灰色の海に向かって僕は歌おう
もはや遠くなったあのひとの声で
濡れて重たげな砂浜で僕は踊ろう
身近なあのひとの仕草を真似て
荒れた海の果てしない接近と遠流(おんる)
灰色の下に深く潜んだ暗い緑の海
冷たい飛沫の中に微かに混じってくる春の匂いを
どう受け止めれば良いのかを知ろうとする
いつも僕に教えてくれていた海よ
大気が暗雲と交じり合って泣くこの日に
お前が与えてくれるのはただただ
とよもす風と潮騒の色のないアンサンブル
他はなく
言葉もなく笑みも憤りもない海よ
こうしてお前の送ってくれる湿った風の中に立ち
打ち寄せる波のひと打ちひと打ちと
砂粒の一つ一つを数えて過ごす今日の日
おお愛することの生ま温かき愚かさよ
