雨上がりの百合梅雨の合間に山道を歩いた木々の濡れた匂いの中に不意に甘く強い香り見上げると苔むした岩壁の高みに一群れの山百合鮮やかな白と黄と赤の花が暗がりに浮き上がるもはや祀られる神とは無縁の縁結びで人寄せする飾り立てられた虚しき御社(みやしろ)の奥の道誰に気づかれることもなく静かに咲いて誇り高き匂いだけを投げて寄越したのか森深ければ人住まず人集まれば杜(もり)空しくなりてただ山百合のみ古(いにしえ)の神を知るらし人の愚かを雨よ流せと微笑んでいた