夜の唇 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 嵐の近づいてくる真夏の夜の庭で

 あなたが服も着ずに座っている椅子に

 熱病のように風がまとわりつき

 あなたの濡れた唇に触れた

 少し驚いたように見えたあなたが

 少しだけ見せた微笑みが唇の上で光っている

 雲間の月の思いもよらぬ清明

 あなたは愛されるままにじっと動かなかった

 愛は夜と同じ

 奪われるままに深まっていき

 明日(あした)の朝はもう来ない











 

キアラさんの「夜の雲」の最終行「昼には見せない顔がある」からイメージして

おそらく想いは全く違うのですが 付け句みたいなつもりで