フリーライターとして生きるということ
サラリーマンの慣習と思って忌み嫌っていたことも、そうでもなくなりました。
結局、すべて、わたしの勝手な思い込みだったのです。
わたしが、勝手にルールと思い込んで、わたしが、お酒を断れないと勝手に思い込んで、
わたしがわたしのルールを決めて、自分で自分を生き難くしていただけなのです。
不思議なものです。
辞めると決めたとたん、仕事が楽しくなりました。
言いかたを換えると、
辞める覚悟を決めたとたん、プレッシャーがなくなり、リラックスして仕事に臨めるようになったということなのでしょう。
辞める直前が、一番、仕事が楽しいと思えました。
正直、辞めたくなかった。
でも、
もう、逃げないと決めたのです。
わたしは、ボーナスが支給される12月10日前に退職すると決めていた(これも自分への罰です)ので、1991年、10月末日をもって退職しました。
その1ヶ月後の、
1991年12月1日から、わたしはフリーライターとなりました。
作家や脚本家として生きることはできなくても、学生時代、演劇に打ち込んだときのように、なにか文章を書いて食べていきたい。
その思いから逃げない。
そう決意しました。
ちょうど、声をかけてくださったのが、報道系雜誌の記者の方でした。
わたしは、反射的に「やらせてください」と、お願いします。
就職したときと同じパターンですが、あのときとは覚悟が違います。
12月1日、朝9時に編集部に足を一歩踏み入れた瞬間から、わたしはフリーライターになりました。
右も左も、目の前で繰り広げられている議論も怒声も電話の音も何もわからない状態でした。
わたしはフリーライターです。
だから、上司も部下もいません。
誰も仕事の仕方を教えてはくれません。
誰も、わたしの能力なんてわかりません。
わたし自身もわかりません。
でも、そこにチョコンと座っていても、仕事がもらえない限り、食べていくことはできません。
覚悟するしかない状況に自分の身を置いてみると、覚悟は勝手にできています。
その日の夕方、突然、副編集長に声をかけられます。
「いま空いてる?」
「はい」
「今日、これから、◯◯というコンピューター会社で、バーチャルリアリティの講演が行われるんで行ってきてくれる?」
「はい?でも、ぼくは今日入ったばかりなんですけど…」
「え?記者じゃないの?」
「あ、はい。記者ですけど…」
「空いてるの?空いてないの?」
「はい、空いてます…」
「だったら行ってきて。帰ったらすぐ原稿あげて」
「あの、バーチャルリアリティってなんですか?」
「それを取材に行くんだよ!」
「あ、はい!」
それが、わたしの初めての記者としての仕事でした。
講演はすべて英語でした。まったくわかりません。
そのまま編集部に戻って、烈火のごとく叱られ、慌てて講演の主催者に電話をいれて、説明を聞きにもう一度戻りました。
そして、慌てて編集部に戻り、原稿を書き終えたのが、明け方の5時。
それを読んだ副編集長は、
「なんだこれ?意味がさっぱりわからないよ。
誰だよ!こんなやつ編集部にいれたのー!
ボツだボツ。
もう帰っていいよ」
一緒に講演に行ったカメラマンの撮影した写真もすべてボツになりました。
わたしの原稿のせいです。
わたしのせいで、カメラマンの写真もボツになったのです。
わたしの能力ひとつで、記事がボツになり、その結果、カメラマンが1日かけて撮った写真もボツになります。
掲載するという条件で取材に協力してくださった多くの方を裏切ったことになります。
もちろん、その謝罪も、全てわたしが行うのです。
全てわたしの、コミュニケーション能力、取材能力、原稿を書く能力いかんです。
こんなにわかりやすい仕事が他にあるでしょうか。
わたしは、全身の血が吹き上がるような興奮を覚えました。
その3週間後、12月21日まで1日も休まなかったわたしの体は限界を超え、血尿を出しました。
それでも、休みたいとは思いませんでした。
やったことすべてが、わたしの責任として、自分に帰ってくるのです。
そこに曖昧な疑問を挟む余地はありませんでした。
わたしは、身震いするようなやりがいを毎日体感していました。
わたしは、この世界だったら生きられる。
この世界だったら、なにが起きても耐えられる。
そう感じました。
しかし、半年後、ようやくわたしがこの世界になれたころ、忘れていた、パワハラに再会することになります。
一人のベテラン記者さんが、わたしをクビにするべく画策していたのです。
つづく
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