『サヨナラのまえに』 | spica's blog

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♥水越けいこさんの作品と歌を語るフォーラム


<本稿は「恵子作品断象(その8)」(2012-10-10掲出)に加筆し、本テーマのもとで再掲するものです。なお「断象」としては長すぎる上記(その8)は削除しました。>


♥『サヨナラのまえに』(詞・曲:水越恵子/編曲:萩田光雄)<"忘れな草~"(1999)

 この作品は ♥『街』(詞・曲 水越恵子&伊藤薫/編曲:萩田光雄)とカップルで1984年2月21日 にシングル・リリースされた。いずれの曲もフジTV系金曜劇場『いけない恋人』(改題後『愛は不倫のとき』)の挿入歌。♥『街』はのちに"ゴールデンベスト" (2004) に収められている。

 さて♪「あなた夜景がきれい」で始まるこの素晴らしい歌については、これまでに、当ブログのあちこちで断片的に言及してきた。そのはずで、spicaはこの作品、とくにそのメロディーラインを非常に好んでいるからだ。どれほど好きか? アルバム "忘れな草~"を入手して、そろそろと(一日一曲の割り当てで)聴き始め、掲題曲(11曲中の第7トラック)に遭遇したとき、あまりにも素晴らしい旋律に感動して、作曲者さんのブログに熱っぽいコメントを投稿してしまったほど好きなのだ。

 

 

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 2012年の5月半ばだった。♥けいこさんは近づく次回ライブで歌う曲についてブログに書いていた。たとえば、♥♡「あまり歌う事のなかった曲…が、チラホラと登場する今回のライブ」[*] など。

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 [*] 出所:「水越けいこオフィシャルブログ M size」2012-05-16付けタイトル「いい天気!」、原文のまま。


 そこにspicaは便乗し、♥けいこさんの記事とはあまり関係ないのに、自分が最近好きになった掲題曲のことを書かせてもらおうと思ったのだ。そしてこう始めた。

  "いまわたしはアルバム '忘れな草' を毎日少しずつ聴いています。今日は♥『サヨナラのまえに』に捕まってしまいました。蜘蛛の巣に引っかかった虫です。"

 その時までにこの曲は5回ほどしか聴いていなかったが、その5回でメロディーの "美しさに完全にとりこになりました" とも書いた。実は、書きながら、こういうことを真正面からドギツク言われたら、♥けいこさんはかえって白けて、不愉快におなりになるのではないかと内心気がかりではあったが、どうしても言いたい、伝えたいの気持ちに負けた。

 "ほかのお作同様に無理なく、自然で、滑らかで、そのくせ一度聴くと頭に焼き付いてしまうという典型的な『恵子流』の傑作だと、偉そうな言い方でたいへん失礼ですが、そう思います。"

と続くspicaの厚かましいコメントは、ここでさらに具体的になる。

 "特にサビの♪「Follow me」でギュっと圧縮・緊張しておいて、続く♪「私はあなたにとって...」を長めの音符でたっぷり、ゆったりとお歌いになり、その緊張を解く緩急の妙など、何ともたまりません。"


    ♪  Follow me 私はあなたにとって
        優しい女で いられたかしら
        Follow me 最后の今でも思う
        愛し続けて いたかった



 実際、この曲の♪「Follow me」に導かれるサビの部分は、リフレインを含めると、詞の行数で全曲の五分の三を占める。それが実に快い開放感を聴き手に味あわせてくれる伸びやかな旋律でできているのだから、たまらない。それに、これはどうしても言っておきたい。サビの部分をバックで支える女声ボーカルの神々しいまでの美しさ。評する言葉もない。♥恵子作品の中でも最も成功したバッキングボーカルの一つではないだろうか。

 これは
♥恵子作品ではもうあたりまえのことだが、この曲でも詞がメロディーに完全に乗っており、字余り・字不足がないから、曲も詞も実に滑らかに、心地よく聴き手に吸収されていく。こういう楽曲は、曲想やモチーフとは関係なしに、聴き手に無条件の歓びを与えるという、音楽本来の役割を完全に果たしてくれるのだ。

 上のような冗長なコメントでけいこさんブログを汚したspicaは、それでも、最後に♥けいこさんへお礼を述べることだけは忘れなかった。

 "素敵なお歌をありがとうございました。"



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