あなたは雨に濡れていた
扉を開けたまま閉めかねて
誰もいない若葉の庭で
髪は濡れそぼり
雨に愛された服の中の
あなたの柔らかな身体の上を
幾筋もの雨の川が流れ広がって
もうそれぞれが区別できないほどになり
あなたはまるで雨の海
立ちつくしたまま小刻みに色づいては
どこまでも広がっていく
あなたは願っていたのだろうか
澄みきった深い自由
自分の名前も生き方も時間さえ
この雨のように流れていくことを
決して降りやむことのない雨と同化して
水色になって生きていくことを
しかしやがて雨は止み
あなたは静かな薄むらさきの
紫陽花の花になって咲いていた