- 日本の「復元力」―歴史を学ぶことは未来をつくること (MURC BUSINESS SERIES.../中谷 巌
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いやいや、久しぶりに深みを感じる本に出会ったな。そんな感じ。
良い本に出会った時の感銘、充実、爽快感、そんなものを感じる。
日本全体に漂う不安感について、色々と要因はあるれど、日本人が自らのルーツを無くしてきている事について述べている。
江戸時代の事を述べて、日本は庶民文化であるという。
欧米の様にエリートによって確立された文化ではなく、庶民の間で花開いた文化であり、欧米のビジネススクールでの経営目線をそのまま日本に当てはめても無理があることを分かりやすく述べている。
■成果主義について
成果主義とはどれだけの仕事をすればどれだけの報酬が得られるかをあらかじめ示すことで、人々の勤労意欲を高めようとする考え方である。
しかし、武士道は「高い報酬を得るために懸命にはたくこと言う事は不名誉なこと」だと考えるのである。
善行や努力はそれ自体が「徳」なのであって、報酬の為にする善行や努力はむしろ恥ずかしいことだというわけである。
自分の組織でも、気付いたものが自ら行う。
やりたい奴が仕事をする。
誰も「やってくれ」なんて言ってないよな。でもやるんだろ??
そんな事を自分のセクションのトップはよく言うっけ(苦笑)
■戦後教育について
マッカーサーの行ったことについて述べている。
「歴史」「修身」「地理」の3教科を停止させるいわゆる「3教科停止命令」を出したのである。
一般に、民族を弱体化するための一番手っ取り早い方法は、民族の記憶、歴史を消し去って、愛国心をそぎ取ることだと言われている。
チェコの作家、ミラン・クンデラは「民族の記憶をなくすことがその国民を弱体化する一番の方法である。」という主旨のことをいっているが、実際、歴史を学ばなくなった国民は根なし草になって弱体化する。
あぁ、僕は中学のころから歴史と地理が嫌いだった^^;
今でも歴史の教科書を見れば分かるが、○○年に誰が何をした。という記述が延々と書かれていたりする。
しかし、歴史関係の本を読むとストーリーがあり、知略があり、魂があり、非常に面白い。
何故、歴史をそういう風にして教えないのかな?と常々思っていた。
(と、自分の成績の悪さを戦後教育のせいにするか。。。)
■日本人の性善説と内部統制について
行きすぎた内部統制などと言うものは本来、人間不信に基づく制度に他ならず、これまた日本人の完成には合っていない。
日本人は元来、お互いの暗黙の信頼関係を大切にしながら社会を築いてきた民族だからである。
例えば無人販売所というものがあって、欲しい人は100円玉を籠に入れ、大根を1本持って帰る事ができる。
日本人はこれを見てもなんとも思わないが、欧米人がみると一様に「何故そんな事をするのか」と驚いた顔をする。
確かに、とある国であれば、野菜もお金もすぐに無くなってしまうだろう。
こういう例をとり、日本のあるべき姿が見えなくなった日本人が、海外(アメリカ)からの圧力で「こうしなさい」と言われた時に、自国の文化や価値観に合わないもので、様々な障害がおこってくると言っている。
これは、先に紹介した本の様に、「アメリカを通してしか世界を見なくなった日本人」に通ずるものがあるな。
■民主主義や市場主義の限界
原油価格や穀物価格の高騰、派遣社員切り、ニート、オタク文化、2年前に獲った魚で作った干物、1年前に加工された冷凍の鰻の蒲焼き、等々、そんな話を聞くたびに、「資本主義の限界だよな」なんて事をよく言う。
色々と書かれているが、最も本質をついた一文はこれだと思う。
民主主義は個人の欲望を集計してそれを政策実行に移すシステムである。マーケットも個人の欲望が購買行動を通して資源配分を決めるシステムである。
どちらのシステムも、個人の欲望を最も効率よく充足させるシステムであるという事ができる。
個人の欲望は刹那的であり、その充足のシステムであればこそ、長期的な利益を考えた行動がなされ難いだろう。
また強者の欲望がどんどん判断基準として強くなった結果、貧富の差の拡大があるのだろう。
幸い、我が組織はまだまだ、短期的な利益のみを追求する組織では無い。
日本の良さを充分に生かして復活させることができると思っている。
さて、まだまだ書き記したいことは山ほどあるが、これから僕が仕事の上で進めていくことは、
第一に、西洋的価値観や市場主義を認めようと思う。我々がいくら日本的価値観を主張しても、それだけでは負け犬の遠吠えである。
西洋的価値観、現在日本を包み込んでいるグローバルな考えの主流をきちんと理解し、対応していくことが大切だ。
第二に、それと同時に、日本の組織への適合を行っていく。日本的価値観を最大限に重視しながらである。
つまりは、ずっと悩んできたロジックと情緒の狭間なのだと思う。
MMMの戦略は、成長だとか、利益拡大だとか、そういうものが目的ではない。
我々が、世界から必要とされる組織となり、必要としてくれる組織にきちんと価値を提供することである。
ヤマト運輸の小倉さんではないが、「あの会社が無くなったら不便で困る」と思ってもらったら絶対に会社は潰れないだろう。というのと同じ考えだ。
「サービスが先、利益は後」とまでは言わないが(笑)
ただ、我々が蓄積・創造した知見を提供したらそれでお払い箱になっては困る。
どんな状況でも我々が、必要とされるアドバンテージは
世界でも類を見ない程の高密度なサービス提供と、世界でも古い部類の資産、それに基づいた暗黙知の伝承、そして何よりも日本人の特質である共同を好むマインドだと思う。
このアドバンテージがある限り、我々は進化し続けることができるし、ちょっとやそっとでは追いついてこられない知見を創造できる”仕組み”を構築できると信じている。