T「着くのにどれくらいかかった?」
Z「時間?」
T「ああ」
Z「家から目指す町まで...2時間ちょっと」
T「近いね」
Z「隣の県だったんで」
T「タウンページは見つかった?」
Z「それがなー」
T「見つかったんだろ?」
Z「最初は駅の近辺から探し始めたんだけど...」
T「うん」
Z「なかなか見つからなかった」

T「そうなのか」
Z「ああ」
T「探しまくった?」
Z「そう」

T「道端に立ってる公衆電話ボックスとか?」
Z「まあね」
T「コンビニにある公衆電話の下とか?」
Z「そうだね」
T「手当たり次第に探した?」
Z「そういうこと」
T「なんですぐ見つからないんだよ」
Z「知らないよ」
T「焦った?」
Z「少し」
T「でも絶対どこかにあると思った?」
Z「もちろん」
T「粘り腰」
Z「それは俺の芸風だから」

T「で?」
Z「1時間くらいかかったけど」
T「あったんだ」
Z「うん」
T「それで?」
Z「電話帳はあったが、そこでまた困ってしまった」
T「なんで?」
Z「M子と同じ名字が...」
T「うん」
Z「何十軒も載ってたんだ、その同じ町の中で」
T「たくさん?」
Z「そう、どれがM子の家か全くわからない」

T「うーん」
Z「俺はM子のフルネームは知っている...」
T「...」
Z「しかし親の名前は知らない」
T「...」
Z「電話帳に載ってるのは親の名前だ」
T「母親と住んでたんだよな」
Z「ああ、しかし母親の名前で載ってる保証はない」
T「どうして?」
Z「単身赴任の父親がいるかもしれない」
T「そうか」
Z「とにかく困った」
T「...」
Z「...」

T「まさか...」
Z「いや、そのまさかだ」
T「手当たり次第に電話して...」
Z「ちょっと10軒だけやってみようと思った」
T「10軒?」
Z「その時はもう夜の10時くらいだったし」
T「ふむ」
Z「あんまり遅くまでかかるようなら...」
T「...」
Z「夜遅くに電話するの非常識だし」
T「手当たり次第に電話する時点で非常識だよ!」
Z「だよなー」
T「当たり前だ!」
Z「うー、反論できん」

T「で?」
Z「その時こう考えた」
T「どう?」
Z「1軒目で当たりなら俺は一流」
T「...」
Z「5軒以内で当たりなら俺は二流」
T「...」
Z「10軒以内で当たりなら俺は三流」
T「...」
Z「思い切って始めてみたよ」

T「...」
Z「もしもし○川さんのお宅ですか?」
T「...」
Z「はい、そうですけど」
T「...」
Z「私、M子さんの友人の○○という者ですが」
T「...」
Z「は?」
T「...」
Z「いまM子さんいらっしゃいますでしょうか?」
T「...」
Z「あのー、うちにM子なんていませんけど」
T「...」
Z「大変申し訳ありません、間違えました、ガチャン」

T「何もいえん」
Z「1軒目はハズレ」
T「当たらんよ!」
Z「2軒目もハズレだった」
T「当たらないってば」
Z「そして3軒目」

T「...」
Z「もしもし○川さんのお宅でしょうか?」
T「...」
Z「はい、○川です」
T「...」
Z「私、M子さんの知り合いの○○と申します」
T「...」
Z「はい」
T「...」
Z「すいませんがM子さんお願いします」
T「...」
Z「はい、少々お待ち下さい、いま呼んできますので」

T「...」
Z「俺はそれを聞いて電話を切った」
T「...」
Z「すぐに車に乗ってカーナビに住所を入力した」
T「...」
Z「即座に発進、そこへ向かった」
T「...」
Z「なんとM子の家は...」
T「...」
Z「その公衆電話から5分程度の場所にあった」
T「...」
Z「...」

T「3軒目でビンゴ?」
Z「うん」
T「5軒以内だから二流?」
Z「頼む、1.5流ぐらいにしといてくれ」

T「M子の自宅前まで行ったんだ?」
Z「うん」
T「そこで何をした?」
Z「詳しくはいえないよ」
T「なにいっ? 吐けえええええええええええ!!」
Z「うう、首絞めるなーーっ」
T「吐けっ、吐くんだあああああああああああ!!」
Z「わがっだ、ぐるじぃぃ」

T「ハァハァハァ」
Z「ふぅふぅふぅ」
T「で?」
Z「片手を体の前の方に突き出した」
T「で?」
Z「M子の家に向かって片手を伸ばした」
T「で?」
Z「手の平を大きく開いた」
T「で?」
Z「全身に力を漲らせた」
T「...」
Z「すると手の平から青白い光弾が!」
T「寺生まれってスゴイ♪」
Z「改めてそう思った♪」

T「なんだそんなことやってたのか」
Z「その時の俺はまるで...」
T「ふむ」
Z「宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長のような気持ちだった」
T「?」
Z「地球か...何もかも懐かしい...」
T「?」
Z「波動砲用意!」
T「ボケ艦長! 地球を撃つんじゃない!」
Z「あー、いかんいかん」

T「カメハメ波ってどうやって撃つん?」
Z「みんな撃てるだろ」
T「いや、俺はそうは思わない」
Z「別にカメハメ波でなくってもいいんだよ」
T「?」
Z「相手の所に接近してやることはさ」
T「?」
Z「カメハメ波である必要はない」
T「つまり?」
Z「ピンポンダッシュでもいいじゃないか」

