスを保つことに努めます。


ロドリ、コバチッチがディフェンスラインまで落ちるような局面ではついていかずに陣形を保つ





・シティプレス回避 ポジションの流動性

マンマークの守備に慣れているといったら変かもしれませんが、シティもそのような守り方をしてくるチームは数多くの経験があるので、①ポジションチェンジ②ドリブルで剥がす③スペースに飛び出すことでルートンタウンの守備網を突破します。

①ポジションの流動性

例えば右サイドにいるB.シウバが、左サイドまで移動してきます。



マンマークの守備ですので、本来は5バックの一角がついていくのですが、逆サイドまで移動してしまうと、あまりにも大きなスペースを空けてしまいます。



そうするとDFはついていくべきか5-4-1の陣形を保つべきか迷うわけです。ついてくればスペースを使って貰えば良いわけですし、ついてこなければ自分がフリーになって前向きにプレーできます。


ついてこないのであれば自分がフリーになれる。


②ドリブルで剥がす

そもそも、どんな状況であってもドリブルで剥がすことができれば数的優位な状況が作れます。

立ち位置を変えたり、パス交換によって数的優位を作るわけですが、そのようなことをしなくても数的優位が作れるドリブルは、極めて効果的な武器であり、だからこそドリブルで剥がせるメッシやドクなどは世界的にもとても重宝されています。この試合では、コバチッチがドリブルで運ぶことによってチャンスを生み出しているシーンが複数回ありました。


ドリブルで剥がせば数的優位が作れる



ドリブルで剥がして局面を打開するコバチッチ


しかもルートンタウンはマンマーク気味の守備ですので、人につられ、カバーリングがいないという状況がしばしば生まれます。そのため、ドリブルで剥がせると一気にゴール前まで進める可能性が出てきます。コバチッチはもしかするとグアルディオラ監督から、ドリブルで積極的に仕掛けていくよう事前に指示が出ていたかもしれません。

③スペースに飛び出す

マンマークで守るということは、先に述べたように人についていくということです。人についていくということは、自分の守るべきスペースを捨てて出て行くことになりますから、その空いたスペースを活用すればチャンスにつながります。



ルートンタウンはそれをさせないように強度の高いプレスをかけるわけですが、相手はシティですから、プレスを上回るパススピードとボールコントロールでルートンタウンのプレスを回避してきます。
特に、前半9分のグリーリッシュがアルバレスにフリックで叩き、パスアンドゴーで突破しようとしたシーンはその典型と言えます。


インサイドに入ってボールを受ける


フリックで叩き、パス&ゴーで局面を打開する


このように、多様なアイデアと技術でプレス回避をシティはしてくるわけですので、プレスvsプレス回避の攻防はいつ見ても面白いなぁと感心させられてしまいます。

・総括

マンマーク気味に守る守備は、バーンリーも同じ戦い方をシティに対して採用していましたが、どちらも下位に低迷しております。マンマークの守備はマークがハッキリとし、ボールを奪えるチャンスは多いのですが、ある意味諸刃の剣で、ピッチ上に様々なスペースを空けてしまうという弱点を抱えています。やはり、プレミアレベルとなると、マンマークに対する剥がし方も慣れていますし、個の能力も高いので中々ハイリスクということなのでしょうか。果たしてマンマークをベースにした守備はシティに対して通用しないのか、もう少し、検証を進めていきたいと思います!

今回得たジャイアントキリングのための教訓

・相手がポジションを流動的に変えてきた際の守備の約束事を決める(受け渡すのか ついていくのか)
・ワンタップでも前線でタメを作れる強力なFWは必須
・1対1で負けないのが大前提