
住宅街を抜けて畑の近く
古い崩れかけの土壁に薄いブルーシート
なぜかそれを乗り越えて
壁を超えてきたのは
葉の形から水辺の草だと思った
その葉陰の土壁はしっとりと濡れて
つい壁越しに向こう側を見て驚いた
壁の向こうは小川
一面に水草が繁茂していた
こちら側は乾いた道
なぜ乾いた道の方に伸びてきて葉を広げたのだろう
理由は考えてもわからないけれど
もしかして光を求めたかと思ったが
壁の向こう側も光は十分に当たっている
伸び広がって行きたいのか
お前たち
少なくとも土壁が乾ききって崩折れていないのは
水草が導いてきた水の広がり
ああ言葉もない
理由もいらない
ただ生きてあることは一人ではないと思った
ただの土塊(つちくれ)のような壁と
草の葉の深き緑の
夏の日のデュエット
ただそれだけでじゅうぶんだ