T「ピンポンダッシュって...」
Z「うん」
T「小学生のクソガキがよくやるやつ?」
Z「そう」
T「ピンポーンって鳴らしてダッシュして逃げる」
Z「もちろん」
T「近接戦の仕上げ技がピンポンダッシュ?」
Z「俺は一度もやったことないけど」

T「そんなん効くわけねええええええええええ!!」
Z「いやいや」
T「ぜってー効かねええええええええええええ!!」
Z「やってみないとわからない」
T「やったことないくせに」
Z「どう考えてもカメハメ波より難易度が高い」
T「なんでだよ!」
Z「だってさ、俺はやれっていわれてもできないもん」
T「やれよ」
Z「絶対できない、この年で、40過ぎて」
T「許す」
Z「その場で憤死する、恥ずかしさのあまり」
T「死んでいいよ」
Z「やだよ」

T「M子はどうなった?」
Z「俺の電話の直後から...」
T「うん」
Z「数日はスレに現れなかった」
T「...」
Z「思い切り黙り込んでしまったよ」
T「...」
Z「衝撃は大きかったらしい」

T「うーん」
Z「スレに復帰した後は、以前とはやや異なり...」
T「...」
Z「鬼気迫る電波テイストは薄らいでいた」
T「...」
Z「そして数週後にはオカ板から消えた」

T「その後、M子を見た?」
Z「数ヶ月後、M子のHPに近況報告と称して...」
T「...」
Z「一枚の写真がアップされていた」
T「写真?」
Z「M子の顔写真だよ」
T「どんな?」
Z「薄いニット帽で隠していたが...」
T「...」
Z「髪の毛が全て抜けていた、一本残らずだろうな」
T「...」
Z「そして顔はパンパンに膨らんでいた」
T「...」
Z「いわゆる満月様顔貌、ムーンフェイスだ」

T「どう思った?」
Z「多剤併用の抗癌剤による化学療法の施行後」
T「...」
Z「かつ大量のステロイドも併用されていたはず」
T「...」
Z「ズバリいうと...」
T「...」
Z「急性リンパ性白血病か、悪性リンパ腫だと思った」
T「...」
Z「化学療法でステロイドを大量に使う病気って...」
T「...」
Z「かなり限られてるんだよ」

Z「どうでもいい話だが...」
T「ん?」
Z「Aは30才までピンポンダッシュしてたってさ」
T「あ?」
Z「グレートだ、偉大すぎる」
T「Aって...」
Z「そうだよ、前作の筆木のモデルだ」
T「ああ、やっぱり」

Z「M子と関わる直前まで俺はSと争ってた」
T「Sか」
Z「長い間Sは俺の上司だった」
T「...」
Z「丸々1ヶ月間、寝食を忘れて没頭した」
T「そういうの好きだねー」
Z「好きじゃないよ」
T「でもそんなんばっか」

Z「あのSを必死で引き摺り下ろした直後に...」
T「うん」
Z「M子を相手にした」
T「そうだったのか」
Z「Sの後に立ち塞がったのがAだった」
T「...」
Z「M子を操心してたのはAだ」
T「...」
Z「M子はAの強力な兵器だった」
T「...」

Z「M子を沈めた直後に、なんとAと手打ちをした」
T「え?」
Z「急転直下、Aと手を結んで同盟を組んだ」
T「マジ?」
Z「なぜなら脅威といえる共通の敵がいたから」
T「...」
Z「Aと組んで、その脅威と対峙した」
T「...」
Z「初戦の戦端が開かれたのが2007年2月28日」
T「...」
Z「天王山は同年7月下旬の72時間」
T「...」
Z「M子を沈めるのが2週間遅れていたら...」
T「...」
Z「Aとの同盟は成立せず...」
T「...」
Z「俺もAもお互い助かってない」
T「...」

Z「まるで、薄氷を踏むような日々」
T「...」
Z「紙一重だった」
T「...」

T「M子、哀れだな」
Z「ああ」
T「ホントにそう思ってる?」
Z「もちろん」
T「んー、かなり疑わしい」
Z「あのな」
T「なんだよ」
Z「スレで俺は罵詈雑言を浴びたが...」
T「...」
Z「一族郎党皆殺しだの...」
T「...」
Z「七代祟るだのいわれたが...」
T「...」
Z「邪霊だの邪鬼だの罵られたが...」
T「...」
Z「ゴミだのクズだのとバカにされたが...」
T「いや、間違ってないだろ」
Z「俺もちょっとだけそう感じてしまう訳だが」

T「で?」
Z「俺はオカ板でM子にコメントを出したんだよ」
T「...」
Z「顔写真を確認した後、言葉を掛けたんだ」
T「...」
Z「3ヶ月間、見事に戦い抜いた」
T「...」
Z「心から敬意を表したい」

T「でも、恨まれてるだろうね」
Z「あえて否定しない」
T「ほかにも恨んでる人は多いだろうね」
Z「多すぎて思い出せない気もする」
T「因果な商売だね」
Z「わはは」
T「楽しいこともたまにはないとねー」
Z「例えば?」
T「性奴隷女教師の彼女ができるとかさ」
Z「おお♪」
T「淫乱秘書が嫁さんになってくれるとかさ」
Z「未来は明るい♪」