2023日本vsドイツ国際親善試合 守備の献身という武器 | 相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

技術があるのに上達しない?相手の守備を見れていないことが原因です。年間300試合は観るサッカー観戦大好き指導者が、M・シティの試合を中心に、各チームがどのように挑むのか、そしてどのようにプレスを剥がすのかを分析します。サッカーが上達するヒント満載です。



まずは日本の勝利、おめでとうございます。ドイツにとってはW杯の雪辱を晴らすため、日本を招待しての試合でした。


日本サッカー界にとっても、W杯での勝利が偶然ではなく実力だということを証明する良いチャンスでした。


4-1という結果も素晴らしいですが、内容も素晴らしく、Jリーグ誕生から、指導者、育成、日本サッカー界が築いてきた歴史を思い、長らくサッカーを観てきた者としては感慨深かったです。


現日本代表はヨーロッパで活躍している選手がほとんどですので、長距離移動のコンディション不安もなかったですし、何より選手が自信を持っていつもと変わらずプレーしているのが印象的でした。


一方で、ドイツは度重なる不振から監督解任となりました。私たち日本が今あるのはドイツから学び、成長してきたからです。感謝と共に、ドイツの今後の建て直しに期待したい所です。


今回は

①守備の献身性 守備範囲の広さ

4バックの弱点

5-4-1を崩せなかったドイツ代表


と、観ていきたいと思います。


目次

・ドイツ布陣

・日本布陣 ハメ方

・4バックの弱点 前半失点シーン

・ハーフタイム修正 システム変更

・総括




・ドイツ布陣


ドイツは4-3-3です。


ボールを保持しながら前進を試みます。インサイドハーフは攻撃時、低い位置でボールを受ける、高い位置で受けて前線5枚で人数をかけて攻めてくる、など状況に応じて立ち位置を変えてきます。


日本は4バックなので、ドイツとしては中盤のラインを越えれば54と数的優位を作り出すことが可能となります。 


また、右サイドバックのキミッヒが偽SB的に中央に寄ってくることもありますので、そこに左SHに入った三苫が対応すると、WGのサネのパスコースを空けてしまいます。


前線5枚で作るオーバーナンバー


前半はサネが、左SB伊藤()との11のシーンからチャンスを作るシーンが多く見られました。


ドイツの中央の攻撃を警戒して中を閉じると、どうしても外が空いてしまいます。


大きなサイドチェンジがあると、ボールに寄せてもサネとの間に距離ができてしまいました。


スピードに乗ったサネがチャンスを多く作っていたので、1失点で折り返せたのは大きかったと思います。



・日本布陣 ハメ方


対する日本代表は守備時、鎌田が前に出て、4-4-2のシステムで前線からアグレッシブにボールを奪いに行きます。


SHの伊藤と三苫は敵SBをマークしながら、チャンスと思えばパスコースを消しながらCBジューレ、リュディガーにも積極的にプレスをかけていきますし、

FWもチャンスならばGKまでプレスをかけます。


サイドバックのマークだけでなくセンターバックも牽制する守備


ボランチ、遠藤、守田も後方FWハフェルツへのパスコースを消しながら、下がってボールを受けようとするインサイドハーフに、ボール状況を見ながら積極的にプレッシングしていきます。


このように前線から中盤にかけて、全員が守備をサボらず、運動量と迫力を持ってボールを奪いに行っていたので、良くボールを奪えていました。日本の持ち味である、献身性と連動性が体現されていました。

特に中盤の守備範囲は相当広かったです。


前にも後ろにも広範囲に守れるダブルボランチ


4バックの弱点 前半失点シーン


日本の失点シーンを見た時は、少し不味いかな、と思いました。なぜなら能力差というよりかは、シンプルに数的優位を作られ崩されてしまったからです。現日本代表の能力を考えれば、このような形であっさり失点してはいけないと思います。


