星野 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある









 夏の暗夜

 深い宇宙の井戸の底で

 数多の星が眠ったまま

 意識を持たぬままに生まれて流れ来る


 我らの星はその一点に及ばず

 我らもまたその一点にもあらざれど

 濡れた風になぶられる意識あり


 遠く暗夜の底の銀河に思いを致し

 圧倒的なる星野の耀きに言葉失うとも

 この意識の覚醒に拠(よ)り

 確かに星を望める者となる


 不可思議なるもうひとつの宇宙

 意識に因(よ)りて

 空に対峙して

 呼吸する者となり


 怖(おそ)れることなく

 ただ正当なる光をのみ畏(おそ)れて生きよ

 この夜を