映画の中の台湾語 『艋舺(モンガに散る)』その1 | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

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邦題『モンガに散る』のこの「モンガ」、地名だがなかなかややこしい。もともとは台湾語で、漢字は「艋舺」、発音は「Báng-kah(バンカ)」。日本統治時代、この「バンカ」という音に日本語の漢字をあてて「萬華(バンカ)」となり、表記は現在に至るのだが、今は華語読みをして「Wànhuá(ワンホア)」と呼ぶ。

んじゃあなんで「モンガ」なのかというと、もともとの漢字「艋舺」を華語読みして「Méngjiǎ」。「モンジャ→モンガ」…なのじゃないかと。

監督は鈕承澤(ニウ・チェンザー)。主人公のお母さんの恋人役でちょっとだけ出ているが、彼自身も俳優である。自伝的映画『情非得已 生存之道』(邦題「ビバ!監督人生」)で主役(本人役)を演じているのも見たが、侯孝賢監督の『風櫃來的人』(1983年)で演じた少年役の印象が強烈である。1966年生まれだから当時17歳。その頃から見た目はホント変わっていない。

趙又廷(マーク・チャオ)も出ている。『痞子英雄(Black&White)』で一躍スターの仲間入り。周渝民をおさえて主演男優賞を獲ったが、この『モンガに散る』を見てそれも納得!前作で演じた一匹狼の辣腕刑事とは全く違うマークがそこにいた。いじめられっこの孤独な青年そのもので、前作の「英雄」と同一人物とは思えないその雰囲気が、彼の演技のうまさを証明している。

阮經天(イーサン・ルアン)も出ていて、台湾金馬奨の最優秀主演男優賞を受賞しているが、わたしが好きなのは『九月に降る風』にも出ていた鳳小岳(リディアン・ヴォーン)である。映画は高校生の悪ガキ大将みたいな役ばっかりだが、雑誌やテレビで見るスーツ姿の彼のまあ、かっこいいことかっこいいこと!ご存知ない方は是非今度ユーチューブかなんかで見てみてくださいっ!

で、映画は80年代の繁華街
「艋舺(萬華)」でつるむ悪ガキたちの話。ヤクザな世界が舞台だが、言ってみれば友情、そしてやはり「愛」の話である。セリフの半分以上は台湾語。いつかも書いたが、監督が阮經天に「台湾語はだいじょうぶか?」と確認し、「だいじょうぶ」というので役を決めたのに、ホントは彼はあまり話せなかった・・・ということを、『康熙來了』(多分)で話していた。でもま、がんばってはいる。

鳳小岳はどうか。彼も少し簡単な台湾語を話している。話してはいるのだが、なぜかあまりゾクゾクしない。イケメンの台湾語には無条件にゾクゾクし、ヨロヨロとなってしまうわたしなのだが、なんでかな。