慣習が、まともな感覚を麻痺させる
そして、当面の方向性が決まって、話がひと段落したとき、緑子さんは、ある疑問を口にしました。会計についての疑問です。
役員になって広報として最初の会合に出たときに、広報の資料と合わせて会計の資料も預かり、お金の流れをチェックしていました。
その中で、月会費で集めた1年間分の収入と支出の合計が3万円ほどプラスになっているにもかかわらず、その3万円の行方がわからないのです。
今年度分に繰り越されているわけでもありません。
「最後の3万円分の使い道がわからないんですけど」
すると、ママの一人が、口を開きました。
3家族の側の一人です。
「それは、最終的に余ったお金は1年間役員をやってきたみんなの飲み代に使ったみたいよ。打ち上げってことだと思う」
え~!
さすがにこの言葉には、皆が驚きの声をあげます。
「でも、別にいいと思うけど。1年間頑張ってきたんだし」
ママはキョトンとした表情でさも当たり前のように言いました。
緑子さんが聞きます。
「そのことを、保育園のお母さんたちは知っているんですか?」
「知らないでしょう。いまみんな驚いていたんだから。でも、言う必要ある?言ったらもめるでしょ」
「それって使い込みだからですよね。そんなこと毎年やっていたんですか?」
「昔は、余ったお金で保育園に本やおもちゃを買ってプレゼントしていたらしいんだけど、何年か前から保育園が断るようになって、それから打ち上げ代ってなったみたいよ。だから、それで構わないと思うけど」
「役員の人たちだけの飲み代ってことですよね?」
「そうよ。なんか問題ある?」
例のパパが続けます。
「なんの問題もないでしょう。いいじゃん。1年間頑張ったんだから」
「わたしは来年度へ繰り越すべきだと思いますけど。だって、わたしたちのお金じゃないですよね。パンジー会のお金ですよね。だって、はっきり言いますけど、それって
横領
ですよ。ちょっと感覚がおかしいと思います」
緑子さんは、条件反射的に反論しました。すると、例のパパは、
「緑子さんはちょっと真面目すぎるんじゃないですか。そこまで固く考えることかな~。さっきから聞いていると、なんか自分の思い通りにしたがってるみたいというか~。バランスってのがあるからね~。もうちょっと、こう、抑えて抑えて、気軽に考えましょうよ」
「お金のことは気軽に考えることじゃないと思いますけど!」
「なんかめんどうくせ~な~!はいはいわかりました。だったら多数決でいいんじゃないですか」
結局、多数決では、来年度に繰り越しに15名全員が賛成をしました。
例のパパも、言うだけ言って、結局は賛成票に投じたのです。
要するに、彼は、
クレーマー
だったのです。
ありとあらゆることにクレームをつけてくる。
彼の行動はその後も同じようなパターンで続きます。
緑子さんのご主人が、一度、それとなく、彼に聞いてみました。
「いつも役員会議たいへんですね。すみません。うちの緑子、頑固で」
「あれ、ちょっと真面目すぎですよ。もっと気楽に考えないと1年間、持ちませんよ」
「ハハ…、そうですね。言っておきます」
「いいですいいです。言わないで。奥さん面倒くさいから」
「ところで、謝恩会どうなればいいと思います?どうしたいとかあります?」
「みんなでパ~っとやればいいんですよ。深いこと考えなくて。ただ、話し合いには常に反対意見って大切ですよね。だから、おれは、あえて反対意見を言うことで、気づかないことに気づいたり、新しい意見が出て、そこでみんなで議論して決まればいいと思っているんですよ。おれは、別になんでもいいんですよ」
そうなのです。
要するに、彼は、
なんでもいい
んです。
ある意味、
暇つぶし。
ある意味、
自分の存在感を誇示すること
が最大の目的。
自分が議決の中心にいたくはないが、自分の影響力を示したい。
それ以前に、根本的に、
”女性蔑視”
この気持ちが根強くあるのだと思います。そして、彼の本性が、今後、さらに明らかになっていくのです。
つづく
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風宏