失点時の配置です。


ニャブリに菅原、ギュンドアンに板倉、ハフェルツに冨安がついています。伊藤()はカバーに入っており、この時点ではヴィルツを守田が見ています。


それぞれマークにつく。この時点で左SBの伊藤は中央のカバーをしながらサネを警戒


ギュンドアンに板倉が釣り出され、ヴィルツが二列目からスルスルと上がってきます。ギュンドアンからヴィルツに出た時、伊藤が対応しました。すると、ドイツ前線5枚に対して日本は4バックですから、サネをフリーにしてしまいます。三苫が下がってきますが、間に合わずに失点です。


板倉が釣り出されたスペースをハフェルツが使うため、冨安がついていく



2列目から上がってきたヴィルツに伊藤(洋)が対応

サネをフリーにしてしまい失点


この状況の解決策としては、三苫をもっと早くディフェンスラインまで戻させるという手もありますが、それだと5バック気味になり、三苫が相手ゴール前まで長い距離を走ることになり、持ち味のアタッキングサードでの仕掛けが活かしにくくなります。


ですので状況次第ではありますが、守田をヴィルツについていかせ、ボランチを一枚落とす形で伊藤()はカバーに回るという考え方もあります。


ボランチについてこさせ、後方の人数を確保 サネに出ても伊藤(洋)が対応できる。


・ハーフタイム修正 システム変更


前半伊藤()が内側に絞った外側、サネの所でチャンスを作られていましたので、森保監督がどう修正するか注目してました。人を変えるのか、システムを変えるのか、それとも別の手があるのか。


結果としては、システムを変更して後方を5枚にして5-4-1、自陣で相手の攻撃を構えて守り、ロングカウンターで追加点を取りに行く選択をしてきました。


5枚にしたことでWGに対応しやすくなる


このシステム変更の理由は

①相手WG(特にサネ)への対応

②前半リードして折り返せたこと

③その他の理由(聞いてみないとわからない)

です。


まず、ディフェンスライン5枚にすることによって相手の前線の枚数と同数を確保できます。


相手は負けているのでゴールを奪いにきますから、それを逆手に取ってカウンターを狙う、という戦い方がベストと捉えたのでしょうか。


その他、異なるシステムを全後半で試したかった、上田の負傷、等も理由としてあるのかもしれませんが、ドイツに本気で勝ちに行ったからこそのシステム変更ではないかと推察します。


一方で、個人的な印象としてはドイツの攻撃の形のなさが気になりました。ドイツもポジションチェンジをしながら、細かいパスで崩そうとするのですが、シンプルなパスミスが多く、チームとしての意図も見えずでした。


例えばシティであれば相手が5-4-1であればハーフスペースを使いながら5枚のうち2番目、4番目のCBを引き出すことを狙います。仮にCBが出てこなければ、より高い位置で前を向き、バイタルエリアへの侵入を試みます。


CBを釣り出す 出てこなければ前を向いて前進



空けたスペースを使う動き


もちろん代表はクラブと異なりトレーニングできる日数も異なりますから、難しい面もあるかもしれません。ですが、長年ドイツに追いつけ追い越せという立場で観てきた者としては、5バック相手にも流石!と思うような崩しをするドイツも見てみたいものです。


・総括


もう誰もが感じている通り、日本は個としても、チームとしても非常に良いパフォーマンスでした。技術、守備力、チーム力、あらゆる点で日本サッカーの著しい成長が見られました。個人的には近い未来、日本相手に強豪国が5バックで引いて守って来る、ということも出てくるのではないかと思っています。そうなった時に相手を崩す引き出しをいかに多く持っておくか、サッカーIQの高い選手を育てる、という視点も今後はかなり大事になってくるのではないかと思います。


これからも全力で日本代表を応援していきたいと思います。


当ブログは、日本代表がW杯で優勝することを目標に、強者をいかにして倒すかを分析したブログになります。

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