プレスvsプレス回避!!リヴァプール4-3-3ハイプレス プレミアリーグ13節 | 相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

技術があるのに上達しない?相手の守備を見れていないことが原因です。年間300試合は観るサッカー観戦大好き指導者が、M・シティの試合を中心に、各チームがどのように挑むのか、そしてどのようにプレスを剥がすのかを分析します。サッカーが上達するヒント満載です。



 グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティ、クロップ監督率いるリヴァプール。両者互いをリスペクトする監督の一戦は、少しの気も抜けない緊張感あふれる試合となりました。ハイプレスを仕掛けるリヴァプールに対してプレス回避をしてゴール前に迫るシティ。スコア自体は1-1とゴールシーンは少なかったですが、現代サッカーの最高峰の戦いを見せてもらいました!それでは、復活の狼煙をあげたリヴァプールの戦い方を見ていきましょう!

目次
・シティ布陣
・リヴァプール布陣
・リヴァプール4-3-3ハイプレス
・シティ プレス回避
・リヴァプールプレス回避


・シティ布陣
シティはいつも通り攻撃時3-2-5 守備時4-4-2です。


アカンジが偽CBとして入ります。派手さはありませんが、ディフェンスラインと前線を繋ぐ安定したパフォーマンスで、試合後グアルディオラ監督はアカンジのパフォーマンスを称賛していましたね。ロドリとの関係性は横並びというよりは、斜め、縦の関係となり幾度となく前線にボールを供給していました。



ダブルボランチが横並びではなく、斜めの関係になることによって中盤のラインを越えます。



・リヴァプール布陣

リヴァプールは4-3-3です。


マクアリスターがアンカーなので遠藤選手はベンチスタートです。
右サイドバックTAAがボランチの位置に顔を出したりワイドに張るなど広範な位置どりをします。


右WGサラーへのパスコースを空ける


こうすることによってマークのズレが生じやすくなり、フリーな選手を作り出すことが可能となります。

・リヴァプール4-3-3ハイプレス

リヴァプールのプレスは主にバックパスを誘導したところから始まります。バックパスを機に守備のスイッチを入れ、全体でボールを奪いに行きます。GKへのプレスのかけ方はハーフタイムに若干修正しているように見えました。



前半は主にFWヌニェスがCBへのパスコースを横切りしながらGKにプレス。




しかしシティはボランチを経由して簡単に剥がしてしまいます。




そこで後半は主にヌニェスはボランチをマークし、2列目から他の選手がGKにプレスをかけていきます。あるいはヌニェスがプレスをかけるにしても、ボランチを経由されないよう、体でパスコースを消しながら出ていきます。


2列目からプレスをかける



ボランチへのパスコースを消しながらプレス



こうすることでGKエデルソンは中央のパスコースを遮断されボランチを経由できません。



外に誘導した所でボールを奪いにいきます。





・シティ プレス回避

シティはリヴァプールのマンツーマンプレスに対して、GKでプラス1の数的優位を作り出し、リヴァプールの4-3-3アンカーの脇を狙います。




元々アンカーシステムは、アンカーの脇のスペースが空きます。リヴァプールはその弱点を消すために、パスの出所を抑えてしまえば良いと前線5枚がマンツーマン気味で守りにきます。




しかしGKエデルソンの技術が高いので、GKを含めた6対5の数的優位でプレス回避します。




例えば前半43分、エデルソンへのパスを機にリヴァプールはプレスをかけボールを奪いに行きます。

パスコースがないかと思いきや、後ろが見えていないサラーの隙をつきB.シウバが中央に入り、GKエデルソンから矢のような縦パスを受けます。


プレスを回避し、一気に前進。ゴールに向かいます。




リヴァプールのプレスが悪いというよりは、シティの止める蹴るの技術の高さと、判断の正確性が上回っていたという印象です。何よりGKの足元の技術が高すぎて、プレスに行っても剥がされるという、いわゆる行き損なっていました。
前述したように、後半は修正してロドリ、アカンジにパスが出ないようにプレスをかけます。しかし、シティはこれもまたB.シウバを軸にプレス回避します。



B.シウバが落ちて出口となる


このように、リヴァプールが奪える時もあれば、プレス回避される時もあるという、プレス→プレス回避が繰り返される、賢さと技術に満ちた試合展開でした。


・リヴァプールプレス回避

リヴァプールはボールを奪ったら縦に早く動かすだけでなく、保持もします。特に右サイドバック、アーノルドが立ち位置を変えることにより時間とスペースを創出します。
ただ、攻撃としてはシンプルであり、サラーを起点に前に前にボールを運んでゴールを目指します。力関係的にもシティの方が上なのはわかっていることなので、常にカウンターを狙いながらの試合展開となりました。

・総括
4-3-3での、前線がほぼマンツーマンからなるリヴァプールのプレッシングを、前半シティはほぼ無効化していました。やはりシティはプレスをかけられても焦ったり、迷ったりすることがないですよね。むしろプレスかけてきてくれたら、シメシメと言わんばかりに中盤にできたスペースを利用してプレスを回避していきます。しかし、それでもゴール前では体を張って守り失点を最小限に抑えるリヴァプール。苦しみながらも同点に追いつき、アウェーで貴重な勝ち点1を取るあたりは、流石ですね。

余談ですが、このビッグマッチ、しかも1-1の緊迫した状況で遠藤選手がクローザーとして出てきた時は、しびれました。遠藤選手が出てきてからは、全体像は後から見返せばいいや、と終了のホイッスルまでずっと遠藤選手ばかり見てしまいました。ドキドキしましたが、どうしても、応援したい気持ちが出てきて個人ウォッチャーになってしまいますね。(いかんいかん。)こんな大切な試合で出場するのはクロップが認めてる証です。この調子で出場時間をどんどん増やしていってほしいと思います!
頑張れ遠藤選手!


今回得たジャイアントキリングのための教訓

・エデルソン程、質の高いGKはそういないので、前線マンツーマンでバックパスを機に守備のスイッチを入れて奪いに行ったら、案外ハマるのではないか。

・GKへのプレッシングにおいて、相手ボランチの能力が高い場合は、ボランチを経由させないためにも縦ギリで外に追い出す。

・ポジションの固定概念を捨てる。立ち位置を変えることによってマークのズレを生じさせ、フリーな選手を作りだす。