言葉を捨てたと | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 言葉を捨てたと
 誰かに伝えるためには
 また言葉を使わなければいけないのだろうか

 すっと座って息をして
 相手をじっと見る
 それだけで伝わるような世界を僕は夢に見る

 キウイの濡れた白い花
 遠ざかるオノマトペの
 沖の船の汽笛のように初夏