風に揺らいでいた | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある




『風に揺らいで』




 沸き上がるような初夏の中で

 キウイの丸い葉が五月末の風に揺らいでいる


 僕のいのち

 僕のからだ


 海が遠くキウイの葉の向こうで煌めいて誘いかける

 さあ早く

 早くいのちを噴き上げて

 その葉の一秒前の姿から今へ

 その葉の今の揺らぎから未来の揺らぎへ

 お前の身体の中心を高く揺らして

 深い時間の海へと


 ぐずぐずしていては時は過ぎていく

 さあ前へ

 一歩前へ

 夏の真ん中へ深々と入り込め

 風に揺らいで

 揺らぐ姿のそのままでと