台湾語の変調 【入門編】変調とはどういうことか | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

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※2013年のリライト記事です。


  声調の変調は中国語にもあるが、台湾語のそれは中国語の100万倍難しい


中国語はわかるけど台湾語なんぞ見たことも聞いたこともないという方に向けて、台湾語の声調変化(変調)のお話。



声調の変調は中国語にもある。例えば第3声が連続したときに前の3声が2声に変わるとか
“不”はもともと4声だが、後ろに4声がくると2声に変わるとか、“一”はもともと4声だが、量を表すときには声調変化し、かつ後ろに4声がきたら2声に、それ以外は4声に変わる…など。

台湾語の変調はこの100万倍は難しいと思っていただきたい。


  「日本」と「日本人」とでは、「日本」の声調が異なる


例えば「日本」だが台湾語の発音では「じっぷん(りっぷん)」(めんどうだからカタカナで)。本来の声調は、「じっ」は8声、「ぷん」は2声だが、単語やフレーズの最後の音節(「声調グループ」の最後の音節)以外は声調変化するので、「じっ」は8声ではなく4声となる。


で、「じっぷん」は4声+2声で「ぷん」は高いところから下降する音。わかりやすいように中国語の声調に例えて言うなら、半3声(よりはちょっと高い)+4声に近いメロディー。

ところがである。これが“日本人”となると「じっぷん」のそのメロディも変わってしまうのである。なぜなら“日本人”で一つのフレーズ、一つの声調グループだから。変調しないのは最後の“人”だけで“日(じっ)”も“本(ぷん)”も変調するからである。

本来2声の“本(ぷん)”は1声に変化するので、下降する音ではなく高くて平らな音となる。中国語の半3声(よりはちょっと高い)+1声+3声に近いメロディー。


  文章はもっとややこしい


文章になるとますますややこしいことに。とりあえず短い例で説明してみよう。例えば“最近好無(最近元気ですか)?)”。これは文型的には形容詞述語分で“最近”が主語、“好無”が述語(部)である。前回書いた通り、主語(代名詞以外)と述語は別の「声調グループ」となるので“最近”の“近”は「声調グループ」の最後の音節となり変調しない。

“好無”の“無”は中国語の“嗎”に近い疑問の助詞で軽声となり、軽声の前は本来の声調で読むというルールにのっとり“好”は変調せず2声のままで下降型のメロディ。

よって本来の声調は「3声+7声+2声+5声」だが
変調後の声調は「《2声+7声》+《2声》+軽声」となるのだ。文の最後だけが本調を保つというわけではないのが本当に頭が痛い。